Sept.の自主企画「ARIZONA STUDENTS」が2月21日に下北沢ERAにて開催された。
結成から6年、止まることなく作り続けてきた楽曲をライブで披露しつつ、Sept.が表現したかった音楽が進化を続けてきた、まさに今一つの完成された演奏を体感させられたライブであった。
本イベントから新たに女性コーラス兼鍵盤を迎えた5人編成でのライブであり、さらに音とバンドの温かさが増した。繊細なギターの音色や鍵盤を複数使った多数の音に埋め尽くされた空間、非現実的な夢と心地よさが広がっていく。
現Sept.を代表する楽曲からのライブスタート。「good wander」の歌詞 ”旅に出ようぜ” に象徴されるように、Vo クロサワの言葉は日本語で分かりやすく語りかけてくれるが、聴く者の側に寄り添ってくれる、後押しをしてくれる優しさが存分に伝わる。
ループするフレーズとサウンド「show-window」で奥深く、エレクトロな要素と儚い歌が印象的な「free-fall」と続き、Sept.の世界にどんどん惹き込まれていく。
Sept.の演奏は基本的にシンプルだ。しかし、音のタッチや歌い方の質感は絶妙。歌詞がはっきりと聞こえて一度聞いたら口ずさみたくなるインパクトもある。
なぜイベントタイトルが「ARIZONA STUDENTS」なのか?とのMC、結成当初にバンド名にしたかった言葉でしっかりと意味が込められているのだが、「こんばんは、ARIZONA STUDENTSです。と言うのが恥ずかしかったんでSept.にしました」と淡々と話しながらお客さんからは大きな笑いが起きる。繊細かつクリエイティブな演奏と人間性のギャップも彼らの魅力の一つなのかもしれない。ちなみに自分も笑ってしまった。
また演奏が始まったらすぐにSept.の音楽の世界に惹き込まれた。声をあげて盛り上がるということはなく、じっくりと音の渦と曲、その質感と演奏している彼らの表情を堪能するかのようにライブは続き、「requiem」という曲名に相応しいERAが大きなライブハウスに感じるような壮大な音のアンサンブルでライブを締め括った。
アンコール、曲を演奏する前にお客さんや共演者にも心を込めて感謝を伝える。当たり前のことかもしれないが、当たり前でもない。自然と、良いライブ、良いバンドと出会えて良かったと改めて思う。
1st mini album、1曲目のSept.の初期代表曲「non finito」で再度の締めくくり。
これからもSept.の「ARIZONA STUDENTS」は開催を続けていく、これを読んでくれた誰か1人がSept.を知って聞いて、ライブを体感して良かったと思ってもらえる。自信を持ってオススメしたいオルタナティブドリームポップバンドだ。
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文・下北沢ERA 久保寺 豊
setlist
- 01. good wander
- 02. show-window
- 03. free-fall
- 04. slow down
- 05. Kaze
- 06. faraway
- 07. good night
- 08. requiem
- en. non finito