get up
- 1. STAY KID
- 2. CHAOS
- 3. DRAGON HORN SHOTGUN
- 4. Kick
- 5. KVE
- 6. Anthem for my friends
COCP-40355/¥2,000(税別)
Text:坂井彩花
Photo:千佳
ライブのエンターテイメント性をアーティストが重要視する傾向が強くなったのは、いつの頃からだろうか。特別映像を流したり、スペシャルゲストを呼んだり、普段はしないような長いMCをしたり。決して、それが悪いわけではない。それでも、どこか寂しく感じるのは“音楽で勝負したい”という気迫あるライブに遭遇する機会が減ったからかもしれない。2018年7月1日(土)、TSUTAYA O-Crestで行われた『GETUP!!ROCKERS!!TOUR』は、そんな現状に一筋の光を刺した。ステージに立ったのは、彼女 IN THE DISPLAY。福岡の男くさいロックバンドは、初期衝動に身をゆだねるほうへ舵をきる。
RYOSUKE(Vo.)の「声を聞かせてもらっていいか!」という掛け声を合図に、会場中の手が天井へと伸びる。かき鳴らされたギターが「CHAOS」を導き、ライブは幕を開けた。1曲目からフルスロットルな5人の姿は、観客に媚びる様子が一切ない。松永健太(Ba.)のシャウトもペース配分なんて度外視だ。なれ合いやそんなものでは満足させない、音楽で魅せてやるという決意が間違いなく存在していた。続く「Black Hawk Down act.3」「Paradise Lost」でも、その勢いは衰えることがない。彼らに共鳴したかのように、フロアのクラップも大音量で響く。
「改めまして、彼女 IN THE DISPLAYです。福岡から14時間かけて来たかいがありました!」RYOSUKEがそう言うと、すぐ演奏へ。MCで最小限のことしか話さない姿勢は、言葉にせずとも“いいから音楽を聴け”と訴えかけていた。ポップな曲調の「DRAGON HORN SHOTGUN」では、演奏に合わせて掛け声が乱れ飛ぶ。その光景に思わず逸見豪一(Key.)も笑みがこぼれた。メロディックな「Unlimited」は、パワフルな海 THE KID(Dr.)のドラムソロでスタート。会場の熱がメーターを無視する勢いで上がっていく。
各々のソロプレイで魅せつけたのは、新曲の「PIANOMAN」。個々の技術でもバンドでも太刀打ちできるのは、KID(彼女 IN THE DISPLAY)がその場限りの楽しさに甘んじることなく突き進んできた証だ。未発表の新曲にも関わらず、デビュー当時から演奏されてきた曲と遜色ない盛り上がりを見せる。ハードな音色に真っすぐな歌詞が乗る「PLATINUM」、オーケストレーションが壮大な「ECHOES」と続く。「Kick」は街の騒音に連れられ始まった。彼らを照らす黄色いスポットは部屋に射しこむ西日のようで、哀愁ある曲調をより強く後押しする。<たった一度切りの人生を無駄にはしたくない>という言葉は混じりけがなく、聴く者の胸を真っすぐに射抜く。「MAGI」や「アカネ」を演奏するころにはライブも後半戦。疲れが出始めてもおかしくないのに、彼らの内包しているエネルギーは増強しているよう。そのタフさに「彼ら5人は実在しているのか、画面の中から出てきた超人キャラクターではないのか」と疑いたくさえなった。
RYOSUKEの「回りたければ回れ!」という煽りにより、サークルが会場を揺らしたのは「LET IT DIE -Hail 2 U-」。誰に促されたわけでもなくフロアからは拳が掲げられ、大きな歓声が鳴り響く。それにも飽き足らず、「まだまだ行けるだろ!」と追い打ちをかける5人。「The straight edge dance party」では全力のヘドバンが会場を埋め尽くし、彼らの期待に観客が応えた。多くの視線が注がれるなか、バンド始まりの曲である「Crazy Diamond」を演奏する姿はとても満足そうで、普段はクールな吉田弘輝(Gt.)も思わず口元がゆるむ。そして、導かれる「KVE」。彼女 IN THE DISPLAYがバンドとしてやっていきたいと、決意を再び強くした楽曲のお出ましだ。この2曲を繋ぐセットリストに、初期衝動へ原点回帰するという決意を見出さずにいられるだろうか。
「最高!」「大好き!」という歓声があがったMCを挟み「STAY KID」へ。『get up』のリード曲の登場にフロアの熱もさらに上昇。ラストを飾ったのはアルバムでも結びの曲になっている「Anthem for my friends」だ。今あるすべてを出し切ってパフォーマンスをするメンバー、その姿を寸分でも逃すまいと一心にステージを見つめる観客。気持ちが一直線に結ばれている光景は、映画のワンシーンさながらである。ラストのシンガロングでは、会場中の声が集まり大合唱となった。RYOSUKEがイヤモニを外したのは、その声を直に耳へと焼き付けるためだったのだろう。天を仰ぐ彼の瞳は、いつもより少し潤んでいるようだった。全17曲、ほぼ休みなしのライブアクト。彼女 IN THE DISPLAYは今ある全てを出し切り、アンコールをせず『GETUP!!ROCKERS!!TOUR』初日の幕を下ろした。
この日、彼らは“音楽で伝える”ということを真意に見つめていた。「アンコールがあるかもしれない」と余力を残さず、本編だけでガチンコ勝負。それは、余力を残すことなく一度きりのステージに命を置いてくるため。最小限のMCも、話す内容ではなく音楽をする姿によって何かを受け取ってもらうため。“音楽で勝負する”ことに対して、真摯な姿勢が強く表れた一夜だった。
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