Eggs独占配信中。sqninmu(エスキューニンム)、初音源「燦然」――感情と熱量を滞留させる歌声

Eggs独占配信中。sqninmu(エスキューニンム)、初音源「燦然」――感情と熱量を滞留させる歌声

2026/06/03

東京を拠点に活動するsqninmu(エスキューニンム)は、R&B、オルタナティブ、ダンスミュージックを横断しながら、感情の中に滲む湿度をサウンドへ変換していくバンドだ。間奏の洒脱なアンサンブルには、フュージョンやAORの趣も感じる。メンバーは、hayate(Vo.)、ryouzan(Gt.)、KINCHAN(Ba.)の3名。hayateは、東京に移住し、音楽学校でボーカル表現を磨いてきた。バンドのXが開設されたのが、2026年3月。初ポストは5月16日で、初音源「燦然」のMVtraile映像。音源も、映像も驚くほどにクオリティーが高く、彼らがクリエイティブ集団であることがわかる。 

沈み込むグルーヴーー薄闇の中で見つける開放感

初音源「燦然」は、Eggs独占で配信がスタートしている。音数の少ない空間をhayateのボーカルが自在に行き来するミディアムチューン。楽曲全体には、90年代以降のオルタナティブR&Bやダンスミュージックを通過した質感が漂っているが、クラブミュージック的な高揚を強く押し出すのではなく、内向きの熱量を抱えたまま、じわじわと沈み込んでいく。ビートはタイトで、やや粘りを持って進む。低音は楽曲の底でたゆたうようなうねりを見せる。そこにギターが淡く差し込まれることで、薄闇を彷徨う中で、一筋の光を見つけるような独特の開放感が生まれている。音数を詰め込みすぎず、余白を残したアンサンブルになっているため、歌と言葉が前面に立ちながらも、背後で反復するグルーヴが静かに機能している。  

hayateのボーカルは、一聴しただけで、分析せずにはいられないスキルとニュアンスの宝庫。しかし最も強く心に残ったのは“感情を乗せる”というより、“感情に身体ごと引っ張られている状態”を、そのまま歌に変換している点だ。一般的なR&B的アプローチも垣間見られるが、そこをメインにしていない。言葉が少し崩れそうになる瞬間や、声が擦れながら抜けていく感触を残したまま歌うことで、この曲特有の不安定さや不穏さを成立させている。語尾を綺麗に止め切らず、少し曖昧に流していくことで“独り言”のような空気を作り出しているところも見事だ。一方で、歌詞に出てくる<君の真っ赤なリップ>の中の“真っ赤”では、促音の前にためを作り、その後、強いアタックで「か」と発音したりと、日本語の響きを大胆にコントロールしている。また、高音域でもシャウトに向かわず、母音をスッと引くようなアプローチで、緊張感を積み重ねていく。声を張り上げることで熱量を作るのではなく、崩れそうなのに崩れない状態を、多彩なスタイルで印象付ける。楽曲の持つ熱量を内包したまま進行させる――ここがこのバンドの最大の魅力だ。  

タイトルの「燦然」という言葉が示すように、この曲が見つめているのは、美しく忘れられない過去だ。しかしsqninmuは、その過去をドラマチックに浄化するのではなく、現在進行形のノイズとして鳴らしている。愛情の残像、身体に残るリズム、断ち切れない記憶。それらをメロウなグルーヴの中に封じ込め、ヒリヒリとした緊張感を伴っているところに「燦然」という楽曲の存在意義を見出した。すげぇの、出てきたな。  

文・伊藤亜希 


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