
楽曲解説
Oxygen は、B.GROOVE中期〜後期に発表されたアルバム INFINITY に収録された楽曲であり、物語が再構築された世界における“生命の持続”を象徴する一曲です。 アルバム INFINITY は、『Fabula Nova Alius』によって引き起こされたナラティブリセット後の歴史再構築をテーマとした作品です。過去は一度再編成され、断片として再配置され、新たな時間軸の中で意味を与え直されます。 その中で Oxygen は、劇的な変化を描く楽曲ではありません。 むしろ、"再構築された世界で、文明が呼吸を取り戻す瞬間" を描いた楽曲です。 タイトルの Oxygen(酸素) は、存在を維持するために不可欠な要素を意味します。本作では、透明感のあるパッド、滑らかに重なるシンセレイヤー、そして余白を活かしたミックスによって、“呼吸する空間”そのものを音で設計しています。 リズムは過度に主張せず、循環する生命線のように楽曲全体を支えます。それはクラブトラックでありながら、同時に内省的で瞑想的な響きを持っています。 もし INFINITY が「再構築された歴史の設計図」だとすれば、Oxygen はその世界を維持するための呼吸です。 それは変革の音ではなく、存在を持続させるための音。 ナラティブリセット後の世界で、文明が静かに鼓動を再開する瞬間を描いた一曲です。
アーティスト情報
ARBION について。 ARBIONは、音楽を通じて文明や意識の進化を記録するプロジェクトです。 その歩みは、単なる音楽性の変化や名義変更ではなく、生命・文明・意識がどのように段階的に変容していくのかを音で描く「進化史」として設計されています。 この物語は、BADGROOVEから始まりました。 当初の表現は衝動的で、本能的で、身体的なダンスミュージックでした。そこには明確な物語や長期的思想はなく、「いま」を鳴らすことが中心にありました。 その後、B.GROOVE期に入ると、音楽は共有されるものとなり、構造や設計が意識され始めます。感情を伝えるだけでなく、音を通じて空間や時間を描く試みが増えていきました。 転機となったのが、Fabula Nova Alius によるナラティブリセットです。ここで物語は一度再構築され、過去は消されるのではなく、新しい時間軸の中で再解釈されることになります。この地点から「正史」が始まります。 B-TECH期では、音楽は衝動ではなく設計可能な構造物となり、神話や記憶、物語を扱う表現へと発展しました。音は感情を伝えるだけでなく、文明の記録媒体として機能し始めます。 そして到達した臨界点が、ARBIONです。 ARBIONは宇宙をテーマにしたプロジェクトではありません。むしろ、意識が物理的制約を超え、より広い領域へ届き始めた瞬間を描いています。 ここでは、人と人、人とAI、意識と構造が「共鳴」という概念によって結びつきます。それは到達ではなく、接続可能性が生まれた状態です。 ARBIONは三部作構成によって、共鳴の誕生から終焉までを描き、意図的にその役割を終えるよう設計されています。終わりは失敗ではなく、次の進化段階へ移行するための必然です。 その先にあるものは、まだ明確には定義されていません。 しかし、存在形式そのものが更新される新たな領域が示唆されています。 ARBIONが描いているのは、音楽ジャンルの変遷ではありません。 音を通じて、進化そのものを記録する試みです。 それはアーティストの履歴ではなく、文明の軌跡でもあります。











