​​どこまでもあなたと!フクスイボンニカエス『若気で至る』の熱狂​

​​どこまでもあなたと!フクスイボンニカエス『若気で至る』の熱狂​

2026/09/11

​​8月17日、フクスイボンニカエスが寺田町Fireloopにて自主企画『若気で至る』を開催した。​ 

​​「憧れの先輩達のように同世代や後輩達とシーンを作りたい」と未来を見据え、一緒に切磋琢磨したい仲間を集めたイベント。質にこだわる植田奏汰(フクスイボンニカエス)らしく、ライブはもちろん、楽曲や精神性の深いところまでカッコいい個性の持つロックバンド8組を体感できる日になった。

​ ​​フクスイボンニカエスからの「化学反応を起こしてほしい」という期待に応え、​​ナイトライダーズは後輩としてではなくライバルとして躍動感のあるライブをし、​​ハイグレードピーマンズは地元・神戸という街を誇りに“この今”に向けて愛を歌う。
​​CRYSOONが真っ直ぐに感情を伝えてスタジオライブとは思えないような解放感を生めば、​​コロブチカは眠れない夜を超えてきたのはこの日があったからと感謝と共に音を鳴らし、​​THE HAMIDA SHE’Sはフクスイの生き様にリスペクトを込めて純情と衝動を響かせた。​ 
​​Day my dreamは「愛ある喧嘩」とステージ上の音と姿でバチバチにフクスイにぶつかり、​​​Stellar Light Gloryがトリに体力を残させないための最高に大人気ないライブで楽しませた。​  

​​地元や十代白書、KAZAANAでの絆、同世代という絆、そんなことは関係ない1組のロックバンドとしての絆など様々な感情が染み渡ったバトンを、フクスイボンニカエスは受け取ってステージへ。その彼らのライブの様子をレポートする。​ 


​​植田奏汰(​Vo.Gt​)、野瀬拓巳(Gt)、前田愁(Sup.Ba)、レイエス来夢(Sup.Dr)の4人がステージ中央で拳を合わせた後、『いないいないばあ』からスタート。歌い出しはゆっくりと植田が弾き語るが「おい!寺田町!若気で至るぞ!」と叫んだら一気に熱量は上昇。野瀬と前田もグッと前に出て演奏する。焚き付けられたフロアもクラップをし、サビではハンズアップ。それによって間違いなく宙に浮かせれた1人1人が抱える日頃の鬱憤に、植田がトドメを刺すように<どこまでも飛んでいけ!>と歌い叫べば、この空間には素直に音楽を楽しむ気持ちしか無くなっていた。​ 

​​最後まで“あなた”を指差して、目を合わせて演奏し終えると、強烈な解放音を響かせ「未来とは今の積み重ね!だから俺たちは俺たちなりの今を生きる。どこまでも透き通っていこう!」と『透明』へ。目が1秒たりとも離せないような4人の迫力のあるステージング。それはたしかに1秒先の余力などを気にせず、今に全てを注ぎ込んでいた。それに乗る歌詞は<僕はここだよって光ってる>。この日の全出演者そうだったが、やっぱり伝えたい核は全て音楽とステージに込められていると感じた。そして静かなアウトロからレイエスのリズミカルなドラムで繋ぎ『Charm.』へ。「俺たちにしかできない遊びをしよう」と彼らなりのナイトダンスナンバー。力強さと浮遊感が共存していて、それはなぜか眠れない深夜に心地よい刺激と安心感を与えるものとなっていた。曲が終わり「ありがとう」と植田が伝えると大きな拍手が起こって前半が終了した。​  

​​MCで植田は「いいねぇ。リアルって感じがしますね!」と充実感を口にする。「俺たちは歌って!とか言うけど、強制してるわけではないんでね。Fireloopってそういう箱で、だから好きなんで。楽しみたいように楽しんでください」と伝え『失くしたもの』を始める。全ての色を引き剥がすような壮大なイントロが迫る。その音の中で植田は「みんな必死に前を向こうとするけど、別に後ろを向いたっていいと思うんだ」と話した。その言葉もあったからか、その楽器、前田のコーラスも含めて歌声から放たれる一音一音、一言一言にはポジティブだけではない、ネガティブや迷いや無常感、後悔、感謝も全部込められているように聴こえた。個人的に昨年より経験を重ねたのもあり、その曲の良さは増しており、これからもさらに育っていく曲になっていくと思った。曲を終えてもフロアは拍手も声も出さず噛み締めるような沈黙だけがあった。​ 

