3月15日Spotify O-EASTにてEggs10周年記念ライブ「Eggs 10th Anniversary Festival」が開催された。数多くのインディーズアーティストをサポートし、世に送り出したEggsの記念すべき日を祝うために、現在全国の最前線のライブシーンで活躍するアーティストが集結。その他にも会場にはEggsに所縁のあるアーティストからのお祝いメッセージの展示や、歴史を作ってきたアーティストの会場BGMが流れ、音楽愛と近年のライブシーンの歴史に溢れた会場となっていた。その愛はもちろんライブでもたくさん現れた。その様子をレポートする。
叶芽フウカ(カナメフウカ)、バンドリスナーに刻み付けた弾き語りの迫力

Eggsの代表的なコンテンツのひとつ、オーディション。今回の実施にて選ばれたのは、アコギ1本、紛れもない生身1つのSSW・叶芽フウカ。強弱、緩急自在の演奏、本能剥き出しでありながら、芯の通った哲学を感じる歌詞を届ける歌声は存在感がありすぎて、サブステージで待っている人を含め、フロアの全員が視線と耳を奪われる。弾き語りライブに馴染みのない人は、あんな速弾きのストロークを聴いたことなくて圧倒されているように見えた。不完全な僕らのダンステーマ「僕は酔ってない」、冷徹なギターの音が逆に血生臭いほどの生命力を感じさせた「蠢らめらめら」、「この曲を歌う理由は、一度も世界平和とかやめちゃえよとか思ったことないからです」と伝えて始めた「世界平和とかやめちゃえよ‼︎」と、10分という限られた時間を全力で駆け抜けた。鬼気迫る迫力もありながら、大きな優しさも感じる彼女のことをもっと知りたくなるような時間だった。
setlist
- 01. 僕は酔ってない
- 02. 蠢らめらめら
- 03. 世界平和とかやめちゃえよ‼︎
札幌から東京に春をもたらすロック、KOHAKU(コハク)
1曲目「kibi」のゆったりと暖かみのあるサウンドは春も近付いてきたこの時期にピッタリ。屋外にいるような解放感を与えると、代表曲「シティーガール」は、さらにその空を高くしたように聴こえた。この曲がEggsに投稿されて数年の月日が経ったが、その時のリスナーには本当に地方から上京して、今都会で戦っている人がいるだろう。そんな人にとっての帰れる居場所になっている曲だと、こういう日の東京で聴けて改めて感じた。その後もEggsに感謝を伝え、久々というライブを彼らも楽しみながら、体を弾ませるロックな楽曲や情景の見えるドラマチックなバラードを届けていった。クリアなスリーピースのバンドサウンドは、高い洗練さゆえに引き立つ力強さと緻密な音のコントロール、秀逸なバランス感覚があって非常に巧みであり、聴く人の心をとても素直にさせる。キラキラとした顔でステージを見るお客さんの顔が多かったのも印象的だった。
setlist
- 01. kibi
- 02.シティーガール
- 03.なにも
- 04.泪の星
- 05.けんかをしよう
- 06.たられば
KEPURA(ケプラ)、挑戦をやめない彼らの新しい姿

ドリーミーに、爽やかに、思わずハミングをしたくなるほど楽しげにと、曲ごとに感触や情景が変わっていくセットリスト。「ghost 2」からの「Tonight」は、そんな音楽の旅のクライマックスに相応しいスケールで感情全てを抱きしめる力もあった。コーラスも含めあらゆる音の組み立てで魅せる、非常にアーティスティックなライブ。昨年活動休止を経て9月に活動再開した彼ら。本人のMCにもあったようにEggsランキングを席巻していた高校生の時のような青春ロックはせず、活動再開後の楽曲のみだったが、その新しい姿で鳴らす音楽は体の奥深くまで入ってきて、本能的にリズムを取る上質なものだった。そこに殻を破りながら挑戦することの大切さを感じさせられた。そして最後の「時代を超えてゆけ」の切り拓くエネルギーの強さは、まさにEggsが若手アーティストに伝えたいメッセージにも重なっているようにも感じた。
setlist
- 01. Abduct
- 02. Evidence
- 03. Sometimes
- 04. Nevertheless
- 05. ghost 2
- 06. Tonight
- 07. 時代を超えてゆけ
出会ったあなたを置いていかないピアノポップロック、606号室(ロクマルロクゴウシツ)

冬の気温を取り戻すようなバラード「100個の幸せとたった1つの」で感傷的な気持ちに没入させたと思ったら、ガムシャラに若いエネルギーをぶつけて頭上クラップを起こした「いつだって青春」、肩の力をフッと抜いて楽しめる「だらしない2人」、この曲をEggsに投稿したことで多くの出会いが始まった「未恋」、そして「日頃の鬱憤を晴らしてください!」と会場をジャンプさせた「スーパーヒーロー」など、様々なピアノポップロックを繰り出した。加えてこの日は曲中の言葉ひとつひとつやマイムに昇栄(Vo. / Gt)のフロントマンとして“あなた”を引っ張る覚悟を強く感じた。それは音とステージでの躍動で魅せる円花(Pf. / Cho)とゆうあ(Ba. / Cho)からも同じレベルで。何も分からないところから大阪の少年が始めたバンドは、確実にあなたのためのバンドヒーローになるべく歩みを進めている。
setlist
- 01.100個の幸せとたった1つの
- 02.いつだって青春
- 03.だらしない2人
- 04.未恋
- 05.スーパーヒーロー
浪漫派マシュマロ(ロマンハマシュマロ)恩返しは双方向に愛を深めていくライブで!

