歌詞

作詞：齊藤信幸

作曲：齊藤信幸

オズマ 昔オズマという野球選手がいたんだ 大リーグボールを打ち込んだあの男さ 運動神経を文字通り金で買われ あとは全てが野球　他には何もなかった まるで機械のよう　正確な選球眼 風を切り裂きうなる見えないスイング 攻める　守る　走る　寸分の狂いもなく 人は彼を呼んだ　「野球ロボットオズマ」 アメリカと日本　請われるままに 二つの国を沸かせたスター　雇われの身 ３つ目の国ベトナムへ送られて ボロボロになって死んでいった男 オズマ　息を引き取る間際に 絞り出すように君は言った　 「俺に残ったのはこれだけ」 オズマ　握力を失った 君の指から落ちたメダルが放った金属音 オズマ　君のネジを巻いたのは 野球への愛　夢か希望か　それとも国か企業か オズマ　オズマ　オズマ　答えてくれ かつてのアスリート　高級そうなスーツに 体を押し込んで　権力と手を握る 今のアスリートは　金太郎飴のように 定型文ばかり　もしくは黙り込む 走る　跳ねる　泳ぐ　まるで踊り子のように しなやかな筋肉　硬直した思考で 何が何でもやる　命にかえてでも 他人の命ならば　痛くも惜しくもない 身体を包み込む　機能的ユニフォーム 身体に絡みつく　国の旗　企業の名 歓声と拍手が巻き起こるたびに 金が流れる　決まった方向に オズマ　一体どういうことだ 夢と元気がばら撒かれると　どうして絶望は深まる オズマ　地球のあげる悲鳴を 国の名前をただ連呼する絶叫がかき消していく オズマ　俺はただ愚直に 旗を片手に　演技に酔い　呆けていればいいのか オズマ　人とは　スポーツとは 所詮はこんな程度のものか　何を学んできたのか オズマ　オズマ　オズマ　答えてくれ オズマ　オズマ　オズマ　答えてくれ