東京都を拠点に活動する3ピースバンド、Laments。高校の軽音部内で結成され、メンバーは現在もティーンエイジャーである。複雑なフレーズを取り入れたマスロックと、感情をストレートにぶつけるエモを軸にし、90年代のオルタナティブロックの質感をまとったサウンドを鳴らす。2026年には、ロッキング・オンが主催するオーディションプロジェクト『RO JACK for ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2026』で入賞を果たしている。
今回取り上げる「ism」は、わずか1分54秒の楽曲だが、聴き終えた後には大きなインパクトと濃密な余韻が残る。
それぞれの音が別の軌道を描く――3ピースだからこそ際立つアンサンブルの妙
3ピースという最小限の編成を生かしたアンサンブルは、ギター、ベース、ドラムが一枚岩になって大きな塊を作るというより、それぞれが別々の動きを見せながら、ひとつの流れを生み、物語を転がしていく。細かく刻まれるギター、独立したラインを描くベース、楽曲を前へ運びながら細かなニュアンスを加えるドラム。マスロックにも通じる緻密さがありながら、技巧そのものではなく、それぞれが鳴らす音の存在感で勝負しているところもいい。「ism」の魅力は、その演奏が歌の感情をせき止めることなく、次々と先へ送り出していくことにある。
ボーカルの歌声には粗さが残り、ところどころピッチの危うさを感じさせるが、そこが楽曲の緊張感になっている。さらに、音程や発声を均質に整えないからこそ、言葉が身体から直接飛び出してくるような生々しさがある。バンドアンサンブルが動けば動くほど、その中央にある歌の直情性が際立っていくのも面白い。緻密さと衝動とのコントラストこそ、「ism」を単なるエモ/マスロックの折衷に終わらせていないポイントだろう。
そして興味深いのは、曲が感情を十分に説明しきる前に終わってしまうことだ。大きなカタルシスへ向かって段階的に盛り上げたり、印象的なフレーズを何度も反復して記憶へ刻み込んだりするのではない。次々と表情を変えながら駆け抜け、まだ続きを聴きたいと思ったところで音が途切れる。
だからこそ、もう一度再生したくなる強度を持っている。整えることよりも、今この瞬間にしか鳴らせない感情と演奏を約2分間に凝縮する。その切迫感に、Lamentsというバンドの“ism”が刻まれている。
文・伊藤亜希
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