隠れた原石を発掘するライブイベント『Eggsレコメンライブ Vol.28』の模様をレポート

隠れた原石を発掘するライブイベント『Eggsレコメンライブ Vol.28』の模様をレポート

2026/03/06

2026年2月4日。アーティストを発掘し、早耳音楽をリスナーにレコメンドする『Eggsレコメンライブ Vol.28』が下北沢DaisyBarで開催された。出演は、伽乱堂魚田二月Boston terrier星を投げるスーパーペンギンの4組。YouTubeでも生配信された本公演の模様をお届けする。 

衝動のままにガレージロックを鳴らした高校生バンド、伽乱堂(ガランドウ)

トップバッターとして登場したのは、所沢高校2年の3ピースロックバンド、伽乱堂。『Tokyo Music Rise 2025 summer FINAL STAGE』ではグランプリを、『MUSIC DAYS 2025 FINAL』では準グランプリを獲得した実力者だ。べにこ(Vo. / Ba.)の骨太なベースが低く唸った瞬間、フロアの空気が一変する。ぜん(Vo. / Gt.)のしゃがれた歌声、jun(Dr.)の硬質で乾いたドラムが重なり合い、泥臭くも真っ直ぐなガレージロックが場内に鳴り響く。一方、MCでは「寒い中ありがとうございます」と、ぜんが初々しくオーディエンスに語りかける場面も。続く「八方美人」ではべにこがメインボーカルをとり、繊細かつパワフルな歌声を聴かせる。終盤に向かうにつれ演奏はさらに無骨さを増し、junはヘッドバンギングしながらダイナミックなプレイを披露。若さと衝動をサウンドに昇華した伽乱堂。高校生とは思えぬテクニックを魅せ、場内のボルテージを大いに高めた。 

setlist

  1. 01.澱み 
  2. 02.砂嵐 
  3. 03.八方美人 
  4. 04.獣の盗人 
  5. 05.音楽の奴隷 
  6. 06.GOMEN 

よどみない鍵盤の旋律で多彩な楽曲を聴かせた魚田二月(ウオタニツキ)

ミズグチハルキ(Vo. / Key.)と、2月17日のレコ発イベントから、正式メンバーになったとしとし(Dr.)による2人組バンド、魚田二月。ステージには、斜めに向かい合うキーボードとドラムセットが見える。キーボードとドラムのみというシンプルな布陣だが、サウンドが鳴り始めた瞬間の音圧に驚かされた。水の流れのように滑らかな鍵盤と、ミニマルでタイトなビートが絡み合い、オーディエンスの視線をステージに惹きつける。初のEPリリースを控えていることを告げたMCでは「緊張してるなぁ(笑)」と柔らかな表情をのぞかせる一方、楽曲ではロック調からゲーム音楽を意識したチップチューン風まで幅広い表情を見せる。「喉を潰してしまいました」と苦笑しながらも、終盤ではクリアなファルセットをしっかりと響かせた。鍵盤の音数は決して多くはないが、一音一音が強く耳に残る魚田二月の旋律。ユーモアと音楽的探究心を感じられる楽曲に、フロアから大きな拍手が送られた。 

setlist

  1. 01.希タヒ 
  2. 02.大人になるのか 
  3. 03.オーマイ 
  4. 04.プール 
  5. 05.街の熱 
  6. 06.はじめて 
  7. 07.アイキャビーフリー 
  8. 08.早寝 
  9. 09.どうする 

スタイリッシュなサウンドとグルーブで観客と一つになったBoston terrier(ボストンテリア)

東京を拠点に活動する2ピースバンド、Boston terrier。ドラムと同期音を軸に、メロウでアーバンなサウンドを鳴らすと、自然と体を揺らす観客たち。伸びやかで抜けのある歌声を響かせながら、小島(Vo.)はステージの端から端まで軽やかに行き交う。「こんにちは!Boston terrierで〜す!」と小島がパッドで効果音を鳴らしながら元気にご挨拶。「Darjeeling」では流暢なラップが際立ち、オレンジ色の照明と相まって、夕暮れのドライブのような心地よさを演出。「青い惑星」では青いライトに照らされる中、TJ(Dr.)が無機質かつ柔らかなリズムを刻む。ラストの小島のロングトーンは圧巻。オーディエンスを巻き込む爽快なグルーブで、場内に一体感を築いた。 

setlist

  1. 01.逃飛行 
  2. 02.春雨 
  3. 03.Darjeeling 
  4. 04.青い惑星 
  5. 05.平安寧 
  6. 06.回遊魚逃避行 

星を投げる(ホシヲナゲル)スーパーペンギンが“魅せる、ポップ”に留まらない多彩な音像

トリを務めるのは6人組ポップバンド、星を投げるスーパーペンギン。略して星ペン。観客の前に姿を現した6人は、各々のポジションにつく。踊りたくなる軽快なリズムで幕を開けると、フロアの温度は一気に上昇。場内に響く表情豊かなボーカルを中心に、艶やかな陰影を生み出すサックス、カッティングの効いたギター、跳ねるベースライン、ジャジーなキーボード、スウィングするドラム。ポップチューンからバラードまで隙のない演奏力で、オーディエンスを惹きつける。「みなさん、こんばんは!本日はお越しいただきありがとうございます。今から我々がみなさんと一緒に最高の空間を作り上げていきたいと思います。準備はできますか!?」とフロアに問いかけると大きな歓声があがる。スローナンバーでは、クリアで伸びやかな男女ツインボーカルに聴き入るオーディエンス。華やかで活気に満ちたパフォーマンスを届けた星ペンは、心地よい余韻を残してこの日のステージを締めくくった。 

setlist

  1. 01. Sweetness 
  2. 02.恋人未満 
  3. 03.何もない 
  4. 04.もも色の笑顔 
  5. 05.新曲 
  6. 06.NATSUTE! 

この日、ステージに立った4組が鳴らしたサウンドは、高いポテンシャルを感じさせるものだった。まだ知られていないアーティストに出会えることも、本イベントの魅力のひとつだ。ここからどのように多くのリスナーへと広がっていくのか。彼らの今後にも注目したい。 

■スタッフクレジット
取材・執筆:橋本恵理子
撮影:山田 耕平