​​そこに続いたのは「俺たちのこれからのアンセム」という『衝動』。曲名だけ聴いたら激しいかと思いきや、優しいメロディで進む。ただ<裸足のままで駆け出した>という言葉から始まるサビには、たしかに衝動が込められている。植田という人間と多少付き合いがあるので、彼は衝動が生まれても、まずはちゃんと整理する人間だろうから歌詞で示すのは彼らしいなぁと思ったら、とんでもない衝動的なサウンドが後半にかけて発動。「今日感じた衝動をここで示せ!俺たちがフクスイボンニカエス!」とも叫ぶ。そこからは優しさも激しさも入り混じったラスサビ。フクスイをたしかに前に進ませている新曲だった。​ 

​​ここで最後のMC。まず企画名について植田は「若気の至りって言葉がありますが、僕は何でもかんでも若気の至りで済ます人間が嫌いだし、若気の至りってなんやねんって思ってたんすわ。若かったら何してもいいみたいな免罪符に使われている気がして。分からないけど本来の意味じゃないとも思います。だから若気ってなんだろうと思ったんですけど、年齢じゃないんだろうなと思います。誰でも何歳でもどこの国でも挑戦し続ける心って言うのが、俺は若気だと思ったわけです。今日は同世代も多いですけど、年齢なんて関係ないです。そのチャレンジ精神を持っている大好きなバンドを集めたんです。そしてこれからもどこまでも一緒に至りたいんですよ。Fireloopももっと満員にしたいし、もっと大きな箱やステージに行きたいと思ってこのイベントを組みました。これは演者だけの話じゃなく、今日集まってくれるあなたも関係ないですよ。俺、全員顔見ているからね。だからさ、あなたとも一緒に行きたいんですよ。今日の出演者はそれを汲み取って良いライブをしてくれたと思います。大好きなバンド達、そしてそれを目撃してくれたあなた達、本当にありがとうございます!」と感謝を伝えた。​ 

​​「今日出演してくれたバンドには俺には出せないカッコよさが沢山あったけど、俺にしか歌えない、あなたと話したい未来の歌があると思うわけです。だから俺たちと、対バンと、Fireloopと、今見ているあなた。どこまでも一緒に行こう。それが俺らとあなたとの約束」と『約束』を演奏。今日ここに放たれた全ての言葉を俺は忘れず進むという生き様を表したようなロックナンバー。植田だけでなく、野瀬のギターソロにもそれが現れていたし、笑顔で叩くレイエス、ベースを掲げる前田を見ていると、本当に今年の春の数ヶ月、正規メンバーは植田だけだったのかと思うようなロックバンドとしての強さがあった。あらゆる壁を乗り越え、“フクスイボンニカエス”という生命体は進化している。そして最後は「かかってこい!」と『春忘れ』。クラップだけでなくピースサインも掲げられる中、植田は歌いながら途中「生きてたら辛いことばっかりの世の中ですよね。でもさ!あなたが1人で上がれないなら!俺たちと上がれば良いだけの話!」と語り、より曲の寄り添う力と焼き付ける力を増強。最後は「また辛くなったら会いに来い!」と伝え、ライブは終了。どこまでもあなたから目を逸らさないロックバンド、フクスイボンニカエスがシーンの未来を作るライブだった。

​ ​​「このアンコールは俺たちがもらったというよりは、今日というみんなで作り上げた1日がもらったアンコールです」と登場したアンコールでは物販紹介した後、次回の「若気で至る」に関することも伝え、新曲『星を見に行こう』を演奏。交わした約束を持ってこれからも歩いていこうという希望が具体化したような曲で1日が終了した。​ 

​​植田も今日はずっと表情筋が上がりっぱなしで楽しかったとのこと。そんな笑顔に多くの人が至った今日のような日をこれからも作っていこう。​ 

setlist

  1. ​​01.いないいないばあ​ 
  2. 0​​2.透明​ 
  3. 03.Charm. 
  4. ​​04.失くしたもの​ 
  5. ​​05.衝動​ 
  6. ​​06.約束​ 
  7. ​​07.春忘れ​ 
  8. ​​En.星を見に行こう​ 

​​写真:一縷​ 

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この記事を書いた人

遊津場(先取り邦ロック紹介ライター)

神戸在住の音楽キュレーターでライターなど。 2019年よりEggs公式キュレーター。 沢山の記事を読んでみてください! あとイベントもめっちゃしてます。

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