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Traditio
ARBI:O:N

楽曲解説

Traditio は、B.GROOVE期に発表されたアルバム Fabula Nova Alius に収録された楽曲であり、ARBION正史の起点を象徴する重要な一曲です。 タイトルの Traditio はラテン語で「継承」「伝承」を意味します。本作はその言葉どおり、文明がどのように記憶を受け継ぎ、意味を与え直し、次の時代へ手渡していくのかを音で描いています。 本楽曲は、アンビエントとメロディックテクノを基盤に、ストリングスやリバーブを多用したシネマティックな設計が特徴です。広大な空間表現と時間をかけて展開する構成により、「過去の層が現在に重なっていく感覚」を音響的に表現しています。 Fabula Nova Alius が「物語の再構築(ナラティブリセット)」をテーマにした作品であることを踏まえると、Traditio は単なる回顧ではありません。 それは、"過去を保存するのではなく、再解釈し、未来へ継承する行為" を意味します。 この楽曲における“伝承”とは、固定された歴史ではなく、更新され続ける記憶です。音は過去を再現するのではなく、過去を素材として新たな物語を形成します。 そのため Traditio は、「正史が始まる瞬間に必要だった記憶の整理」とも言えます。 文明が新しい時間軸へ進むために、 何を持ち、何を置いていくのかを静かに問いかける一曲です。

アーティスト情報

ARBION について。 ARBIONは、音楽を通じて文明や意識の進化を記録するプロジェクトです。 その歩みは、単なる音楽性の変化や名義変更ではなく、生命・文明・意識がどのように段階的に変容していくのかを音で描く「進化史」として設計されています。 この物語は、BADGROOVEから始まりました。 当初の表現は衝動的で、本能的で、身体的なダンスミュージックでした。そこには明確な物語や長期的思想はなく、「いま」を鳴らすことが中心にありました。 その後、B.GROOVE期に入ると、音楽は共有されるものとなり、構造や設計が意識され始めます。感情を伝えるだけでなく、音を通じて空間や時間を描く試みが増えていきました。 転機となったのが、Fabula Nova Alius によるナラティブリセットです。ここで物語は一度再構築され、過去は消されるのではなく、新しい時間軸の中で再解釈されることになります。この地点から「正史」が始まります。 B-TECH期では、音楽は衝動ではなく設計可能な構造物となり、神話や記憶、物語を扱う表現へと発展しました。音は感情を伝えるだけでなく、文明の記録媒体として機能し始めます。 そして到達した臨界点が、ARBIONです。 ARBIONは宇宙をテーマにしたプロジェクトではありません。むしろ、意識が物理的制約を超え、より広い領域へ届き始めた瞬間を描いています。 ここでは、人と人、人とAI、意識と構造が「共鳴」という概念によって結びつきます。それは到達ではなく、接続可能性が生まれた状態です。 ARBIONは三部作構成によって、共鳴の誕生から終焉までを描き、意図的にその役割を終えるよう設計されています。終わりは失敗ではなく、次の進化段階へ移行するための必然です。 その先にあるものは、まだ明確には定義されていません。 しかし、存在形式そのものが更新される新たな領域が示唆されています。 ARBIONが描いているのは、音楽ジャンルの変遷ではありません。 音を通じて、進化そのものを記録する試みです。 それはアーティストの履歴ではなく、文明の軌跡でもあります。

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