1月度マンスリープッシュアーティストインタビュー～katawara～

Eggsスタッフが今月の注目アーティストを選ぶ「Eggsマンスリープッシュ」！

2025年1月のマンスリープッシュアーティスト、katawara（カタワラ）にオンラインインタビューを行った。shogo（Vo./Gt.）とsetsuka（Vo./Pf.）が曲作りの際、イメージを共有するために使っているものとは？

大阪発のkatawara（カタワラ）が目指す音楽とは？

ーーバンド結成の経緯を教えてください。

shogo（Vo./Gt.）：高校1年生の時、2人とも同じクラスで軽音楽部だったんです。当時は、それぞれ別バンドを組んでいたんですね。で、卒業を機に音楽活動を辞めるっていう人もいる中、お互いに卒業後も音楽の道に進むことが決まっていたんですよ。

setsuka（Vo./Pf.）：音楽を続けていきたいって気持ちが2人とも強かったから、わりと自然に、一緒にやらない？みたいな話になったんです。好きな曲も似てたので、自然に……やろっかみたいに決まりました。

shogo：2人とも環境音楽、インストミュージックや映画音楽、劇伴音楽が好きだったんですよ。

ーールーツの話が出てきたので、2人のルーツについてもっと詳しく伺えますか。

shogo：アコースティックな趣きで、メロディーも優しくて、聴き心地がいい音楽。日常にスッと溶け込むようなサウンド。

setsuka：そこらへんの音楽の趣味はすごく合うんですよ。でも他にもそれぞれのルーツがあって。私がクラッシックピアノからピアノを始めたので、クラッシックが好きだったり。彼（＝shogo）は、ロックやバンドサウンドを聴いてますね。元々やっていたバンドもギターロックだったし。お互いのルーツの違いも取り込みつつ、いろいろ探りながら、katawaraの音楽にしていってるんです。

ーーkatawaraというバンド名の由来は？

shogo：自分たちが好きな日常に溶け込む音楽をやりたいと思って始めたバンドだから、皆さんの日常に寄り添えるようなバンド名がいいと思ってkatawaraってつけました。それから、高校時代に初めて2人で作った曲のタイトルが『かたわら』だったっていうのも、大きな理由ですね。

ーー“傍らに寄り添う”とか言いますもんね。

setsuka：言いますよね！“傍ら”って言葉に寄り添うって意味もついてくるっていう。

ーーその通りだと思います。本当に自分たちのやりたいことが明示されたバンド名ですね。

setsuka：そう言っていただけて嬉しいです。

katawaraの美しく優雅な音像が生まれる秘密

ーー曲作りはどのように行っているんですか？

setsuka：曲によって変わってくるんですけど、まず私が曲を作っていって、そこにshogoが歌詞をつけるパターンが結構ありますね。

shogo：歌詞は絵画とか小説がモチーフになるんですけど、2人でイメージを共有するために、その絵画を一緒に見たり、この本からイメージして作ったから（setsukaに）この本読んでみてみたいな話もしたり。そうやってお互いのイメージを共有して、いろんな話をしながら、2人で修正をかけていく。元はsetsukaが作ったものなんだけど、曲も歌詞も2人で一緒に作ってるって感じが強いかな。アレンジも2人でやりますね。お互い弾く楽器も違うので、いいところを出していって、仕上げていく感じです。

ーー曲のイメージを絵画や本で共有するって、すごく面白いですね。だからあぁいう美しい曲ができるんだって、今、納得しました。

setsuka：本当ですか！すごく嬉しい……。

shogo：今おっしゃっていただいた言葉、まさに僕らが目指している音楽でもあるので、すごく嬉しいです。時間や場所、気分に左右されず、聴き手に寄り添えるような音楽を届けたいんです。

