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執筆: 篠原良一郎 (https://twitter.com/indiesarrow?s=20)
76.1MHzFMはつかいち /ミュージックバード全国放送中
音楽情報番組インディーズ・アロー / 番組プロデューサー・MC
ライブカメラマン、映像クリエイター
新宿LOFTカメラマン: TAMA(https://twitter.com/tm_livephoto)
LOFT BARカメラマン: ヨシハラミズホ(https://twitter.com/_____mm30)
編集: 旬は巡る。実行委員会
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下北沢を中心に、数々のライブハウスにてさまざまな試みと共に、
開催をしてきた回遊イベント「旬は巡る。」。
今年で5周年を迎え、記念すべき周年期間の1発目として
4月5日、6日に新宿LOFT共催で2会場2日間往来イベント「ロフトで巡る。」を開催した。
本日は4/6(木)DAY2に当たるライブの様子のレポートとなる。
・YUTORI-SEDAI
西東京の3ピースバンド。「最近メンがヘラってるんで」なんてMCには確かにゆとり感があるのかもしれないが、やはりというか、彼らはめちゃくちゃいい意味でのゆとり世代というか、嘘みたいにエネルギッシュなのだ。
ライブ開始一曲でMCに入ると言うステージ展開、総局から始まらない。思いがベースにあって歌い始める。歌うには理由がある、そこにピントを合わせていきたい感覚をまず観客に問いかける。音を鳴らす、だからまず俺たちを見てくれ、話をしようという姿勢、こういうところが実に正々堂々、なんというか、果し合いみたいな感覚がある。侍で言うところの。こう言う正面切った眼差しをゆとり世代という言葉から感じたことはあるだろうか?いや、もしかしたら、感じなければならなかったのかもしれない。この世代の言葉に耳を傾けるということはまさにそういうことなのだ。
言葉の延長に会話があり、会話の延長に歌があり、話したい内容、出来事があった。
ゆとり世代が投げかける思いには、その世代が見ようとした大切な瞬間が詰まっていた。スタバで泣くとか、忙しい日常で見逃せないエピソードがそこにはあるはずで、その話はドラマティックな歌にいつかなる。そういうまさに等身大の想いを歌にこめ、情熱的に彼らは歌っていた。
・TERATUNE
愛知県豊橋発。非常に興味深い4人組。都内ではほぼ珍しいライブと今回なっており、出会えた皆さんはラッキーだったと言えるだろう。
愛嬌と冷静さを兼ね備えた、メンバーそれぞれの人柄にも惹かれる。CITYPOP感もありながら、かなりロック色の強いメロディアスなPOPバンドというイメージ。Vo.Gt.TSUBURAの可愛らしさあふれるMCと、ライブでのエモーショナルなギャップがまず魅力的。「LOFTがモクモクになるくらい熱くなってる!」というこの表現がいい。こういう言い回しに思わず観客も笑みが溢れるのだ。それでいてゴリゴリのギターロックを聴いていたという彼女のモチベーションは高く、バンドでの表現へのこだわりも感じられた。
センスのいい成熟したビートを生み出す、Gt.NAGUI、Ba.NAGATAのキャリアを感じる貫禄。
Dr.REONの力強いビートにはメタルのそれを感じ、このリズムセクションの生み出すグルーヴは世界照準に他ならないと感じた。まだ一年経ってない(昨年8月結成)というのが嘘のようなベテラン感に、これはとんでもない新星が現れたと唸った。TERATUNEのライブ、愛知エリアはもちろん、都内、もしお近くであれば是非足を運んでみてほしい。
・um-hum
チルなフュージョン感あるサウンドに刻まれるリリック。ラップ的であり、細やかなメロディーラインに乗せて歌う、Vo.小田の様は唯一無二の凄まじい吸引力がある。
一つの曲で様々に変わるサウンド、ビート、激しい感情の起伏を思わせる楽曲構成の魅力。ライブでの照明の作りも全体的に暗く、楽曲に酔いしれるための仕様を要求しているように思え、空間表現も大切にしているのが好感触。生演奏と電子音の使い方、混ぜ合わせの妙、ライブサウンドのクオリティ、繊細さは今回の出演バンド中最も洗練されていた印象を持った。
ピリピリと張り詰めた空気を作り出したかと思えば、撮影中のカメラにVo.小田の目線がバチっとあってきたりする。こういう瞬間にフロアの様子をよく見ているだとか、ドキッとさせられるわけだが、一度目が合うと離さない、逸らさない目力の強さ、心意気を感じて、フロントマンとしての彼女の魅力が非常に強いと感じてしまう。それこそ女優のオーラを身に纏っていると思うし、ライブでの彼らの表現というのは舞台表現にも近しいものがあり、よりこだわりの強い舞台を与えられたらどうなってしまうんだろう?などと思いが膨らんだ。それくらいライブを見ながらさまざまな期待と想像を膨らませる力があるバンドがm-humだ。
