9月11日(月)渋谷LUSHにて開催された「LIVE BOOSTER vol.4」。Eggsに登録しているアーティストが出演を果たし、大盛況を収めた当日の模様をレポート!
Text:Eggs編集部
Photo:ゆうばひかり

まずは男女2人組sone+JitteryJackal。暗いステージに小林樹音(トラックメイカー)が現れ、粒子を放出するように音を広げる。鼓動のようなリズムが刻まれビートが早くなったところでSONE(Vo.)が登場。観客に対して斜め45度に立ち、互いの個性をぶつけ合うような姿が印象的だった。というのも、小林はエレクトリックな音を使ってスペイシーな空間を作り、対するSONEは地に足が着いた安定感のある歌を披露。2人が作る“対比の世界”は観客にも伝染し、音に聞き入る人、音に揺れる人に見事に分かれていた。トップバッターだから盛り上げるというより、トップだからこそ自分達の音楽を徹底的にやるという姿勢が感じられ、期待を上回るステージだった。


異色空間を一気に壊したのがパンのみみ。赤いワンピースを纏ったむとうみか(Vo.)が元気に挨拶し、疾走感あふれる曲でスタート。1曲目から観客にクラップを煽るなど、盛り上げ方を熟知している模様。失恋を歌った『センスのない恋をした』、自ら「泣き歌」と紹介した『雨の日』など、おちゃらけたMCも含め全体的に“ポップスの王道”を感じさせるが、口にしづらい辛辣なことをストレートな詞に乗せて歌うあたり、アーティストとしての奥行を感じる。ラストも、切ないメロディに風変りな歌い方(途中ラップ調も)を加えることで、良い意味で楽曲のバランスが崩れている。まるで積極的に王道から外れに行っているかのようで、見ていて飽きなかった。


開始直前、観客の前で円陣を組み、駆け出しバンドの純真さを披露したのはTreeTreeTree。初ステージは今年の6月。当然初々しさはあったがバンドとしての可能性も光っていた。まずボーカルShinの声。溶けるような甘さと心に残る穏やかさを持ち合わせていて、日本語詞も英語詞も洒脱に歌いこなす。その声を引き立たせているベース・ドラムが前に出すぎず、かといって存在感を消すこともなく寄り添っている。なんて均等の取れたバンドなのだろうと思っていたのもつかの間、ソロパートでは全員が激しく楽器を奏で「俺たちはロックバンドだ!」という意思表明をも感じた。今後ライブを重ねることで3人の一体感も増し、さらなる大木になっていくだろう。


ラストはecke。ブラックミュージックとシティポップを融合させたような楽曲が特徴で、ボーカル(兼Key.)のNao Moriの透明感溢れる声と、それを支えるリズム隊のゆったりした演奏、時折り唸るように鳴るギターがスパイスとなり4人が出すグルーヴからは「余裕」という文字が浮かぶ。8月に1stアルバムを発売したばかりなので、そこから得た自信が反映されていたのだろう。それでもバンド全体からは気負いのようなものはなく、単純に音楽を楽しんでいた。そんな彼らに感化されたかのように、観客も肩の力を抜いて自由に揺れる。夏の余韻を残しつつ静かに秋へ変わっていくような、季節の合間を感じさせるメロウな時間は、まさに今回のトリにふさわしいステージだった。

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