楽曲解説

HD1は、ろくぶんぎ座の方向にある銀河候補の天体であり、2022年4月時点で観測可能な宇宙で地球から最も遠い天体とされています。その「存在」は、私たちの理解や手の届く範囲を超え、ただかすかな光として宇宙の果てに輝いているだけです。 この楽曲では、このHD1の存在が、私たち人間の運命、そして「生きる」という行為に深く結びついた象徴として描いています。 HD1の存在は、「今ここにあるけれども決して届かない」、そして「存在しているのに、意味や本質を知ることができない」ものであり、これは私たちが生きている中で向き合う「死」や「無」の感覚に通じます。人間の人生も、終わりの先に広がる「無」へと続く道のりであり、その先に何があるのかを知ることはできません。楽しいこと、苦しいこと、どんなことがあっても時間は確実に流れ、立ち止まることはできません。 たとえ行き着く先が無という「存在しているのに、意味や本質を知ることができないもの」であっても、私たちには前に進むしか道はないようです。 HD1が果てしない距離の中で光を放ち続けるように、私たちもまた人生の道を進んでいかなくてはなりません。 HD1の存在は、限られた時間の中で生きる人間に、今という瞬間を後悔なく生きることの重要性を教えています。遠くに輝くその光が示すのは、「今、この瞬間を確かに生きること」こそが唯一の確かな「存在」だということです。未来には未知の終わりが待っているかもしれませんが、それでも今という瞬間だけは、自分だけが確かに感じることができるものです。その瞬間を積み重ねることで私たちは生き続け、HD1のように輝くのです。 この楽曲は、HD1という宇宙の果ての存在を通じて、限りある人生の中でどう生きるべきかを問いかけています。どんなに辛いことがあっても、喜びがあっても、終わりが待っているとしても、進むべき方向は前しかない。後悔しないように、今を精一杯生き抜くことこそが私たちの「存在」の証であり、それが確かなものとして感じられる唯一の瞬間です。どんなに抗っても未来へと進むしかない運命を抱きつつ、HD1が宇宙の果てで光り続けるように、私たちもまた限られた今を輝かせ、自分しか感じることができない確かな「存在」を感じながら生きていくことが、この楽曲の根底にあるメッセージです。