歌詞

夜明けのひとりがたり 実はわざとだったんです　母とはぐれたのは ちょっと困らせてやろうと　ほんのいたずらのつもりで 人の波に吞まれて　方向を見失って 気がついたら　本当に迷子になってしまって 泣いていた私に「ねえ、どうしたの」って　 その人はやさしく声をかけてくれた 二人で手をつないで　近くの交番へ やがて母が来ました　笑っちゃうくらいあわてて 痛いほど抱きしめられて　笑顔に包まれて 今の仕事を選んだのは　きっとあのときでした 人は一人じゃないって　私も伝えていきたくて 実は置き去りにしたんです　全部いやになって 何もかもほうりだして　別の人になりたかった 暮らしを立て直して　迎えにくるからって 自分すらだませない　空っぽの言い訳をして 抜け殻の私に「これ、落としましたよ」って 知らない子どもが　私の袖を引いて ありがとうって叫んで　走り出しました 人をかきわけながら　あの子のハンカチを手に ほらね、来てくれたでしょう　泣きながら寄り添う人 今の幸せの始まりは　きっとあのときでした　 過ちを洗うような　その人のやさしい涙 実は死のうとしてたんです　あの子を見かけたとき 信じていた支えが　跡形もなく崩れて だから気がつけばあの子の手を取って歩いていて 戸惑っていたのは　むしろ私の方でした すべて捨てたはずの　私の手のひらに 確かに伝わる命のぬくもり 今思い返せば　救助信号を 発していたのはたぶんあの子ではなくて 私にも残っていた　失くしたはずのものが 迷路の出口が見えたのは　きっとあのときでした 歩こう　幸せが私を見つけてくれるように あの歌が聞こえてくる　地球はメリーゴーランド 悲しみ　喜び　乗せて　まわる　まわるよ