西沢成悟の「わたくしごとですが」vol.2

コラム

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いつもありがとうございます。
メメタァのギターボーカルの西沢です。

わたくしごとで大変恐縮なのですが、先日、近所の神社で夏祭りをやっていたので、行って参りました。
神社の境内には、所狭しと出店が並び、コロナ禍の影響で3年ぶりの開催だったようで、心待ちにしていた浴衣姿の子ども達や学生のグループ、家族連れでかなり賑わっていました。

出店でお好み焼きを買った時、店主のおじさんから「はい、600万円」と言われました。
苦笑いしながら600円払った訳ですが、それと同時に、ああ、そうだ、これだコロナ禍で忘れかけていた、お祭りの出店の感じだ、と思いました。
強めのタメ語でくる感じ。
なんとなくお客様というか客という感じ。
愛想の奥底にある無愛想な感じ。
幼い頃に感じた親でも親戚の人でも学校の先生でも近所の人でもなく、おつかいに行った商店街のお店の人ともどこか違う、どこにも属さない出店の店主という大人との再会の喜びをお好み焼きと一緒に噛み締めていました。

そして、お祭りの最後には神社にある舞台で神楽が始まりました。あ、「君の名は。」で見たやつだと思いながら近づいてみると、舞台の周りには多くの人が集まっていました。
そうだよ、やはりお祭りというのは無病息災とか地域の繁栄とかそういうことを願うものじゃないか、出店のことは夢中になっている子ども達に任せて、ここは大人として、無病息災とか地域の繁栄とかなんか色々祈りながら粛々と神楽を観ようと思いました。

コロナ禍がおわりますように。
日本が元気になりますように。
あとメメタァが売れますように。

そんなことを思いながら観ていました。そして、そんな事を願う人たちがこの神社にはこんなに集まっているのかと思うと、この国はまだまだ捨てたもんじゃ無いと思いました。
絶対にコロナは終息するし、日本はもっともっとみんなが笑って過ごせる場所になる、そして、あんず飴片手に駆け回っている子ども達には今よりも明るい未来が待っているはずだ。
大丈夫、これだけの大人たちが祈ったのだから。大丈夫、大丈夫。

そして、舞台上の神楽もそんな人々の願いを受け取ったかのように、少しずつ熱を帯びているように感じました。
気のせいかもしれないし、もしかしたら熱中症だったのかもしれないけど、確かにそんな気がした。

そして、遂にクライマックス、さっきまで神楽を舞っていた人が観衆に向けて餅を撒き出したのです。
その瞬間その場にいた人達が一歩前に進んだ気がしました。人によっては2歩、3歩。
ああ、そういうことだったのか、餅か、みんな餅か、知っていたのか、3年越しの餅だもんな、いやそうことじゃないかもしれない、そういう人だけじゃないかもしれない、けどやはり餅か、餅だよなぁ。
そりゃそうだよ、餅だもん。

日頃の行いが悪いのか、僕の方に餅は飛んで来ず、餅を取ることは出来なかったけれど、神楽は大きな拍手に包まれて終わりを迎えました。
帰り道、クレープの屋台が半額セールをやっていました。生クリームもチョコソースも果物も終わってしまっていて、できるトッピングはチーズとシナモンしかないと言われました。残り物には福があると思いながらシナモンクレープを注文し、片付け始める屋台の間を通って帰りました。
かき氷も焼きそばもチョコバナナもあんず飴もフランクフルトも一口カステラも食べればよかったな。
そんなことを思いながら食べたクレープは凄い美味しかったです。
お祭りはやっぱりこうでなくっちゃな。