DOKUHAKU
- 1. 2/初期衝動
- 2. 幸福のすゝめ
- 3. ナイトループ
ライター:月永結花
昨年11月にファーストEP「DOKUHAKU」をリリースした松田美妃。 独自の世界観で歌う彼女がどうしてシンガーソングライターの道を選んだのか、音楽という表現を通じて伝えたいこと、「DOKUHAKU」に込められた思いを聞いた。
――松田さんが音楽をはじめたのは、どういうきっかけですか?
はっきりとしたきっかけはないんですけど、小さいときから歌うことが好きで。漠然と「歌手になりたい」と思ってたんですが、他人にどう思われるかなど臆病だったこともあり、あまり口に出すことはなかったですね。でも、小学校の音楽の授業で、先生に「歌が上手」だと言われたとき、自分の夢を自覚しました。
――その頃はどんな音楽を聴いてたんですか?
最初はいろんなアーティストが歌っている姿を見るのが好きで、テレビで音楽を聴いてました。そのうち、ライブを見にいったりいろんな音楽を聞いたりするようになって、自分の中に悔しい気持ちがあることに気づいたんです。
当時は学生で、部活でバスケットボールをしてたんですけど、卒業してからは「やるからには、絶対に歌手になる」という覚悟で音楽をはじめて。もっと早くスタートすればよかったのかもしれないんですけど、厳しい部活のおかげでメンタルも強くなったし、続けることの大切さを学べたので結果的によかったと思います。
――コロナ禍で思うように活動ができないこともあったと思います。そうした生活の変化によって、曲作りへの影響はありましたか?
ありましたね。最初は曲作りが自分のはけ口であり、自分のためだけに作ってたんです。でも、誹謗中傷や差別などのニュースを目にする機会が増えたことで、「自分のことだけじゃだめだ」と気づいて。
それに、もともと「自分なんて」って思ってたんです。でも、自分を好きにならないと、周りのことも本当の意味で好きになれない。自分を好きになるには、自分と向き合わなくちゃいけない。それに気づいたこともあって、曲作りもプラスな方向に進んだかなって思います。
――今回の「DOKUHAKU」も、その変化の中でできた曲なのでしょうか。
もともとは1年前にリリースする予定で、すでに曲はできていたんです。でも、コロナ禍で考え方が変わっていって、あらためてリリースに向けて書き直した結果、この「DOKUHAKU」という形になりました。
――もともとはどんな曲だったんですか?
最初は、再生というタイトルで、何があっても再生するという意味を込めていたんです。 でも、その曲はまさに独り言で、自分に対しての思いがすべて。それに、これまでの自分だったら「独白」は、暗いイメージでした。
でも、他人に対しての思いも強くなっていって、ポジティブな気持ちになったことで、今までの覚悟もマイナスな感情も全部背負ったうえで、良くも悪くも「独り言」を言うのはこれが最後だって思ったんです。なので、これまでとも、これから作る曲とも、違った作品になったんじゃないかなと思います。
――最後の独り言、どんな風に聴いてもらいたいですか?
私は曲作りでは歌詞を大切にしてるんですけど、「こういう意味です」って明かさずにいるのが好きで。 同じ曲を聴いても、人によっていろんな解釈ができると思うんです。なので、それぞれの感じ方で楽しんでもらえると嬉しいです。
――今後、どんなアーティスト像を描いているのでしょうか。
これまで、先のことを考えるよりも、今したいことをやってきたんです。なので、どんなアーティストになりたいっていう明確な答えはないんですけど、「同じような人間がいるんだな」って思ってもらえるような、痛みとか弱さに寄り添える存在になりつつ、時には人としての強さを感じさせ、少し背中を押す勇気や力を与えられるような存在でもありたいです。
私の音楽って、個性的というか、わかりにくさもあると思うんです。でも、裏を返せば、そういうよくわからない部分が武器になると思っていて。「誰かに似てるよね」って言われるんじゃなくて「松田美妃って感じだよね」って言われるような、唯一無二の埋もれない存在になりたいですね。
――最近はTikTokなどにも挑戦されていますよね。それも変化のひとつなのでしょうか?
TikTokもそうなんですけど、最近、ピアノを弾いたり絵を描いたりしていて。音楽以外の自己表現に対しても積極的に取り組んでいきたいなって思ってるんです。実は小さいときに絵画教室に通っていたことがあって、今ならその経験も活かせるのかなって。
今の目標はもっとたくさんの人に知ってもらうことなので、そのためにも、今はTikTokとか、インターネットを通じた表現をしていきたいなと思います。その目標が達成できたら、また違ったやりたいことが出てくるんだと思います。
本能とか直感にしたがって、「今回はこういう風にやってみたい」「これだとどう思われるのかな」っていうのを実験的に繰り返しながら、その時々で、これからもやりたいことを素直に表現していきたいですね。
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