
歌詞
作詞:E=RAZOR
作曲:ヒラバヤシダイスケ
降り続く雨に打たれて何も見えず 居場所も無い僕達はただ途切れた 誰かに届く言葉を探したけど 空っぽの感情にはあるはずもなく 後悔と夢と過去と猜疑心と つぎはぎだらけの音はただ途切れた 握りしめた手の内には何も無いけど 始めから何か持ってたわけじゃないだろ? きっと立ち向かってたのは自分自身だったのかな それでも立ち上がればまだ自由を手に入れられるかな 雨に霞む明日はまだ 僕も君も見えないまま 傷だらけの手をかざした 未来へ 降り続く雨に打たれて何も見えず 居場所も無い僕達はただ途切れた いつも変われずにいたのは自分自身だったのかな それでも終われやしないよな 強がりでも構わないから いつかは 雨に霞む明日はまだ 僕も君も見えないまま 傷だらけの手をかざした 未来へ
楽曲解説
『遊歩道』 久しぶりに彼から電話がかかってきた。 「今、暇?」 電話の向こうの声はあの頃のままだ。 ふと、時計を見ると時間は23時を回っていた。 「まあね。」 こういう場合、詳しく用事は聞かない。 聞いてしまうと何に付き合わされるかわからないからだ。昔からのクセが染み付いて抜けない。 もう何年も経つというのに、人は変わらないものだ。 僕達は年末年始の休暇でお互いの実家に帰ってきていた。もう、彼とは長く顔を合わせていない。 「いつもの場所で、どう?」 「いいよ。」 僕達は同じ幼稚園、小学校、中学校に通った幼馴染だった。高校は別になったが、そこからは一緒にバンドをして過ごし、そのまま高校卒業後もバンドを続けた。 随分と長い間一緒に過ごしたが、時間が長いからといって、彼の事を多く知っていたわけでは無いし、それほど仲が良いというものでもなかった。 でも、同じように過ごした時間と環境のせいか、ある領域では共通認識のようなものがあって、不思議と通じる部分はあった。そういう意味では僕は彼のことを絶対的に信用していたし、ある種の安心感も感じていた。 僕達は小高い丘の上に作られたこじんまりとした住宅街に住んでいた。住むには良い所だが、若者には少々退屈な場所だった。郊外のベットタウンで静かではあるが、家以外は何も無いし、街には車かバスに乗らないと行けない。 僕達が通った幼稚園、小学校は同じ敷地内にあり、目と鼻の先に中学校があった。あの頃、僕達の世界のほとんどはその周辺の徒歩圏内に限られていた。小学校と中学校の間には遊歩道が設けられていて、住宅街を縫うようにしてその先、2kmほど続いている。所々に木を模したコンクリート製のベンチと灰皿が備え付けられた休憩所があった。 小学校の横にある休憩所が僕達の昔からの待ち合わせ場所だった。 少し大回りして、自販機で缶コーヒーを買ってからそこに向かう。どうせ彼は遅れて来る。 久しぶりに空を見上げるとそこにはいつもより沢山の星が見えた。それはどういうわけか、僕に世界の終わりを思い起こさせた。 当時、この場所で僕達は実に様々なことを話した。細かい内容は覚えていないが、僕達はいつも「何か面白いこと」を探していた。 それが見つかる日もあるが、ほとんどは何も見つからないまま、話しは尽きる。 バンドを始めたのも、そんな思い付きの一つだった。 缶コーヒーで手を温めながら、見るともなく空を眺めていると、少し離れた歩道橋から彼が歩いてくるのが見えた。彼は休憩所に着くと加熱式タバコを吸った。 僕もタバコに火を付けた。 タバコの銘柄はお互いに変わっていた。 「ウッス」 彼はいつも通り言った。 「久しぶり。特に用事無しでしょ?」 僕は冗談でそう言った。 「だね…。」 僕達は共通の友人の現況や、一通りの昔話しをした。まだ昔話しで盛り上がるような歳でもないが、他に話すことは見当たらなかった。 一通り話したところで彼は言った。 「もし、あの頃に戻ったらどうする?」 「戻りたくないな、絶対。」 「戻りたいかじゃなくて、戻ったらどうするか。の話し。」 「うーん。そうね、、、もっとメチャクチャやるかな。」 彼は笑った。 「そうだね。俺もそうする。」 確かに、僕達はここまの人生で多くのことを諦め、妥協してきた。どう見たって完敗だ。僕達は挑み、負けた。 当時の僕達には明確に何になりたいというものも無かったし、目的と呼べるものも無かったのだから当然なのかもしれない。それはあの頃からわかっていた。それでも僕達なら何かを探しあてられるんじゃないか。そう期待していたし、信じていた部分もあった。いつもここで見つけていたように。 でも、もう終わったことだ。 考えるのはよそう。 そこまで話して、今日は何も起こらないことがわかると、彼は少し残念そうな顔をした。 「じゃあ。また。」 彼は遊歩道の先にある歩道橋を登って薄暗い街灯の向こうに消えた。 彼は今もそれを探していた。










