tossed coin ~supported by Eggs~
- 日程
- 2019年11月15日(金)
- 開場 / 開演
- 19:30 / 20:00
- 会場
- 渋谷HOME
- 出演
- seasunsalt / ylang ylang / and more
- 料金
- entrance free (※Another:2Drink order & donation)
- チケット
- 予約はこちら
- 主催
- Eggs / 渋谷HOME
Text:中村圭汰
Photo:ゆうばひかり
今回のtossed coinは、いつにも増して三者三様。それぞれの個性と、様々な音楽的アプローチに胸踊るライブが繰り広げられた。
ステージ中央に一人、ギターを抱えて立つのは豊田康一郎。今回のトップバッターだ。 その立ち姿からは穏やかで温かい雰囲気を感じる。彼は丁寧に言葉をメロディーに乗せながら、スムーズに曲を前に進めていく。
”メロディーをこしらえる”では、突き抜けるような高音でサビの高揚感を演出すると、”何となく春”では、アコースティックなSSW特有のオーガニックさが心地よく身体に溶け込んでゆく。
シンプルな音、メロディーだからこそ言葉が持つリズムは曲の印象を大きく左右する。彼の曲には引っかかりのある言葉が絶妙な配置で散りばめられていた。
強いメッセージ性を放ったのは、実体験に基づいて作ったという”凡”。リアリティのある歌詞が素直なメロディーに乗ることで観客の心を引き寄せる。
夢を追うことの理想と現実。正論と感情の狭間。一人の主人公の物語でありながら、全ての人に向けられた普遍的なメッセージが詰め込まれていた。後半に進むにつれて発せられる言葉は一層熱を帯び、表面的な言葉の羅列ではない彼の言葉として会場に響いた。
旅の前日の高揚感からインスピレーションを受けた”夢かうつつか分からんベイベー”が本日のラストソング。大人へなることへの葛藤から一転、目の前にある楽しいことに只ひたすらにワクワクする童心のような気持ちを無邪気に歌ってみせた。
続くは、ネオ歌謡ポップスバンドのキャッチコピーを持つ”Sijima”。
彼らは一曲目の“Discotheque”からポップス感全開で観客を迎え撃つ。跳ねるメロディーラインに乗せて色彩豊かなサウンドで会場を彩ると、サビのフレーズが頭から離れない”Twilight time”へと続く。
彼らの曲にある”歌謡ポップス”の要素は、その「大衆性」にある。耳に残るメロディーと、断片的でありながら聴き手の想像力を掻き立てるリリック。イメージの余白があるからこそ、誰にとってもあなたの歌になりうるのだろう。
夏の曲という紹介から披露された”Magic Time”は、カーステレオから流れる曲に合わせて海岸線を車で駆け抜けるシーンがぴったりはまる一曲。爽やかなアップチューンが夏の終わりをまだ先伸ばしにしてくれるような気がした。
どこか懐かしい親しみあるメロディーにも、細かなギミックやアレンジで今の音楽シーンのムードに持っていく力が彼らにはある。新曲”flap”でもその特徴をいかんなく発揮し、低音がしっかりと曲の中で存在感を示しながら、重厚感のあるサウンドでポップスを鳴らした。
ラストナンバーは”Good Bye”。歌を聴かせる為に徹底的な引き算を行うサウンドスタイルではなく、各パートの個性を発揮させつつ歌を共存させるのが彼らのやり方。Vo.高城の歌声がより鮮明に曲の中で存在感を発揮してステージを終えた。
最後にステージへ立ったのは、メロウ&モダンソウルミュージックバンド、Smoozy。
観客を焦らすように、ゆっくり丁寧に、彼らの音を会場に染み込ませてゆく。正確に刻むドラムのビートに余韻のあるギターサウンド。空気の揺れに包まれた感覚になるほどの深いベースの音色。 ストリートで鍛え上げられた音をもって観客を引き込む力で一気に自分達の世界へと観客の心を掴んだ。
そんな余韻も束の間、シャープなカッティングギターから骨太のソウルミュージックへ。無意識に身体が反応し、アタックの強いスラップベースを全身に浴びた。
彼女たちの特徴はメロディーの良さもさることながら、抜群のサウンド・デザインにある。 “Sweet Sweet virgin”では、曲の中にあるタイトな部分と開放的な部分を上手く組み合わせ、観客の快楽のツボを押す。Vo.SAYAKAが時折見せるしゃがれ声は、その洗練されたサウンドをよりアグレッシブな印象に昇華させた。
ラストナンバーはMVにもなっている名曲”Drama Queen”。音量、音圧の微妙なニュアンスの違いで魅せるアップダウンで観客を翻弄すると、そこから爆発力のあるサビへと流れ込む。特濃のファンクネスを存分に発揮すると、そこから一転、囁くような歌声で最後のワンフレーズを歌い上げた。
王道的な力強さと骨太さを感じつつも、どこを切り取っても発見や驚きがある緻密なバンドサウンドを見た。
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