
歌詞
作詞:E=RAZOR
作曲:E=RAZOR
ここは終わりと始まり いつも通り過ぎていく時間 もう二度と戻れない場所は きっともう一つの物語 空想と未来の分岐点に僕達は何を 見ようとしたんだろう 本当の答えは何時だってすぐ側にあるんだ この手を伸ばせば もう一度、もう一度、今だって明日だって この世界線を突き抜けてもう一人の僕に届け 途切れたまま儚く消えた想いも夢の欠片も それぞれの存在の意味を 今でも叫び続けてるんだ もう一つの場所に揺らぐ音 聴こえた気がした偶然の響きに 思い出したんだ 遠い日の君の温もりとこの声の痛みを もう一度、もう一度、今だって昨日だって、 この世界線を突き抜けてあの日の君に届け 途切れたまま儚く消えた涙もあの約束も もう二度と逢えないとしても 僕らはそこに繋がってるんだ 失って傷ついて怯えた昨日も 居場所も無いまま立ち止まった今日も もう一度、もう一度、全てを越えて きっとあの日の君へ
楽曲解説
【ライブハウス】 そのライブハウスは地下にあった。 上の一階部分はレストランか何かがあったように思うが、あまり覚えていない。 ライブハウスには専用の入り口があり、地下へ下る階段がある。 バンドの機材はリハーサル前に客席フロアーに運び込んでおく必要がある。いつも通り機材車を入り口の階段付近に停めてメンバーで機材を搬入する。 「おはようございます。」 階段を降りたところに受付があり、そこでバンド名を言い、売れたチケット枚数を告げ、残ったチケットと売れたチケット代を受付に渡す。 受付には大抵、若く無口な女性が座っており、事務的にその集金作業をこなしている。 何処のライブハウスも同じようなものだ。 受付の奥にはズッシリと重い防音扉がある。そこから他の出演バンドのリハーサルの音が漏れ聞こえてくる。 扉に体重を預けて開けると、耳をつんざくようなドラム音に一瞬たじろぐ。 リハーサルは本番の出演順番の逆から行われる。そのリハーサルを聴くともなく聴きながら、ギター、ベース、ドラム、アンプ、エフェクター、、、それぞれメンバーが手に持てる荷物を担ぎ階段を往復して、機材をフロアーに運びこむ。 客席フロアーの後ろの中央には階段2段分程、高くした場所があり、そこにPAが座っている。ひとつひとつの楽器の音を順番に拾い丁寧に全体のバランスをとりながら、メインアンプからの音を調整している。その作業はいつも僕に高く積まれた積み木を連想させた。几帳面な人間にしかできない作業だ。アマチュアバンドのPAと言えど、その音ひとつひとつに責任がある。緊張感は自ずと伝わってくる。 フロアーに充満したスモークと下水の匂いが混ざった空気を肺いっぱいに吸い込み深呼吸をする。 もうすぐ、リハが始まる。 僕達がバンドを始めたのは高校1年生の夏だった。 殆どの高校生がそうであるように、その頃の僕達はどうしようもなく退屈で、それを埋める何かをいつも探していた。 学校をサボったり、タバコを吸ったり、酒を飲んだり、女の子と遊んでみたり、時には喧嘩をしたり。とにかく時間の隙間を埋めるように何かを求めていた。そうでもしていないと心と体がバラバラになりそうだった。 当時の大半の仲間達は学校や社会のシステムに縛られ、押し込められ、行き場を失って、反抗心を持っているように見えた。(少なくとも本人達はそう考えていたんじゃないかと思う。) その鬱屈とした感情とバンドというものの親和性は高く、僕達は始めるべくして、バンドを始めた。そしてバンドを通じたコミュニティの中にのみ、自分を表現することを許されていた。 他に選択肢があったのかというと恐らく無かったし、想像もつかなかった。僕達にはどこにも居場所が無かった。 そして世の中の大抵の人間が考えることは同じようなものなのか、当時は社会的にもバンドブームが巻き起こっていた。 僕達は目前に用意された将来のどれもに希望を抱くことが出来なかったのだと思う。 そう考えると、僕達は何も無い海原に漂い、ただ掴まれるものに掴まっていただけなのかもしれない。ただ、溺れないようにだけ。 それでも、小さなライブハウスのスポットライトの先に、手を伸ばせば届きそうな何かがある。僕はそう信じていた。誰に聴いてもらえなくとも、そこに届きさえすれば、、、 タバコを何本か吸いながら、リハーサルの順番を待つ。目を閉じてじっとしていると、不安と焦りが押し寄せては引いていく。 もう何度、これを繰り返してきただろう。 僕達はいつか何処かに辿り着けるのだろうか。 時間はこうしている間にも単調に、無機質に、公平に、過ぎて行く。 もう少し待ってくれ。 あと少しなんだ。










