歌詞

作詞:thee last bookstore

作曲:thee last bookstore

雨のなか、古着屋まで歩く。 住宅街のなかだが、無人島のような場所 そこに古着屋はある。 雨のなか古着の奇妙な匂いがする。 海の向こうから漂ってくるような異臭。 外国のカビの匂い。 僕は数百円のシャツを着ていたが 古着を特に物色することもなく 少しだけ隅に置いてあるレコードの棚を漁る。 盤面の溝の奥深くに 人間の悲しみと喜びと 世界のどこへでも飛べる翼と どんなものも振り払える強い腕があるのに 他のものを買うなんてばかげている、と彼女は言った。 僕は全く反対だった。 歌なんて嘘ばかりだし 音楽なんてくだらない。 僕は図書館に良く行った。 本に囲まれているのが好きだった。 世界中の美しい図書館に スケボーで行けたなら素敵だなんて話をした。 パスタの茹で時間のあいだにするような話だ。 彼女は本を読むことなんてしなかった。 言葉なんて と彼女は言った。 言葉なんて何の意味もない。 たった一言を言うためだけに 僕は言い返す。 この世界はあるんだ。南極も、君の好きなレコード屋も 裏路地の野良猫も、まずいペペロンチーノも。 昨日死んだ子供も? 彼女は僕にそう聞く。 僕は心が空っぽになる感覚を味わい、 それから逃れるためにパスタの鍋を 手にとり、床にぶちまける。 床に、人間の内蔵のように 湯気を吐くパスタが広がり 鍋が床を打つ音が響く。 僕らのあいだに言葉はない。 くだらない音楽もない。 盤面の溝の奥深くに 人間の悲しみと喜びと 世界のどこへでも飛べる翼と どんなものも振り払える強い腕があるのに 他のものを買うなんてばかげている、 と彼女は言った。 僕は全く反対だった。 歌なんて嘘ばかりだし 音楽なんてくだらない。 あのころは夜寝るなんてことはしなかった。 朝焼けを見ながらビールを飲んだ。 赤い空は美しかった。 いまでもあんな空はあるのだろうか。 いまでも夜寝ずに語り合う若者は いるのだろうか。 いまでも夢をみるものはいるのだろうか。 雨のなかをどこまでも歩いて行ける 二人がいるのだろうか。 レコードの盤面にあの日僕が床に ぶちまけたパスタが挟まっていて 針を落としても鳴らなくなった。

アーティスト情報

2016サマーソニック出演のレディオヘッドを見て感銘を受け、始動。ソロにて行うポエトリーリーディング。日本のポエトリーリーディングは、いわゆる「熱い」ものが多いが、逆行するようにクールなものを作ることを心がけている。ライブでは、PCから流すトラックに合わせて歌う。本職はグラフィックデザイナーなので、ジャケデザイン・グッズデザイン・HP管理・レコーディングなど全て1人で行っている。

shea

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