札幌PLANT(プラント)
- 住所
- 北海道札幌市北区北23条西4丁目2−39 第42 ビッグビルⅠ 2階
- アクセス
- 地下鉄北24条駅 1番出口徒歩1分
- キャパシティ
- スタンディング 200 名
- TEL
- 011-788-5575
- 問い合わせ
- info@plant-ent.com
- 公式HP
- https://www.plant-ent.com/
2024年に開店3周年を迎える札幌PLANT(以下、プラント)。その立ち上げから関わり、現在、店長兼ブッキングマネージャーを担当している川上壱玖摩氏にインタビューを行った。“札バン”シーンを生み、コロナ禍を経て再び盛り上がりを見せる札幌のライブハウスシーン、そして札幌のインディーズバンドの今を語る。
――“プラント”の名前の由来を教えていただけますか?
川上:元々“札幌COLONY”(以下、コロニー)というライブハウスがあったんですが、コロナ禍で閉店してしまったんです。コロニーは、当時のコロニーのオーナーである小野寺がつけた名前だったんですね。『機動戦士ガンダム』に“スペース・コロニー”って出てくるんですけど。
――はい。ファースト・ガンダムに登場する、宇宙空間にある巨大な建物、ステーションですよね。
川上:そうです(笑)。で、『機動戦士ガンダムSEED』に出てくる同じようなものが“プラント”。
――新世代型コロニー群のことですよね。
川上:そうです。プラントというライブハウスも、コロニーの遺伝子をついで、そういう名前になったのかなって思います。小野寺も僕もガンダムが好きなんですよ(笑)。コロニーが閉店して、1年後くらいにプラントの立ち上げがあって“一緒にやらないか”って話をいただいたんです。コロナ真っただ中ということもあり「この状態の中でライブハウスがやれるのか」みたいな思いも正直あったので、僕の中でも一緒に(プラントを)やることはひとつの挑戦でしたね。
――プラントを立ち上げる際、テーマになったことは?
川上:ライブハウスって、普段あまりライブハウスに行かないようなお客さんからすると、ちょっと敷居が高いじゃないですか。僕自身も、ライブハウスの仕事をしている中で感じたり、SNSを見たり、いろいろな人の話を聞く中で感じたことなんですけど、狭いし綺麗じゃない。小さなビルに入ってて、入り口も分かりづらかったり、地下で薄暗いしっていう。
――暗い、行くのが怖い……ってイメージは、いつの時代にもあったと思いますけど、やっぱり今もあるんですね。
川上:そうだと思うんです。そういうイメージに加えて、狭い場所に人が集まって、しかも大きな声で歌う。今思えば、だからコロナの時に標的にされやすかったのかなとか考えたりするんですよね。そいう中でプラントを作るにあたり、お客さんが入りやすいっていうのは、ひとつテーマとしてありました。だからプラントは店内がすごく明るいんです。ライブをするホールとドリンクカウンターがしっかり分かれていて、暗くない、入り口も明るいし、全然怖くないよっていう。そこは開店当初から今も変わらないですね。
――今のお仕事をやっていて、1番楽しさを感じる瞬間は?
川上:ずっと楽しいですね(笑)。その中でも1番幸せだなって思うのが、お客さんの反応を見る瞬間。例えば、自分が企画したイベントでお客さんが盛り上がっている姿を直接見られたり。ライブが終わった後、お客さんが帰り道で見せる満足した表情で「楽しかったね」って言っているのが聞こえてきたり。それをリアルタイムで実感するって、本当にすごいことだと思うんです。なかなか経験できないことを経験できる、やりがいのある仕事だなと思いますね。前に別の仕事をしていた時は、朝起きて“ちょっと今日は行くのが億劫だな”って思うこともあったんですけど、今の仕事についてから、そう思うことがなくなりました。
――素敵な言葉ですね。ありがとうございます。ブッキングに対してのこだわりについて教えてください。
川上:ブッキングについては、無数に考えることがありますね。その中で、何個か挙げるとしたら……まずは、出演者の意志を大事にするってことですかね。例えば、僕らは無茶苦茶売れたいんですってバンドマンもいるし、売れるとかはあんまり考えないで楽しんでライブハウスでライブをやりたいっていうバンドマンもいる。どちらも間違っていないんです。音楽のジャンルとかではなく、そういう(バンドの)モチベーションの向き方の違いをみて、ブッキングするように心がけてます。それから、出演者の満足度をあげるということを心がけてますね。例えば3~4組でイベントやりましたって時に、お客さんがあまり来なかった、反応も薄かった、自分たちでチケットも売ってやったのに……ってなった時に(出演者は)今日イベントをやる意味があったのかな……って、そう思うこともあると思うんですね。それは僕らにとってもバンドにとっても決していいことじゃない。仮にお客さんが呼べなかった、それは仕方ないことだと思う、でもそれでなにも得られなかったってならないようにしたいといつも思ってます。例えばこっちがライブ映像をしっかり撮ってあげて、バンドに共有して「この映像をSNSにあげて、少しでも反応があったらいいよね」って提案する。ライブと+αで、バンドの満足度が上がるものを絶対にひとつは組み込むようにしてます。ブッキングして、ライブして終わりってことにならないようにしてますね。