1曲目は浪漫派マシュマロとして初めて作った「一目惚れ」。この曲でEggsと繋がり、担当者からCDをタワレコに置きたいと連絡があった時は「詐欺だと思った」と振り返りつつ、釧路から上京して「音楽の不安を取り払ってくれた最初の人」という感謝の気持ちを常に感じるダイナミックなドラムを椎崎楓馬(Dr.)は見せていた。雨月毎夜(Ba.)も度々会場を広く使って全体のテンションを上げ、「俺たちがすべきことは、Eggsの築いてきた10年の思いを背負って、俺達なりに長い歴史をあなたと紡いでいくこと」と伝えた万結(Vo. / Gt)もエモーショナルかつ時に捲し立てるボーカルで会場を惹きつけ続けた。変調も面白いリズミカルな楽曲達は、彼らの音楽への愛と共に、とても受け入れる器量が広いことも感じるライブで、O-EASTという初めて立つ大きな会場でも自然とフロア全体と両思いになっていくのが分かるライブだった。
setlist
- 01.一目惚れ
- 02.君に夢中‼︎
- 03.らしい。
- 04.おそろいにしよう
- 05.あいまいみーまいん
- 06.大っキライ
メリクレット次元にようこそ

瑞々しいバンドサウンドと強いヒロイン性を感じるちぺ(Vo. / Gt)のボーカルを軸に、同期も彩り良く使って、ファンタジーアニメのOP曲に一刻も早く使われてほしい「透水」に、力強く爽快に飛ばす「pastel soda」、斗輝(Ba.)のベースソロから始まった「idiocracy」はボカロの影響を強く感じさせ、キュートでかなりポップソングに振り切ったように聴こえる「セミロング」と、あらゆる要素と次元を感じさせる楽曲で会場を魅了。MCでちぺに「緊張してる?」とツッコまれたレニア(Gt.)もギターソロで曲によって繊細に、力強く会場を包み込んだ。最後の「葵月だって泡沫」は終始清らかで疾走感のあるサウンドの中にも<行けよ>と未来へ力強く背中を押す。この勇ましさはあなたの孤独の夜を救うカッコいいロックバンドそのもの。このバンド、枠に収まる気はなさそうです。
setlist
- 01.透水
- 02.pastel soda
- 03.inter〜idiocracy
- 04.セミロング
- 05.葵月だって泡沫
リュックと添い寝ごはん、これまでの旅の歩みを見た、懐かしさと新しさを感じるライブ

1曲目の「ノーマル」だけでなく、「懐かしい曲をやりたい」と「サニー」も披露。高校生の頃からの思い出深い2曲を、当然その時とは違う、日々を重ねて進化したサウンドで届けた。特に今の「サニー」の爆発力には驚いた。最近のリュクソを表す踊らにゃ損々の流れも。堂免英敬(Ba.)とぬん(Gt.)はライブ初めから動き回っていたが、「天国街道」では松本ユウ(Vo. / Gt.)もまた1つ覚醒したかのように煽って、ステージ上でアグレッシブに。宮澤あかり(Dr.)も楽しそうにそれを安定感のあるリズムで支えていた。年間ランキング1位になったこともあるし、自らEggs生まれと話す1組。そのバンドから「Eggsに愛を込めて」と贈られた「Thank you for the music」はリュクソとフロアの合唱やクラップで大きなグルーヴを作る感動の景色。”音楽って素晴らしい”という空気を会場に溢れさせるリュクソ流の恩返しだった。
setlist
- 01.ノーマル
- 02.グッバイトレイン
- 03.サニー
- 04.恋煩い
- 05.天国街道
- 06.Thank you for the music
EVE OF THE LAINのライブ――イケるイケるEggsイケる!

