Text:中村圭汰
Photo:ゆうばひかり
毎回様々なアーティストを迎え開催されるtossed coin。
ジャンルという枠組みで音楽が語られることの多い昨今、ジャンルの異なるアーティストを一つのイベントで見ることには意味がある。
曲に込められたメッセージや意志、想いはジャンルという枠組みだけでは語りきれない。フラットな視点で、より自然体で音楽に触れることができれば、音楽の楽しみ方は何倍にも広がっていくはずだ。
今回もジャンルの異なる3組のアーティストがそれぞれの大切なものを手に、ここ渋谷HOMEで極上のグッドミュージックを奏でてくれた。
卓越したギターテクニックと哀愁漂う歌声。高橋飛夢のステージが始まる。滑らかでありつつもアナログ盤のザラつきのあるギターの音色に、軽快に言葉を乗せていく“ふざけて生きたい”。ブルースやジャズの香るフレーズを畳み掛けると、たった一人でアンサンブルを生み出していった。
続くは、”ロックンロールのお兄さん”。「ロック」ではなくあえて「ロックンロール」という言葉を選ぶあたりも秀逸。ステレオタイプでマイノリティ、どうしようもなくて、だけれどちょっぴり憧れてしまうロックンロールに取り憑かれた男を歌う。淡々と歌い上げられるからこそ、言葉の重みと深さをはっきりと感じ取ることができた。
クリーンな音色に少し物悲しいストーリーを紡ぐのは、”さんぽのおじさん”。何とも変わったタイトルではあるが、悲観するだけでも楽観するわけでもなく、名前の付かない感情と共に生きていく人生を歌う。跳ねるようなメロディーが切なく胸を打った。
指が弦を弾く、その音さえも心地よく鼓膜に触れるラストナンバー”東京駅”。様々なドラマを描くことのできる東京駅をテーマに、音の強弱、声の発し方、表情その全てを使って「希望」を歌う。只々、前を向く希望ではなく、葛藤の先にある希望を信じようとする心の機微をカッティングの抑揚と吐息交じりの歌声で表現してみせた。
続くは、山梨県在住のエレクトロポップユニットFUNLETTERS。一定の間隔で落とされる低音に浮遊感のあるエフェクトボイスの音像が観客を包み込む。
踊れるダンスビートの中にどこか気怠さを感じる”東京”は、拳を高く突き上げて跳ねるよりも、目を閉じて音の波に身を委ね身体を揺らすほうがしっくりくる。ビートだけで押し切らず、音の組み合わせや音の余白を上手く使いながら観客の感情を荒ぶらせていった。
青灯り、深海のように照らされたステージで鼓動の音にも似た丸みあるビート。Vocal.CHAMiのクリアな歌声が深海の中に射し込む一筋の光のように輝きを放つ”そこに愛があるなら”。愛を歌う曲は数あれど、言葉としての愛を超えた感覚的な美しさをメロディーラインが紡いでゆく。
曲間なく矢継ぎ早に展開されていくライブ。点と点を線で繋ぐように、彼らは彼らにしか生み出せない空気を会場に充満させていった。最後に披露された” untouchable”はエレクトロポップとしての底力を示すかのような一曲。ポップスの持つ「大衆性」をキャッチーなメロディーが支え、エレクトロの持つ「煌びやかさ」を多彩な音色で彩った。
今回のトリを務めるのはYoumentbay。穏やかなサウンドメイクとサビの繰り返しが耳に残る“息をとめて”から彼らのステージは始まった。発せられる音に一切の角がなく、Vo.サクライのミックスボイスに似た歌声が曲全体を優しく包み込むと、続く”GOOD”へ。王道的なメロディーの中に潜むのは、バンドそのものが持つ「ぬくもり」。どれだけギターをかき鳴らしても、ドラムが力強くビートを刻んでも彼らの音楽には陽だまりのようなあたたかさがあった。
一転、軽快なギターにラテン調のリズムを基調とした”Feast”では、カラフルな照明がよく映える。開放感溢れるサウンドに柔らかなVo.サクライと山谷の肩の力が抜けたラップの掛け合いが印象的なこの曲。いい意味でのゆるさは観客と肩を組むような距離感を生み出していった。
「夏を思い出す曲」と紹介して始まったのは”Cider”は、前曲の南国的な開放感としての夏ではなく、ここ日本で鳴る「夏』」を歌う。疾走感のあるビートが突き進むなかに、甘酸っぱい青春の匂いが漂ってくる。季節に誘発されて呼び起こされる記憶が走馬灯のように駆け巡った。
ラストソング”Night Radio”の終盤、ビートを加速させたアグレッシブな演奏の中を披露。ただ、その中にもきちんと彼らの持つ「ぬくもり」は詰め込まれていた。
日常のBGMとして、置き薬として彼らの音楽が鳴っていたら少し心が軽くなるような気がする。
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