Text:agehasprings Open Lab.
今日の日本において海外の音楽シーンからの影響は、ストリーミングサービスの拡大などプラットフォームの面だけに留まらず、ミュージシャン達のクリエイティブ面にも波及し始めている。D.A.N.やyahyel、WONKらを筆頭としたバンド勢から、向井太一やSALU、iriなどのソロシンガーまで、海外シーンのトレンドやムーブメントを敏感にキャッチして、それを昇華し独自の音楽として発信するインディペンデントな若手ミュージシャンが次々と台頭している。
この波はインディーシーンのみならず、音楽シーン全体に波及し始めており、2016年にはFuture Bassを取り入れた最新EDMサウンドを発信していた三代目J Soul Brothersや三浦大知らを筆頭に、アイドルグループのBiSHはフィジカルのリリース前にアルバム全楽曲を無料ダウンロード可能にするなど、海外のシーンにならったプロモーションを実施。最近では米津玄師やw-inds.らが、Tropical House以降の最新EDMのマナーを取り入れた楽曲をいち早く発表し話題をさらった。そしてポリティカルなメッセージを込めた楽曲「キョウボウザイ」を、突如YouTubeで公開したラッパーのSKY-HIのアクションは、Kendrick LamarやChance the Rapperなど、ソーシャルコンシャスなアクションで音楽シーンを越え、社会全体に影響を与えている海外のラッパー達に追従するものと言える。
そして、ここEggsに登録している若きミュージシャン達にも、その波は確かに及んでいるのだ。今回は、そんな世界の音楽シーンと、同時代性を持ったサウンドで最前線に立たんとする、次世代のアーティストをピックアップしていきたい。
ブラックミュージックにルーツを持つのであろう、ソウルフル且つ力強い歌声で、アコースティックギターでの弾き語りから、跳ねるピアノが印象的なジャズナンバー。更には、ザッツR&Bライクなトラックの曲まで自在に乗りこなす柔軟なスタイルに、確かなポテンシャルの高さを感じる19歳のシンガーソングライター・ENNE(エネ)。ソロではもちろんのこと、個人的には非常にフィーチャリング映えしそうな記名性の高い声だと思っており、例えば強烈なフローを操るラッパーとの共演や、新世代トラックメイカーと共演した楽曲なども聴いてみたいところ。多岐に渡る活躍が期待できるSSWだと思う。
未確認フェスティバル2017の“ラップだけステージ”に参加。17歳ながらスキルフルなラップを披露し、才能の片鱗を見せ、見事「審査員特別賞」を勝ち取ったJKラッパー・oozash(ウーザッシュ)。日本でもDAOKOや水曜日のカンパネラ、Charisma.comの活躍で、“フィメールラップ”はとても身近なものとなり、彼女が活躍できる土壌は既に出来上がっていると言える。更に、彼女は2016年以降の海外Hip Hopの主流の一つであるTrapのビートに乗せてのラップを主軸としているようで(SoundCloudには「FAKE prod. by t53」という楽曲も投稿されているので、こちらも是非チェックしてみてほしい)、Trap自体がまだまだ日本に入ってきていないがゆえに、そのポジションのフィメールラッパーが数少ない分、それだけで期待値は高い。しかしながらトラックに派手さが一切無い分、フローやリリックなどとにかくテクニカルな部分を求められるこのジャンル。是非女性版Futureを目指してほしい。
東京を活動拠点にしている3ピースバンド・Tree Tree Tree(ツリー・ツリー・ツリー)。ポストパンクやニューウェーブを感じさせる、ザラっとしていながらも洒脱なバッキングに、The 1975や日本ではFIVE NEW OLDなどのポップバンドを彷彿とさせる抜群のグッドメロディー。そして、Vo./Gt.であるShinの憂いを帯びたエモーショナルで伸びやかな歌声が魅力のニューカマーだ。世界的にバンドサウンドが流行らなくなった昨今、ColdplayやMaroon5などの世界的バンドも、バンドサウンドから解放されポップフィールドへシフトする最中、ここ日本から“バンドサウンドの質感を残しながらもポップなメロディーで勝負する”バンドが台頭してきて非常に嬉しく思う。メロディーと声がとにかくツボ過ぎるので、早くLIVEが観てみたい。
兵庫県出身、若干19歳のラッパーSILYUS(シリウス)。DRAKEやThe Weekndなどの、アメリカでR&B/Hip Hopシーンの先頭を行くようなポップスターや、韓国R&Bシーンの次世代を担うDEANやJay Parkから色濃く影響を受けているとプロフィールにある通り、最新鋭のトラックも然ることながら、The Weeknd的なメランコリックさやDEAN的な攻撃的なフローなど、様々な要素を呑み込み独自のものへと昇華する、10代ならではの柔軟なセンスが光っている注目株である。「フリースタイルダンジョン」の大ヒットで、ラップブームが再燃して久しい昨今の日本の音楽シーン。しかし、現状では一過性のブームに過ぎず、「ラップ」がカルチャーとして根付くには至っていないのが現状と思われる。しかしながら、彼のようにヒリついたラップをしている10代のラッパー(Weny Dacillo、Kaino Jonesなど)も、次々台頭していることは事実。これからのラップシーンを是非牽引していってほしい。
Eggsに登録はないのだが、この並びで紹介したいのが、Future Bassをベースにしたカラフルなサウンドとキュートなルックスで、人気沸騰中のアイドルグループ・CY8ERのメンバーである、“ましろ”のソロプロジェクトであるコチラ。謎に包まれた点は多いが、どうやら彼女を筆頭に男性ラッパーやトラックメイカーを含めた3人のチームで活動している模様。サウンドは近年のHip Hopの主流であるTrapをベースにしながらも、メロディーには和の要素を入れたり、声にエフェクトを掛けたりと、独自のオリジナリティーを発揮している。先鋭的なサウンドも然ることながら、私が注目したいのは“アイドルがソロプロジェクトでラップユニットをやっている”というところ。バンドマンがプレイヤーとしてバンドを兼任するケースや、モデルがDJとして活躍するケースは多々あるが、このSHACHIのケースは非常に珍しいのではないだろうか。このケースがもっと広がれば、クリエイティブの可能性も広がるのでは?という点で、今後に期待大である。
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