リハーサルから本気だし元気。Eggsから与えられた25分の応え方。それは夏を先取りしたくらいワチャワチャ汗かいて楽しませて、そしてハチャメチャにカッコいいライブをすること!そんな気持ちが伝わる休む間も与えないセットリストで、4人もフロアも跳ねる、踊る、手を叩く、叫ぶ!岩根大旗(Gt.)とまっきぃ(Ba.)は初っ端からステージからはみ出してた。齋藤大河(Dr.)もフルテンで演奏もしながら「オイ!オイ!」と煽る。惣田航平(Vo. / Gt.)も「来い来い来い!」「笑顔の君が一番可愛い!」と言葉でも畳み掛ける。途中のギタートラブルも咄嗟の「フラッシュバック・ラブ」への曲変更で熱量を変えずお届け。最後はギターも復活しての「ビターハニー」でO-EASTを完全に独り占め。絶望も雑音もロックで蹴散らすライブバンド・イブオブをこれでもかと見せつけた。あ、Eggsの再生回数伸ばすコツは内緒で。
setlist
- 01. NOISE
- 02. 電光石火
- 03. エンジェルビート
- 04. BANG!BANG!BANG!
- 05. フラッシュバック・ラブ
- 06. ビターハニー
クジラ夜の街。2026年3月15日、渋谷で最も輝いた光の記録

全員がEggsのタオルを掲げて登場。「有明の詩」からO-EASTにひとつの街を出現させたような感じで、その街が最後までEggsと来てくれたあなたに向けての祝福の“ロックバンド・ファンファーレ”とも言えるようなサウンドを鳴らす。それ以降の音楽冒険体験はフロアの1人ひとりの中に星を生み、光と愛は留まることなく生まれ続けていった。山本薫(Gt.)と佐伯隼也(Ba.)のよりスケールを大きく届けるステージパフォーマンスに、秦愛翔(Dr.)もドラムソロなどの見所を作りメンバーがそれぞれ光を放つ中、宮崎一晴(Vo. / Gt.)は常に一世一代の告白のようなエネルギーで愛をフロアに伝え続けていて、だからこそ「夜間飛行少年」の<さよなら>は本当に別れが寂しそうに聴こえた。最後はEggs音源の初レコーディングの思い出や前日に取り壊しになる母校でライブをしてきた話をしてからの「ひかるひかる」。いつまでも光り続ける記憶を与えたのであった。
setlist
- 01.有明の詩
- 02.スターダスト・ジャーニー
- 03.ヨエツアルカイハ1番街の時計塔
- 04.夜間飛行
- 05.夜間飛行少年
- 06.ひかるひかる
このギラギラした魂がミーマイナーというロックバンド

美咲(Vo. / Gt. / P)の声を震わせながら「Eggsの担当者の方はミーマイナーを最初に認めてくれた人」という感謝の気持ちも、「メインステージに立てなくてクッソ悔しい!」という気持ちも、どちらも100%裏表なく伝え、その感情を爆発させるミーマイナーらしいライブ。
私はMCでも言っていたバンドの最初のSpotify O-EASTのライブ(ツタロックDIG vol.16)でもライブレポを担当したが、その頃とは比べものにならないくらい4人の個性が光るロックバンドになっていた。結成1年半で今の立ち位置は順調?いや急遽セトリ変更して届けた「レンタル彼女」の歌詞の<ダメだった>には、期間では測れないこれまでのたくさんの苦悩が詰まっていた。それでも自分で選んだステージに、そしてさらにその上のステージを目指して、ミーマイナーは今日も全力で鳴らし続ける。Eggsに教えてもらった“バンドとは何たるか”を胸に。
setlist
- 01.レモンガール
- 02.オンリーロンリータウン
- 03.ワンルームナイト
- 04.純文学
- 05.レンタル彼女
リアクション ザ ブッターーあなたのドラマを彩る音楽で終演

トリは2017年にEggsレーベルからミニアルバム『After drama』をリリースするなど「Eggsが立ち上がった時から、一緒に挑戦してきた。そのおかげで皆にも出会えた。このEggsと手を繋いできたことを今日証明したい」と意気込むリアクション ザ ブッタ。その安心感のあるメロディーと迫力のあるステージングは、さすが来年20周年のバンド。大人の頼もしいカッコよさや色気も見せたが、同時に変わらぬ無垢な思いやずっと曲げない気持ちも演奏だけでなく、3人の笑顔からも強く伝わる。最後まで残ったフロアも拳を上げたり、自然に体を揺らして楽しんでいた。このバンドはこうやってフロアと1本ずつ赤い糸を繋いできて、大事にドラマを重ねてきたのだと分かった。最後を飾るアンコール曲はその『After drama』から「ヤミクモ」。未来へ進んでいく1歩を、ブッタもEggsもこれからも応援していくことを示す曲となった。
setlist
- 01.恋を纏って
- 02.音の鳴る方へ
- 03.リード
- 04.You
- 05.ドラマのあとで - retake
- 06.プリズム
- En1.ヤミクモ
オーディションアクトに、大阪だけでなく北海道出身の3組がいたり、Eggsの歴史で外せない関東の高校軽音出身の代表的なバンドが揃ったりと、全国の全世代のインディーズアーティストを応援するEggsの総決算らしいメンツの音楽で1日盛り上がった。
インディーズシーンを取り巻く環境は日々変わっていくが、とにかく寄り添い、真摯にサポートするEggsのような存在が、これからも若き夢見る才能を支えてくれることを願っている。
■スタッフクレジット
取材・執筆:遊津場
撮影:マチダナオ / ごろ / イワモトアリム














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