乙女座症候群は、2024年6月に高校の軽音楽部で結成された4人組だ。2025年にEggsのショートインタビューにも登場している(https://www.youtube.com/shorts/gcftsyIb7lY)。下北沢や吉祥寺を中心にライブ活動を展開しながら、複数のオーディションにエントリーし、経験を積み重ねてきた。『Tokyo Music Rise 2025 summer』では準優勝。高校生活最後のオーディションとなった『JYOJI-ROCK championship 2025 夏大会 決勝』ではチャンピオン(1位)を獲得している。
そんな乙女座症候群の初音源となるのが「流れ星になって」。4月1日にEggsのみで配信がスタートしている。
整えないことで宿る緊張――粗さを活かした放出型のサウンド設計
「流れ星になって」は、初期衝動をそのまま音へと変換する姿勢が明確に刻まれたアップチューン。開放感ある力強いメロディーも印象的だ。バンドアンサンブル、歌、歌詞のすべてにおいて、“出力の強度”を優先する設計が貫かれている。整えられた質感ではなく、音を鳴らす瞬間の身体性をそのままパッケージすることで、サウンドそのものに緊張が宿っている。彼女たちの場数の実績を考えれば、より整合的に構築することも可能だったはずだが、そこをあえて粗削りなまま残すことに、メンバーのサウンドに対する解釈、もっといえばバンドに対する美学を感じる。アレンジも、レイヤーの増築ではなく、限られた要素を高い出力で鳴らしている。さらに、中域を中心に密度を集中させることで、サウンドに塊としての圧を与え、ダイナミクスを形成している。
ボーカルは特に象徴的だ。高音域においてもファルセットへ声を逃がさず、地声のまま押し上げている。ピッチや安定感よりも、最大限のエネルギーを放つことを優先しているのだ。結果として、わずかな歪みや掠れがそのまま前景化するが、それが楽曲の輪郭を形成する軸となり、エモーショナルなアイコンとして機能している。バンドはその声を支えるというより、同じ熱量で並走し、エネルギーをさらに大きな塊へと変換していく。歌詞は比喩や装飾を削ぎ落とした直接的な言葉で綴られている。シンプルな言葉が、メロディーの反復と結びつくことで、言葉そのものが持つ強度を一段階上げている。
サウンドとしての情報を積み上げるのではなく、鳴らし方そのものに価値を置いているこのアプローチは、インディーロックシーンにおいて、有効な選択肢だ。粗さを削るのではなく、そのまま前進力へと転換していく余地がある。そう感じさせるのが、この楽曲、そして乙女座症候群の最大の魅力である。
文・伊藤亜希
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