tossed coin ~supported by Eggs~
- 日程
- 2019年10月18日(金)
- 開場 / 開演
- 19:30 / 20:00
- 会場
- 渋谷HOME
- 出演
- Youmentbay / DENYEN都市 / YveZ
- 料金
- entrance free (※Another:2Drink order & donation)
- チケット
- 予約はこちら
- 主催
- Eggs / 渋谷HOME
Text:中村圭汰
Photo:ゆうばひかり
毎月開催となって3度目のtossed coin。華金という言葉が指し示すように、華やかな金曜日の夜を素晴らしき3組のアーティストが彩ってくれた。
トップを飾るのは、今年のFUJI ROCKでROOKIE A GOGOにも出演した今勢いのある”令和のスーパーファンキーインストバンド”、YAZEKA。 野太く流れるベースラインとシャープなドラムから”YAZEKAのテーマ”が始まる。
「はじめまして渋谷HOME、YAZEKAと申します。よろしくお願いします。」
Ba.ヒナタが高らかに宣誓すると、曲の随所で発せられる「ヤーゼカ!」という掛け声が観客の高揚感を煽る。ファンク色全開のサウンドで彼らのステージは幕を開けた。
続く、”Jumbo Nuts”は軽やかなメロディーラインが印象的な一曲。スリリングに展開する曲に高度に研ぎ澄まされたテクニックが抜群の安定感をもたらす。ど真ん中に突き抜けるサックスの音はバンドサウンドをメロディアスに牽引していった。
彼らはマシンガンのように乱れ撃つ音の粒を会場に解き放ち、その一つひとつが観客の五感を刺激していく。 そうかと思えば、乱れ撃ちの応酬から一転。“OPP”ではジャズ要素の強いアダルトな世界観で会場を満たす。サックスが奏でる音にはキリキリとするような切迫感と力強い包容力があった。
「最後まで盛り上がっていきますよ、GATEWAY!」
ラストナンバーのコールが連れてきたのは、若き5人組の放つ”うざったい”ほどフレッシュで眩しい、爽やかな一曲だった。最大出力で駆け抜けたYAZEKAのステージ。彼らの勢いは今後も留まることなく、音楽シーンの中で輝きを放つに違いない。
続いてステージに姿を現したのは3人組のラップユニット、MONJU N CHIE。 それぞれが異なるバックボーンを持つ異色の三人から構成される彼らは、ジャンルという概念を取っ払った自由さと爆発力を感じるステージを見せた。
一曲目に披露したのは”3’s THEMA”。KTYの放つパワフルなリリックが会場を沸かせると、カルロスまーちゃんの透き通った声が清流のように流れる。MCオトウトの飾らないラップスタイルは等身大の言葉をリアルな熱量で吐き出していた。 ステージと観客席、その垣根は彼らのライブにおいて存在しない。観客に歩み寄るということではなく、彼らが解放するフラットなパフォーマンスに自然と引き込まれていく感覚に近い。
“Heys Morning”では、ゆるりとしたトラックに優しく言葉を並べながらも、内側から溢れるエネルギーに身を任せ、音に身を委ねる。今この瞬間にしか生まれ得ない音楽体験を心の底から楽しんでいるように見えた。
最後を飾った曲は、9月18日(水)に配信限定楽曲としてリリースしたばかりの“NATSUYASUMI”feat.中野陽介(Emerald)。愛らしいメロディーにカルロスまーちゃんのキュートな歌声に、温度の違うラップを絡ませ合う二人。夏休みというモチーフが持つ世界観は、晴れた猛暑の夏ではなく、夏という季節が持つ儚さが詰め込まれていた。
あくまで等身大の言葉を、飾らず真っ直ぐに観客に届ける彼らのステージ。どこまでも人間らしく、その人間らしさそのものが彼らの音楽を形作っていた。
観客から沸き起こる歓声も、コールアンドレスポンスに対する反応も、鳴り止まない拍手も。 その全てに愛が詰まっていた。
堂々たる風格でトリを務めたのは、流線Kグルーヴ。身動きが取れない程埋め尽くされた会場からは、演奏が始まるや否や大きな歓声が上がった。
地を這うベースラインが連れてきたのは”KAMISORI”。抜群のリズムで繰り出すVo.Hydro as BNJのラップは生バンドとの親和性が高い。色濃いグルーヴを築くバンドサウンドの中で、リズムにアクセントを加え、言葉の持つ音や韻の踏み方によって曲にエッジを効かせる。
「マイメン、SABO!」盟友SABOをステージに呼び込むと、コラボ曲”Slowly wonder”を披露。スピーディな掛け合いと気の利いた言葉遊びが耳触りよく鼓膜を刺戟する。最後まで執拗に煽り立てながらアグレッシブなステージを繰り広げた。
続けて、新メンバーhitaがステージに姿を現すと、”Soul Generation”から新曲”SLLY”へ。力強く空気を震わせて歌うhitaの歌声は”流線Kグルーヴ”が生み出す音楽の可能性をぐっと広げていく。
最後の披露されたのは”夕暮れSUPLEXX”。太くも優しい彼の歌声とメロウなサウンドがクライマックスを切なくも美しく彩った。多彩な手札を持ち合わせている彼らの音楽はまるでジェットコースターのようなアップダウンを見せながら、最後まで観客の心を揺さぶり続けた。
最後の音が鳴り止むと、大歓声の中、即興の投げ銭ソングで観客へ投げ銭を求める。投げ銭というフックを使った一つのエンターテイメントとして、観客を最後まで楽しませてくれた流線Kグルーヴ。
トリに相応しい圧倒的なステージを目の当たりにした。
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