楽曲解説

解説の必要があるかわからないが高田の持ってきたデモを元に何度かセッションしてそれをそのまま収録したもの。メトロノームが無いほうが伸びやかに演奏できることを肯定するのは自分の奏者としての未熟さを晒しているようで中々抵抗があるが、やはりそういうものだと思う。少人数での演奏になればなるほど楽曲の自由度は下がる一方だと感じるかもしれないが、実はそれは半分間違いで、リズムやインプロヴァイゼーションの自由度はむしろ上がる。意思の疎通をする相手が少なくなればそれが容易になることは自明で、極論、ギター一本で演奏しているデルタブルースの巨人の中には12小節に囚われずに一拍足したり減らしたり、小節数すら毎回でたらめなことも多い。それは奏者のエモーションを最大限表現できるということでもある。二人編成の一発録音にもそういったメリットがある。アウトロ(2:25〜)のギターの三連のフレーズに一小節でドラムが反応しているが、これが5人編成だった場合に全員が同じ反応ができるか考えればわかること。 　後付けの歌詞は文学的な捉え方をすると様々な捉え方ができると思うが、まず大前提として音がカッコいい。ワードセンスの気取らなさも男性的な色気を感じる。こういった部分を無視した歌詞は、それを意図して書かれた場合を除き歌詞とは呼べない。文学のやり口を持ち込もうとしても楽曲に受け入れられることは少ない。 井上