Text:大西健斗
Photo:森好弘
銀杏BOYZやBIGMAMAらが所属する下北沢のレーベル・UK.PROJECTが3年振りに開催した若手発掘オーディション「Evolution!Generation!Situation!Vol.2 Suppoted by Eggs」のファイナリストライブ“大阪編”が、7月2日に梅田Shangri-Laで行われた。同オーディションは、この2月から募集を開始。UK.PROJECTのスタッフによる一次審査、ユーザー投票による二次審査を経て、最終ライブ審査に残った計11組が東京と大阪に分かれてファイナリストライブに出演。グランプリに輝いたアーティストには、8月16日に東京・新木場STUDIO COASTで開催されるUK.PROJECT主催の夏イベント「UKFC on the Road 2017」出演権の他、UK.PROJECTからタワーレコード限定のCDリリース、さらにBIGMAMA 金井政人(Vo.Gt)がリリースする音源を1曲プロデュースするという豪華特典が与えられる。
今回は大阪編に出演した5組のライブ模様をレポート!活躍の場を広げるチャンスとあって、独特の緊張感が漂う中で凌ぎを削る熱いライブが繰り広げられた。また、5組のライブ後には、前回オーディションのファイナリストである先輩・the equal lightsがイベントに華を添え大いなる盛り上がりをみせた。
トップバッターは、福岡県久留米市発のaint。『明日が来るまで』でライブをスタートさせると、のっけからトリプルギターの美しくも分厚いアンサンブルを轟かせて存在感をみせつける。「一番大事な曲を」と披露された『Alnitia』は、ニシダコウキ(Vo/Gt)の透き通ったエモーショナルな歌声が際立ち、usako(Vo/Gt)の繊細で高い歌、清風(Ba)の破壊的なシャウトが重なり奥行きと広がりを生み出す。MCでは、ニシダが方言交じりに想いの丈を伝え、『hello』で全身全霊を込めた音圧を浴びせる。差し込まれる海野タカアキ(Gt)のテクニカルなフレーズ、そしてニシダの実直な眼差しが印象的。持ち時間15分という短い時間とはいえ、気持ちをふり絞り出し切ったという清々しい表情でステージを後にした。
2番手は、大阪発のおやすみリプトン。衝動的なギターリフから疾走感溢れる『残像少女』で飛ばしていく。軽快でメロディックなナンバーを聴かせ、ケイトン(Vo/Gt)が「名前と顔だけでも覚えて帰ってください…じゃなくて、俺たちの放つ一音、ひと言、全部覚えて帰って下さい!」と挨拶。続く『Hitsuji』で勢いを加速させていき、ケイトンのハスキーな声がより深みを増した『アサギリ』へ。カイトン(Gt)が倒れ込むまでギターを掻き鳴らし、センセーショナルな印象を与えてフィニッシュ。まだ20歳にも満たない彼らだからこそ鳴らせる楽曲から、むき出しの衝動と熱を帯びたエネルギーがヒシヒシと伝わってきた。
1曲目『Pray Station』から英詞と日本語詞を織り交ぜながら、ポップなグッドメロディを届けたのは大阪のTransit My Youth。シンセの音色が心躍らせ、taiki morino(Vo/Gt)がしっかりと感情と熱情も込めて歌い上げる、身体性のあるライブを展開。『a vista』では、腰にくるリズムに身を任せて踊る観客たち。海外インディーのパワー・ポップを想起させるサウンドからは、ルーツミュージックへの愛を十二分に感じる。また、特にMCで何かを語るわけでもなく、淡々と楽曲をぶつけて勝負する潔さは自信の表れだろう。ラストの『hipopo』は、これまでとはうって変わって男女ツインボーカルの楽曲。限られた時間の中で、グッと引き込む求心力をしっかりと見せつけた。
続く名古屋のCalmineは、この日が関西初のライブとなる。1曲目の『Universe』から肩の力が抜けた伸び伸びとしたステージングで、瞬く間に自分たちの空気に変えてみせた。『季節のせいにして』では、丁寧に積み重ねたサウンドが瑞々しく軽やかに鳴り響き、情景の浮かぶ日本語詞を観客の心へと寄り添うように歌う。ポップなメロディーはポジティブな煌めきと哀愁を併せ持ち、じんわりと心地いいセンチメンタルな感情を沸き立たせる。キーボードの効いた『youthful days』では、鶴田龍之介(Vo/Gt)の清涼感ある歌声が次第に熱を帯び、バンドのスケールをさらに広げながら最後まで繊細で美しいポップスをまっすぐに届けた。
最後に登場したのは、奈良のFaded old city。冒頭からYou(Vo/Gt)が英語で挨拶して、会場中の視線を釘付けに。歌詞はすべて英語で、MCも英語。それも垢抜けていて、物凄く滑らか。徹底した英語アプローチは、決して半端なものなどではなかった。自然とクラップが巻き起こった『LIGHT』ではダンサブルなビートに合わせて弾むように歌い、『PIERCE』では波のようにうねる感情の起伏を見事に表現。鮮やかなシンセポップのメロディに乗り、時には耳元で囁くように、時には熱情を解き放つようにして激しく歌い上げ、観客の心を鷲掴みにして魅せる。ラストの『PRISM』では、ミラーボールがドラマチックなムードを増幅。骨太かつ多幸感溢れるバンドサウンドを届けた。
以上、5組のライブをもって大阪編の審査参加アーティストのステージが終了。最後にゲストアーティストとして、前回オーディションのファイナリストでもあるthe equal lightsが登場!のっけからスケール感のある楽曲で一体感を生み出すと、フロアには続々と拳が突きあがり、大合唱を巻き起こす堂々たるライブを展開。ファイナリストの先輩として、プライドと底力をみせてくれた。MCでミシマテツオ(Vo/Gt)は、「好きなバンドはいましたか?お気に入りのバンドはいましたか?そういうバンドと次の世代を作っていこうというイベントです。俺たちも力になりたくてここに来ました。好きな音楽を広げていきましょう」と投げかけ、オーディション参加当時の心境を振り返りながら、「UK.PROJECTが、こうして大阪編を開催したということは関西発のバンドも発掘して強くしていきたいという意思があるんだと思います。いつか大阪でも「UKFC on the Road」みたいにでかいイベントができたら、俺らもそこに出たい」と高らかに宣言。関西出身のバンドとして存在感をアピールしながら、イベントに花を添えた。
グランプリアーティストは、東京会場の6組と合わせた計11組の中から決定。7月下旬に同オーディションサイトや「UKFC on the Road」のツイッターアカウントなどで発表される。「UKFC on the Road 2017」への出演権など、豪華特典を獲得して新たにシーンを牽引していくチャンスを掴むのはどのバンドなのか!?発表を心待ちにしよう。
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