ユーモア≒悪ノリすれすれ?本気度マックス!――人畜乱弾「たんぽぽ憎い」が轟音にぶち込む女性の“生態”

ユーモア≒悪ノリすれすれ?本気度マックス!――人畜乱弾「たんぽぽ憎い」が轟音にぶち込む女性の“生態”

2026/10/28

2025年1月に結成されたパンクバンド、人畜乱弾。「人畜生共に乱れ弾をぶち込むガールズパンクバンド」を掲げ、荒々しいサウンドに、剥き出しの感情とユーモアをぶち込み、聴き手へ叩きつける。都内を中心に活動を展開している。メンバーそれぞれが作詞・作曲を手がけているのも彼女たちの魅力だ。今回取り上げる「たんぽぽ憎い」は、ベニスズメタファー(Vo. / Gt.)が作詞を手がけ、メンバー全員で作曲した楽曲である。  

本曲は、パンク/ハードコアを軸に、スクリーモやメタルの要素まで飲み込んだ、緩急あるアップチューンだ。歌われるのは、女性として抗えない“生態”、つまり月経についてだ。Eggsサイト内の楽曲解説には「女の生涯は月経 結婚 離婚 閉経 生臭くてすみません。なんとなく嫌いでもいいですよ。」と書かれている。悪ノリすれすれのユーモアをまとわせながら、身体に訪れる煩わしさを容赦なく吐き出していくのが、この上なく痛快だ。だが、この曲が面白いのは、そういった題材を扱った歌詞のインパクトだけではない。むしろ、その言葉を支えているバンドサウンドの熱量にある。  

各楽器が聴き手に向かって突進してくるようなエネルギーに満ち、気を抜くと瞬時にノックアウトされる。その中でも、存在感を放つのがヴォーカルだ。地声そのものに太い芯があり、通常の歌唱からシャウトへ移っても声の存在感が痩せない。〈たんぽぽ殺せ〉〈タンポン刺せ〉という反復では、歌詞をメロディーに乗せるというより、ひとつひとつの言葉をリズムへ叩き込むようにアプローチしている。その強烈な発声が、シュプレヒコールにも似た高揚を生み出している。  

一方で、歌メロには意外なほどのキャッチーさがある。ゆえに、暴走するようなサウンドでも散漫になっていない。荒々しさとポップネスが、奇妙なバランスで共存している。 

最後は演奏でねじ伏せる――長尺のギターソロが見せるバンドの地力 

さらに終盤では、楽曲が大きく表情を変える。ブレイクによって一度流れを断ち切ったあと、バンドアンサンブルが再び加速。やがてギターが主役へ躍り出て、ハードロック/ヘヴィメタルを思わせる長尺のギターソロへとなだれ込む。歌詞の強烈さに頼ることなく、最後は演奏そのもので聴き手をねじ伏せてしまうのだ。このエンディングからも、人畜乱弾の演奏力とアレンジの引き出しの多さがうかがえる。  

女性として生きていくうえで、どうにもならない“生態”。その身近で切実な題材を、深刻さだけに回収しない。やり場のない苛立ちも、説明のつかない嫌悪も、過剰なユーモアと轟音の中へ丸ごと放り込んでいる。悪ノリすれすれのモチーフを切実に、そして本気度マックスの演奏で鳴らす。その落差こそが、「たんぽぽ憎い」の痛快さであり、人畜乱弾というバンドの個性を鮮烈に立ち上げているのだ。  

文・伊藤亜希 


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