お世話になっております。
メメタァのギターボーカルの西沢です。
さて、この度我々メメタァ2nd mini album『OF BY FOR』をリリースいたしました。前作『優しさが世界を一つにしたって」からちょうど2年ぶりのリリースとなります。
今回勉強になったのは、盤を作って、CDの形にしてリリースすることを「フィジカルリリース」と呼ぶということです。
バンドを始めた頃は、配信リリースをやっている人はあんまりおらず、だいたいみんなフィジカルリリースだったのでわざわざフィジカルリリースなんてあんまり聞いたことがなかったです。
いや僕が不勉強なだけで、もしかしたら前からフィジカルリリースと呼んでいたのかもしれませんが、メメタァが出すCDに対して、フィジカルリリースと呼ばれたことはなかったので、なんだか嬉しい気持ちです。
なんだか前よりも、CDを作って出すということが、特別でそのこと自体が評価されているような気持ちになります。
ありがとうフィジカルリリースという気持ちです。
今回のアルバムには「OF BY FOR」というタイトルを付けました。
ありがたいことに、バンドを組んだ頃よりかは、大きなステージに立ってライブをする機会や、メメタァを全く聴いたことも見たことも無い人たちに向けてどうやってメメタァとして音楽を届けてゆくのかということを考える機会が増えてきました。
その中で漠然と「フェスに来るような人達」「このバンドとかこのバンドとかこのバンドらへんを好きな人達」みたいに、ライブハウスで実際顔を見合わせてライブして、物販に来てくれて、こないだも来てくれてましたよねなんて話をした人じゃない人にまでも届くような音楽をやるにはライブをやるにはどうしたらいいんだろうというようなことを考え、もしかしたら、メガネを取るとか取らないとか、自分の音楽の才能があるとか無いとかそんなことを歌っていても届かないのかもしれないなと思うこともありました。
もっとライブ会場みんな一つになったり、tik tokで女子高生がこぞって踊ったり、そんな音楽をやりたいというよりかはなんかそろそろやらないといけないんじゃないかという気持ちになった訳です。
どこまで体現してやれていたかはさておき、そういう気持ちでライブをしたり曲を書いたりする期間があり、「さて、これは一体誰のためになってるんだろう」という疑念だけが付き纏い続けました。
やっていて楽しくないわけでは全くないですが無理をしているような気もしなくもない、みたいな今までにない感覚でした。
練習すればできなくもないがこれは多分練習したらみんなできることな気がしてしまい、それってメメタァじゃなくても別にいいんじゃないのかという気持ちです。
頭の中に浮かぶのが「自分」や「誰か」の顔ではなくて、一人一人の顔はよく見えない「人達」になってる感じがしました。
いやそんなの売れてる人達はみんなやってるんだからつべこべ言わずにやれよという自分ももちろんいます。
じゃあメメタァにしかできないこと、西沢成悟にしか書けないことってなんなんだよってことになると、それはきっとメガネを取るだの取らないだの、音楽の才能があるとかないとかみたいなことなのかもしれないなと思うようになりました。
みんなのための音楽を否定しているわけではないですし、誰しも知っている曲をみんなでカラオケで歌うことなんて楽しい以外のなにものでもないです。
ライブで聞けたら、街中でふと流れたら、懐かしくなったり、口ずさんだりします。
ただ自分の中で、みんなに歌いたいという突き動かされるような衝動や、明確に「みんな」とはどいういうものなのかというものがまだ定義できる状況に無い状態で、みんなのためになどということができるはずもないのだということに気づきました。
みんなのためにやることが、そのみんなを構成するひとりひとりのためになる人や音楽もたくさんあります。
ただ今の僕がみんなのためにとやったとて、それは誰のためにもきっとならないんだろうというのが現状の僕が出した答えです。
かといって、誰かのために音楽やってたのかよと聞かれると、ライブで歌う時は目の前の人にしっかり歌うんだという気持ちではやってきていましたが、曲を作る段階で誰かを思って作ることよりも、自分自身の歌を、自分自身に向けて、自分自身のために作ることの方が圧倒的に多いです。
でもそんな僕の歌を聞いて、喜んでくれる人、楽しんでくれる人、勇気をもらったと言ってくれる人、涙がこぼれたと言ってくれる人がバンドをやってきて、一人や二人どころじゃなくいることを僕は知っています。
きっと今の僕ができる最大限の誰かのためにというのは、最大限自分のために音楽をやることなんじゃないか、そしてそれを受け取ってくれた誰かの中にもきっと呼応する部分が多少なりともあるんじゃないかというのが、今回アルバムを作るにあたって思い至ったことです。
タイトルは、かのリンカーン大統領の名言「government of the people, by the people, for the people(人民の人民による人民のための政治)」から「OF BY FOR」の部分を拝借し名付けました。
僕の僕による僕のための歌が、君の君による君のための歌として聴いてもらえたら嬉しいなと思っています。
リリースツアーのタイトルは、「OF BY FO(U)R」です。
近年ジョジョネタをネットで検索して名付けることが多かった我々のツアータイトルですが、今回は一味違いまして、「OF BY FOR」は自分のための音楽ですが、ライブだとU=you(君)がいてくれて、君がいてくれるからFO(U)R=4人でメメタァというバンドになる、君あってこそのメメタァだし、君と僕らメメタァの4人で、僕らの僕らによる僕らのためだけのツアーを作ろうぜという意味を込めて、今回このタイトルを付けました。
何はともあれ2年ぶりのフィジカルリリース、本当に擦り切れる程聴いて欲しいですし、ライブにも足を運んで欲しいし、その日の自分にしか作れないライブを一緒にしたいし、自分のための音楽の一つとして君の中に刻まれることを作った身としては切に願っています。
CDの中で、各地のライブハウスでお待ちしております。