ーー音楽でイメージを共有することはないんですか？

shogo：例えば既存の曲でってことですか？

ーーそうです。曲全体じゃなくて、この曲のここの感じ……とかそういうのも含めて。

shogo：僕らの性格的に、似た曲を作りたくないっていうのがあって。音を聴くとやっぱり影響されちゃうのから、音楽でイメージを共有することはほとんどないですね。

setsuka：そこに似た曲を作りたくないっていう、katawaraのひとつのこだわりが出てると思うんですよね。shogoは歌詞ではあまり自分を出さないけどね。

shogo：歌詞は僕自身の性格を出さないように意識してますね。例えばある映画を観て歌詞を書くとしたら、その人物になりきるようにして、この人物だったらどう考えるかな、そしたらどういう言葉がいいのかなって想像しながら、歌詞を作っていくんですよね。

setsuka：shogoの書く歌詞って、小説みたいだなと思うんです。言葉単位で聞くとちょっと難しい言葉もあるなと思うけど、感情とか季語とかまで含むと、一気に情景が見えてくる。物語がしっかりあるんですよね。

男女ツインボーカルだからこそ出せる個性

ーーツインボーカルに至った理由は？

setsuka：最初はshogoが歌っていたんです。私はそこにコーラスをつけて歌っていて。で、2曲目の「海の月の出」（2024年）をリリースする時に、私も歌ってみようってなって。で、歌ったら思いのほか褒められまして（笑）。それで2人で歌う形になりました。

ーーキーの調整とかもなく？　するっとツインボーカルに？

setsuka：そうですね。私の歌声って、普通の女性ボーカルよりもやや低めなんですね。逆にshogoは普通の男性ボーカルより、少し高いところも出るレンジを持っているので、そこを活かしてハーモニーとかも考えていくんです。男女でのオクターブのユニゾンとかは、他にあまりないし、綺麗に出せているんじゃないかと思います。

ーー今、活動している中で最も大切にしていることは？

shogo：曲と映像と一緒に聴いてもらいたいと思っているんです。だからMVには毎回、すごくこだわっていて。2人で映像制作も一緒にやっているんですけど、そこにもう1人、高校時代からの友人で、昔からカメラや映像が好きな子が入って3人でやってる。setsuka：すごく細かいところまでこだわって作ってますね。それこそ、0.00何秒とかの世界。3人で、少し早いとか、ここはほんの少し遅くてもいいとか。ずーっとそんなことを話ながら作ってます。

shogo：MVは音楽をもっと伝わりやすくしてるってイメージ。曲を聴いた人の中で、MVが浮かび上がってくるのが理想ですね。

ーー自分たちのバンドを漢字一文字、もしくは単語で例えると？

shogo：拡張現実、かな。

ーー楽曲を構成するファクターに、映像やアートも入ってますもんね。拡張現実って、現実の世界に新たな要素を加えることですし。

shogo：そうなんです！だから拡張現実。

setsuka：私は、単語でノスタルジー。バンドのテーマでもあるんですよ。ノスタルジーなちょっと浸れる懐かしさって、聴いている人をリラックスさせて、穏やかにするなと思っていて。ちょっと懐かしい感じっていうのは、結構、意識して曲作りもしてるので、ノスタルジーにしました。

アート体験として楽しんでもらえるライブ空間を作りたい

ーーバンドにとっての目標とは？

shogo：美術館やアートスペースで、自分たちの音楽と映像、さらにアート作品などを融合させたライブを行うことが目標ですね。ただのライブではなく、アート体験として楽しんでもらえるような空間を作りたいと思ってます。

ーー今後のリリースや活動予定について教えてください。

shogo：春頃を目処にアルバムをリリースする予定です。これまでのシングル曲のほかに、インスト曲や新曲も入るので「あぁ、これが“katawaraだな”って思ってもらえる作品にしたい。それから、春に活動拠点を東京に移すので、そのタイミングで、アーティスト写真やビジュアルも一新する予定なんです。2025年を新たな節目としてもっと頑張っていきたいと思います。