無垢
- 1. 黒い息
- 2. 蘇生
- 3. 悲劇ごっこ
- 4. 靡かない
- 5. 環
- 6. ご飯の食べ方
text:田中隆信
8月5日に1stミニアルバム「無垢」をリリースしたシンガーソングライターのRanが、20歳を迎えた8月9日にアルバム購入特典「20th Birthday Special Live」を東京・吉祥寺SHUFFLEから生配信した。
福岡県出身のRanは昨年の春に上京し、渋谷、下北沢、代官山、吉祥寺など、都内のライブハウスを中心に活動してきた。昨年9月には、デジタルアーティスト“watabku”がデザインを手掛けたTシャツとMカード(「ご飯の食べ方」を収録)をヴィレッジヴァンガードで販売。ヴィレッジヴァンガードなど下北沢で撮影された「ご飯の食べ方」のMVも話題に。そして今年2月には「ご飯の食べ方」「蘇生」「環」の3曲を各サブスクリプションサイトで配信デビューする。
今回のミニアルバムは先行配信された3曲に、新たにレコーディングした「黒い息」「悲劇ごっこ」「靡かない」の3曲を加えた全6曲で構成。Ranが自分自身と真摯に向き合い、心の中に秘めている想いや対人関係の中で生まれた想いなど、いろんな感情が凝縮されたアルバムになっている。
13時、開演時間となり配信開始。「無垢」のオープニング曲でもある「黒い息」でライブがスタートした。ミニアルバムではロック色の強いアレンジの楽曲だが、今回のライブはアコギの弾き語りスタイルということでまた違った楽曲の魅力が感じられた。続いての「蘇生」では、人間臭さや真っ直ぐな想いが伝わってくる。“生きさせてください”という言葉がずっしりと響き、“歌詞”の良さもRanの大きな魅力ということを改めて感じさせてくれた。
2曲を歌い終え、「みなさん、こんにちは。Ranです。今日はよろしくお願いします。今日は特典ライブということで、ちょっと張り切って頑張りたいなと思います」と挨拶をし、「悲劇ごっこ」へ。ミニアルバムの曲順通りの演奏が続き、作品の世界観もしっかりと再現。
「今日はBirthday Liveということで、20歳になりました。20歳になるのがすごく嫌ってワケじゃないけど、10代が終わっちゃうんだなって思ったりしました。いつも誕生日前ってソワソワするタイプなんですけど、昨日はライブのことで頭がいっぱいで、誕生日って感じがしませんでした。20歳最初のライブということで、ちょっとレベルアップしたいと思いつつ、やっていきたいと思います」と20歳を迎えた心境と新たな決意を表明。
届きそうで届かない、振り向いてもらえないという切ない思いを描いた「靡かない」。全てを無くした自分を“美しい”と肯定してくれた“安堵”を綴った「環」。曲によって、いろんなストーリーを見せてくれる。その「環」とはちょっと違うかもしれないが、YouTubeライブのコメント欄のたくさんの温かいメッセージを見て安堵したのか、「実は今日、めちゃくちゃ心配してたんです。全然コメントが来なかったらどうしよう?って(笑)」と、ホッとした表情を見せた。
続けて「高校2年生ぐらい自分の曲を書き始めて、こんなふうに形にしていただいたことを当時の自分に言ってあげたいです」と改めてミニアルバムをリリースできた喜びを語り、「自分自身にすごく向き合った曲ばかり入っています。心のどこかで『自分なんて』と過小評価し過ぎる気持ちが自分の中にもあるので、同じように思っている人たちにも、私の歌を聴いてもらってちょっとでも『明日、頑張ってみようかな』とか思ってもらえたらうれしいです」とファンに向けてのメッセージも伝えた。
続いては「ご飯の食べ方」。上京したての頃に作った曲で、不安がありながらも希望を抱いている気持ちがストレートに描かれていて、歌詞にもある“無敵感”が感じられる曲でもある。
『無垢』の曲を順番通り披露し終えたところで、「新曲を持ってきました」と言って、生ゴミを見た時に作った曲「廃棄物」、“甘い嘘だけ信じていたい”といった印象的なフレーズが多い「おれんじ」を披露。さらに「最後の曲は、初めて共作をしまして、『黒い息』の(アレンジを担当した)村田有希生さんと初めて曲を作りました。ちょっとどこか懐かしくなるような曲です」と曲紹介し、「行方」という曲を演奏した。
ここで配信が一旦終了するが、再び配信が始まりアンコールへ。Tシャツに着替えてステージに戻ろうとしたRanは、ステージ上の人物に気付き驚いた様子。なんと、Ranがレギュラー出演している番組「関内デビル」の大場英治がバースデーケーキを持ってスタンバイしていた。
「ちょっとなんですか! 顔面パイされるかと思いました(笑)」とビックリしながらも、「今年、ケーキを食べれないかと思ってたんです。うれしい!」と笑顔に。サプライズはケーキだけではなかった。なんと「2000年8月9日」というタイトルの曲を書き下ろし、弾き語りスタイルでプレゼント。歌詞には、シドニーオリンピック、当時流行していた“腰パン”や“パラパラ”、“人形に手を入れて喋り始めた年(大場が出演していた「saku saku」が2000年秋に放送開始)”など、Ranが生まれた年にちなんだ出来事が盛り込まれていた。
「これ、もう私の曲ってことでいいですよね? いただきます(笑)」と満足気な表情を見せて、「アンコール、ちょっと懐かしい曲をやりたいと思います。男の子の妄想の歌です」と、これまでのライブでも多く披露してきた「ビーナス」を最後に歌い、「ありがとうございました! またね!」と手を振って配信を終えた。
ミニアルバム『無垢』に収録されている6曲を収録順に歌い、さらにいくつか新曲を初披露するなど、まさに“最新のRan”が感じられるライブに。ライブ後、「忘れられない誕生日です。届けられてたかな。届いてたらいいな」とツイートしていたが、観ていた人たちに歌声、曲に込めたメッセージ、ライブパフォーマンス、どれもしっかりと“届いた”ライブとなった。
なお、こちらのライブは8/5にリリースされた「無垢」購入者特典として、2020/10/9(金)23:59までアーカイブ視聴が可能になってます。
セットリスト
M1 黒い息
M2 蘇生
M3 悲劇ごっこ
M4 靡かない
M5 環
M6 ご飯の食べ方
M7 廃棄物
M8 おれんじ
M9 行方
EN1 ビーナス
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