――ライブだけでなく、多角的にインディーズバンドの認知度をあげていく手法はプラントの特徴でもありますか? HPを拝見して「PLANT TV」とか「PLANT FC」を独自にやってらっしゃってすごいなと思ったんです。
川上:東京のライブハウスとは違って、札幌、北海道って……はっきり言えば田舎だし(笑)、やっぱり広がりがなかなか生まれない場所だと思うんです。そこで、札幌は札幌でやろうよじゃなく、広げなくちゃいけないと思うんですよね。売れたい、東京に進出したい、最前線のインディーズバンドになりたいんだっていう意志を持ったバンドマンがいる。そういうバンドを広げていくために、札幌だからこそ、ライブハウスも広げるためのなにかっていうの1番に考えなきゃいけないよねって思いがあるんです。新しいバンドをディグる層って、東京だけじゃなくて、それこそ全国にいると思うんですけど、札幌からだとなかなかそれが届かないなと思っていて。だから「PLANT FC」っていう配信サイトをやり始めた。ディグる人たちに届くように。ライブの定点映像にはなるけど、東京の人とか、いろんな土地の方に札幌のシーンを見せるようにしたかったんです。プラントに出演したバンドの子たちにも、東京のバンドよりしっかり発信していかなきゃいけないって、いつも言ってますし、そのための活動の場所を確保してあげないといけない。だから「PLANT FC」の他にも、ラジオ番組やったり、本当にいろいろやらせてもらってますね。
――札幌プラントから出て来て有名になったバンド、今、注目しているバンドを教えていただけますか?
川上:結構あるんですけど、絞ると……プラント立ち上げ当初からいろいろ一緒にやっている、明るい赤ちゃんですね。それこそ「PLANT FC」の中で、1週間に1回「週刊明るい赤ちゃん」っていう15分の番組をやってもらっているんです。それでお客さんが徐々に増えていって。最初から一緒に、いろいろ作ってきたバンドなんですよね。それから、今、すごく頑張っているなと思うバンドは、北風と太陽。あとは……4~5年前くらいに“札バン(=札幌のバンドの略)”っていう、ジャンルみたいなものができあがった時期があったんです。札幌のインディーズシーンで、歌もの邦ロックのバンドが台頭してきて、KALMA、Mr.Nuts、TRiFOLiUMとか、札幌でシーンを作って “札幌は歌モノが強い”みたいなムードがあったんですよね。今は、いろんなジャンルが出てきていますね。例えば、最近バズったテレビ大陸音頭。高校生なのに、ポストパンク的なことをやってるバンドがいたりとか、本当にいろいろ出て来てます。あとは僕が個人的に、今めちゃくちゃ押してるのがTattletale。オルタナバンドでライヴがめやくちゃかっこよくて、オーバーグラウンドに行ったりアンダーグラウンドに行ったり、試行錯誤しながらめちゃくちゃ頑張っていますね。今の札幌のライブハウスシーンでのジャンルの広さっていうのは、ブッキングにあたって、楽しみのひとつになってますね。僕自身、サーキットイベントを手掛けていて、いろんなジャンルのバンドがいると、さあどういう流れを作ろうかなとか、このステージはどうしようかなとか、いろいろ考えるのが本当に楽しみで。だから日々、どんどん楽しさが広がっている感じです。
――最後に、インディーズシーンの“Eggs(卵)”たちにメッセージをお願いします。
川上:まずはメンバーのモチベーションが大事だと思うんです。音楽をやること、続けていくことってすごくエネルギーがいるし、やっぱり大変だと思うので。そこから、自分のモチベーションに応じて、次は、自分にとってなにが必要なのかをしっかり考える。あとは音楽作るにしろ、音楽やるにしろ自分が楽しくなくちゃダメだと思うので、楽しくやるのが1番なんじゃないかなと思います。
北の大地よりまたまたいきの良い新人の楽曲(札幌某所「最前線」)が配信リリース
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