・EverBrighteller
仙台発の5人組。正直めちゃくちゃ個人的に気に入ったのが彼らで、セトリにバラードを2曲連続で入れ込んでくるとか、そういうことする?!っていう展開を見せてくれたのだが、この2曲、聴き込んで聴き惚れて、目を閉じてじっくり聴き入ってしまったのだ。この瞬間にやられたと、悔しいくらいに思えた。それくらい彼らの音楽はいい。無条件で、ほんと理屈抜きに情熱を感じる。狭いステージにツインギター、若さとエネルギーが充満し、観客が所狭しと見守るフロアに飛び込んでいく。叫ぶし音はデカいし、うるさいはずなのに、彼らのバラードは極上で、目が離せなくなるのは何故だろう。こんなにも簡単に心に入り込んでくるのは何故だろう?それはおそらく、彼らの歌う姿を瞬時に聴く人が受け入れる理由。その嘘のない眼差しに、彼らの叫びを聞きたくなるからだろう。「不安な人の背中を押せる音楽」これよく言われるけど、それを本気で言っていいのは必死で歌うやつだけなんだなと、彼らをみて思った。
・ミイ
2021年より活動開始の4人組。コロナ禍も精力的に活動し全国的にも遠征を行い知名度が上がっている印象。ライブとしては正直なところまだまだ発展途上感はある。それはといえば、メンバーそれぞれがそれぞれに非常に気を使うバンドなんだなという印象だった。おそらく彼ら一人一人の個性は想像以上に強いはず。だがそれを出してしまっていいものか?出すことでバンドとしての表現がクスれてしまわないように、今は繊細なほどバランスを考えてステージに立っている時期なんだなと感じた。それゆえに、音源で聴いたあの音はよく再現できているし、ある意味プロのライブのそれにはもうすでに到達しているバンドなのかもしれない。そのくせそこまで容量がうまくないからこそ「こういうのは良くないかもしれないけど、誰か一人のために歌わせてください」とMCで正直に告白するほどに、それしか今はできないから、ということすら正直に投げ込んでくる彼らには好感が持てる。そしてそれは、できていないんじゃなくて、人に想いを届けるということが、できているということではあると思うのだ。それぞれが思い切り個性を発揮しつつ、もっともっとパフォーマンス上も見せ場を盛り込んだライブバンドに成長した時、ミイはどんな姿を見せるのか、まさにこれからが楽しみなバンドである。
・Uncurtain
大阪発。の若手4人組。ライブを見た感想でいえば、80年代洋楽全盛時のPOP感あるサウンドに、ファンクやR&Bも盛り込み、 潮流として、90年代J-ROCKのメロディラインの匂いもして、洋楽と邦楽がロックを通じて世界的なヒットを次々生み出していた時代を通過した後、こう言う次世代が2023年になって現れたと言うイメージが強い。
彼らのライブを見て閃いた造語が「ノスタルジック ニューブリード」懐かしさを感じさせつつも完全に次世代という意味で。こういうキャッチフレーズが思い浮かんだバンドは、今回の二日間で彼らが初めてだった。それこそ彼らはメンバーそれぞれが個性の塊で、一見すればまとまりがない。だがしかし、いたじゃないかそういうバンドが海外に、例えが大御所すぎるかもしれないが”ストーンズ”がそうだったろう?ワッツが絶対にスーツで、キースはロックファッションで。そういう感じを少なくとも持ってるのが彼らだ。おそらく何かに染まるということはないと思う。すでに何かを持っているから。そして何より、音源と全然ライブは違うというのがまた魅力。これからどうなっていくのか想像もつかない。だからこそ目撃しておいてほしいし、次にどんな音楽を届けてくれるのか楽しみにしたいバンドがUncurtainだ。
・Adam's miss
新潟上越発埼玉在住の4ピースバンド。
「長く活動する人の抱えた孤独を癒す存在がいるとすればファンだけなんじゃないか?」というMCが耳に残っている。これぞ遠回りに自分を通してきてなおやり続け、確立されたものを前に浮かんだ感情である。卓越されたパフォーマンスに個性。どこを切り取っても彼らにしか出せない表現があり、それを期待するファンも多いという現状。私もラジオ番組「インディーズ・アロー」を通してさまざまなバンド、有名アーティストにインタビューさせていただくが、その中で共通しているのが彼らの持つこの感覚なのだ。これはもうメジャーな某有名アーティストとの対談での言葉である「やりたいことがあるなら予防線を張るな」「自分を通さなかったら売れても自分は残らないよ」この孤独である。これを押し通すために間違いなくAdam's missは自分たちの音楽をライブで貫いている。そしてそこには不安だって想像以上に押し寄せているはず。それを支えるのはやはりファンの存在なのだ。ライブから見える景色に並々ならぬ想いを馳せて歌う彼らの歌にこもった情熱はフロアを熱くするのに十分で、確実に彼らを本物だと気づかせてくれる。
今年5周年を迎えた「旬は巡る。」は勢力的な活動となるので今後も注目してほしい。
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