
歌詞
作詞:吉野エクスプロージョン
作曲:(夜と)SAMPO
あの人になりたくないな あの人は未来の自分だ 先生、あなたの背中に映るのは わたしの影ですか 「負けるが勝ち」「仕方ないさ」 納得する器量はないな せいぜい私は 許せない自分を 許していこうかな 代わり映えのない 分厚い毎日の わかりきった結末を 殺して生きていく コトバになって カタチになって 一言も言えやしない 臆病な世界で 歪な風穴を 空けていくんだ しょうもないって くだらないって 鋭角な夜にしよう 片仮名な僕らに 居酒屋がよく似合う 代わり映えのない 生温い毎日の 乾ききった結末に お別れを告げるよ コトバになって カタチになって 一言も言えやしない 姑息な世界で 息切れ起こしても走りぬくんだ 心に酔って 涙零して 鈍臭い夜にしよう へべれけな僕らの 五月蝿い戯言を 未来に変えて 美しい虚構を 超えるのはいつも 泥臭い真実だ 革命よ僕らに 居酒屋が良く似合う
楽曲解説
自分より一年遅く会社に入ってきた後輩。 全くタイプは正反対。はじめはウマもソリも恐ろしく合わんな、とおもってた。だが、いや、だからこそ、何となくいつも互いを無視しきれず、一緒に働いている間にそれぞれのいいところもわかってきて、お互いに仕事で切磋琢磨するようになった。 時に言い合いもしたし、ムカつくこともあったけど、間違いなく志を同じくする仲間で、自分にはない部分をもっている、尊敬できる後輩。 この後輩が2月、遠方に異動することになった。 そいつが異動する前日のこと。 いつものメンバー、いつものバーでの壮行会。 思い出話に花を咲かせるでもなく、特にいつもと変わらぬ、しようもない話にくだをまくうちに気づけば夜はふけていく。 そろそろおひらきの時間も近づき、皆が時計を気にしはじめる。そんな空気になんとなく物悲しくなって、ひとりトイレに立った。 が、一体どうしたのか、その後輩がトイレ前の廊下で、息絶えたように眠っている。なるほど、酔い潰れたのか…。 神さまのイタズラか、横たわっていたソイツを起こしたことで、二人きりで思い出話に花を咲かせることになった。 飲み屋の喧騒が遠くに聞こえる中、「やっぱり、本気の思いを持ってないと、人にはバレるよな」「あれは最悪だったよな、アイツはダサかったよな」「絶対10年後、しょーもない先輩にならない様にしような」と話し合った。あの約束は、多分これからも忘れない。 終電に向かって走る京都は七条通り。 ムカつくから言わなかったけど、やっぱり寂しいし、アイツには敵わないと思ったこともあったけど、でも絶対俺の方が負けてないから。俺は音楽もやるし、仕事もやるし、どっちも懸命にやって、楽しんで、こんなおっさん、ジジイがいるんや!と若者に夢を与えられる人間になって死ぬので、せいぜい頑張りやがれと思うのです。 そんな独白を呟いた夜の歌。
アーティスト情報
令和元年(2019年)、始動。 ハンブレッダーズ、加速するラブズ、フィッシュライフ…と関西で話題を集めていたバンドの元メンバーを中心に、「また歌いたい」という一心で結成。 JUDY AND MARY、Mr.Children、くるり、KIRINJI、フジファブリック、吉澤嘉代子…などの邦楽アーティストをはじめとしながら、RadioheadなどUKロック、海外フュージョン、プログレッシブロック、Vulfpeckなど現代ファンクやR&B、コンテンポラリージャズなど幅広い音楽をルーツに持ち、それが(夜と)SAMPOの音楽性にも反映されている。 2020年7月、1st E.P.「夜と散歩」をリリースし、リード曲「革命前夜」でブレイク。同年8月に初ライブを実施。コロナの影響でいきなりワンマンライブからライブキャリアをスタートすることに。そこからわずか半年後の2021年2月、"eo Music Try 20/21"でグランプリを受賞。メンバーの巧みな演奏力とパフォーマンス・表現力、そして根底にある強い想いが、審査員・観客を魅了した結果となった。 根底にある強い想い、とは何か? (夜と)SAMPOはメンバー全員が会社員。「社会人バンドの星になる」という意志のもと、仕事をしながら誰かの心を奮わせる音楽を作り、結果を出していく。それにより、世の中の「人生の選択に悩める人」「何者かになりたい人」を少しでも勇気づけることができたら、バンドにとって何よりの幸せである。 暮らしには、目的がある。 目的を達成するため日々命の火を燃やす。 だが時に人は、目的を追いすぎるがあまり 本質から離れてしまう。 対して"散歩"とはいわば無目的なもの。 意外にも、無目的には本質が潜んでいる。 学校や仕事が終わってからの“夜”、 音楽を聴いたり、友達と酒を呑み交わしたり、緩やかな無目的の中にこそ気づきを得られる。 そんな夜の無目的な一歩に、我々はなりたい。










