兵庫県出身の女子高生シンガーソングライター“ほな、”。2025年の春に初音源となる「傘模様 (弾き語り ver.)」をリリース。以降、Eggsでハイペースで新曲を発表している。現在視聴できる楽曲は、アコースティックギターの弾き語りスタイルのdemoバージョンがメインになっており、路上ライブの様子を観ることもできる。また、ソロ部門で『Battle de egg 2026』の決勝進出も果たしている。
「Coastline」は、歌声の質感の変化そのものが、楽曲の骨格を担っている1曲だ。イントロで軽やかな鍵盤が跳ね、ミディアムアップのテンポを印象付けるが、音数の多くないバックトラックが、歌の可動域を確保する。弾き語りを基盤にしてきた彼女らしく、楽曲の芯はあくまで、自身の声にある。Aメロでは中低音域を軸に、安定した重心の中で、突如一音だけ跳ねるように高音寄りの声が差し込まれる瞬間があるが、このスキルは、かなり歌い込んでないと出てこないアプローチだと思う。彼女は、喉のコントロールの精度が高いのだ。声質そのものは、ブレスを含みつつも芯は外さない、少しハスキーな声だが、母音を均一に伸ばすことでフレーズを水面のように滑らかに運んでいく。
“境界”を横断する声――質感の変化が描くテーマ
サビにかけて音階が上昇し、ロングトーンが出てくるが、ここで声の質感は驚くほど軽やかになり、透明感を宿す。高音域への移行もファルセットに逃げず、地声から自然に接続するため、質感の変化が段差にならない。スキルに頼った音像のドラマ化をせず、最後まで聴かせる歌声の質感、その存在感こそ、ほな、の真骨頂だろう。サビではバックトラックの音数が増え、バンドサウンドを意識した厚みが加わるものの、音圧は抑制されている。その結果、音像の空間は広がるが、歌声と聴き手の距離は近いまま保たれる。
また、曲中には意図的に譜割りを崩して歌う箇所もあるが、メロディーからの逸脱ではなく、言葉の輪郭を浮かび上がらせるためのアプローチだと推察する。低く沈む声と、瞬間的に跳ねる声。その対比が楽曲内で繰り返されることで起こる歌声の連鎖によって、歌詞の中にある“境界”というテーマを提示している。
弾き語りを出発点に持つシンガーソングライターが、声の質感の変化のみで楽曲の輪郭を描く。その姿勢が、彼女の未来を照らしている。
文・伊藤亜希
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