"ワン!チャン!!~ビクターロック祭りへの挑戦~"にて、見事出場権を勝ち取り、"ROAR STAGE"という大舞台に挑んだ「ヤバイTシャツ屋さん」と「kiki」。今回は、この2アーティストによる当日のLIVE模様をお届け!
Text:米沢 彰
1組目、kikiが登場する前から早くも多くのオーディエンスが集まっていた。バレンタインデーにも関わらず"春の嵐"が直撃し、朝から交通網も乱れまくりという悪条件。早い時間にはほとんどオーディエンスはいないのではないかと心配していたが、完全に杞憂に終わったことは、このステージへの注目度を表していると言ってよいだろう。そんな中登場したkikiは"幕張はじめましてー! kikiです、よろしくー!"と第一声をあげ、落ち着いた雰囲気で演奏をスタート。初見の人がほぼ全員という難しい環境だったはずだが、ポップスを基調にジャズやファンク、ソウルのノリをふんだんに取り入れた"大人"なムードたっぷりのサウンドで会場を包み込み、聴く者を1人また1人と徐々にkiki色に染めていく。その伝播していく様子はまるで色彩を伴って目に見えるかのような不思議な光景でもあった。曲が進むにつれ、少しずつ無意識に身体を揺らしてしまう、そんな不思議な力を持ったサウンドはお世辞抜きに実力を感じさせる。初々しさも感じさせつつ、若さや勢いよりも丁寧な音の鳴らし方が先にくるこの感覚は非常に独特で、こういったフェスの場では特に異色に映る。あっという間の短いステージではあったが、ROAR STAGEに集まった人たちの心に残る、心地よいパフォーマンスとなったことは間違いないだろう。そして、このステージが彼らの成長のステップとしてしっかりと刻み込まれたはずだ。
もともとかなり埋まっていたROAR STAGEにさらに人がなだれ込んでくる中、登場したのは"ワン!チャン!!"堂々のグランプリを獲得したヤバイTシャツ屋さん。セッティングが完了して演奏を始めるのかと思いきや、フリップを使ってのプレゼンテーション(?)からスタート。自らが住む"喜志駅"周辺の説明から始まり、ヤバTがビクターロック祭りに出演することで不足している"学生ノリ"が補える、とか相当な時間をかけて奔放なMCを展開。つかみもバッチリというところでようやく「喜志駅周辺なんもない」で演奏をスタート。シンプルなコードとノリやすいリズム、そして独特の歌詞で早くも盛り上がりが会場の各所で沸きあがる。最初の説明がなければまったく共感できない"究極の地元ネタ"を東京で繰り広げる彼らの神経の図太さには恐れ入るが、この神経こそが"今最もキテるアーティスト"と各所で評される大きな理由なのかもしれない、とか思っていたら次の曲間もまた長いMC。激戦を勝ち抜いて大規模ホールで行われるステージに出演しておいて、尺の半分以上をMCに充てるという暴挙も彼らだから許されるのか? いや、むしろこの感じが楽しいんだ。音を楽しみながら笑ってノって、手を振って。
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