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データベースが構築される中で、私たちの表現はただの願望充足の手段となっている。精神分析学者フロイトはあらゆる表現に人間の抑圧された無意識の欲望が内包されていることを主張したが 、一方であらゆる表現には普遍的な美意識に対する長い歴史の蓄積の上にもあるという崇高の歴史に対して、私たちは決定的に目を背けることはできない 。すべての表現には必ず無意識的な欲望があり、そして私たちは人間である以上、論理的な文脈では必ず解消しきれないような自身の欲望を無視することは決してできない。だが、あらゆる表現が欲望のままに受け入れられる先にあるのは、ここまで度々登場してきたデータベースに当てはまるような、微妙な差異で己の欲望を充足させていく動物的な社会だろう。そこに希望があるとは到底言えない。
作詞:ukiyojingu
作曲:ukiyojingu
生み出される言葉たちが潰えていく。 私たちの感情が消費され消えていく。 私はそれを、何も言わずに傍観している。 発された言葉を、誰かが拾い上げているのを待っている。 そうして、私たちの「完全な世界」は作り上げられていく。 左を向く他人が、恨むように皮肉を吐き出す。 それは、弱者が持つゆいつ無二の手段だ。 口を揃えながらマヒした言葉に意味を与え、逆説を繰り返した。 そのすべては、消費される愛情へのアンチテーゼであり、私たちの感情だ。 だが、それらもやがて失われる。 私たちの自由も、私たちの感情も、そのすべては記号として処理され、 その内容は均一化されていく。 私たちの言語を取り戻すのか? 愛を語れればそれでいいのか? 生きているのが辛いのか? では、自殺は許されるのか? 私たちの意味を持った皮肉はやがて皮肉とも認識されなくなり、 一つの形式を持った言葉として、消費から逃げることはできなかった。 今日も、産業廃棄物となった音楽と言語の一連の繋がりが、 意味を失いながら血液のようにめぐっている。 そうして、言葉の在処を失い続けた私たちは、ついには全ての言葉を失ってしまい、 沈黙せざるを得なくなる。 だが、私たちにその自由はない。 全てに接続され、計算機が認識可能な記号に処理されるこの時代において、 言葉も不在さえも一つの言葉になるからだ。 生きているだけで何かを垂れ流しているという事実から逃げられず、 いとおしい沈黙さえも奪われてしまうのだ。 その果てに逃げ場はない。 そうして、今日も私は口を紡ぐのだ。 感情を記号化した私たちは、誰にも理解されない言葉を抱え、冷凍された都市の血液となる。 事実が塗り替えられ世界が改変されていくこの時代で、私たちの感情は不要な存在だ。 それでも、言葉の向こう側にある感情の表出に、意味はあるのだろうか。 その言葉を誰かが救済してくれるのを、私は今でも待っているんだ。 私のすべてが夕闇に侵食され、凍ってしまうのを恐れながら。 いかにも「素晴らしい」批判意識があふれ出したこの社会の中で、 私たちの感覚は麻痺し、瓦礫の山に埋もれている。 私達の言葉を取り戻すのか? 愛を語ればそれでいいと思っているのか? 自由や絆がほしいか? それで、その後はないのか? そんなものは自己充足だ。 対象を見つけ、それを非難することでしか、自らの繋がりと安心感を獲得できない、 そんな自己充足だ。 そうして、私たちは「完全な世界」に閉じこもる。 貴方も、私も、そして「私たち」も、この言葉も。 最後に残るのは沈黙と、私たちが愛してやまないアイロニカルな論理のみだ。 逆説すら行う権利を失い、徹底された沈黙の中で、冷え切った瓦礫が嗤っている。 すべての責任は、作り手たる私たちにある。
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