送信中
夜の23時を過ぎた頃には電車を利用する人も少なくなっていた。昼間、他人と肩を擦り合わせながら辿り着いたライブハウスからの帰路。打ち上げの居心地を悪くしたのは紛れもなく自分の失態のせいなのだが、耐えきれず早々に切り上げてしまった。荷物を詰め込んだせいで重くなったギターケースを下ろし席に座ろうとしたが、マグナカートに乗っかった大きなエフェクターボードがそれを邪魔した。力尽くでそれを押しのけ、席に座ってため息を吐いた。隣にいる背広を着た男が嫌そうな顔をして座り直す姿を気に留めてないフリをして携帯電話を開くと一件の通知が目に入った。 「あとどれくらいでつきそう?」 その通知を開く前に電車の時刻表を確認して、予定到着時間を送信する。隣の男が鬱陶しそうに咳払いをしていた。少し離れた席から大学生グループの笑い声が聞こえる。 昼間の時とは違って、車内に響く音の全てがどれも嫌じゃなかった。不思議な感覚だ。今日はこのまま、イヤホンで塞がないまま、電車に揺られるとしよう。君の街まで。
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