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2/12下北沢DaisyBarで開催された『Eggsレコメンライブ Vol.22』の濃密な時間をレポート!!

2/12下北沢DaisyBarで開催された『Eggsレコメンライブ Vol.22』の濃密な時間をレポート!!

2025/03/18

 インディーズシーンを応援するEggsが手掛けている『Eggsレコメンライブ』は、その名の通り、Eggsスタッフが心からオススメしたいバンドたちを集め、定期的に開催しているライブイベントだ。その2025年の第1弾として2月12日、東京・下北沢DaisyBarにて行われた『Eggsレコメンライブ Vol.22』の模様を早速レポートしよう。

トッパーは新潟発のreco(レコ)。ソリッドなバンドアンサンブルで観客のハートを掴んだ!

 エモーショナルかつソリッドなアンサンブルでいきなりオーディエンスのハートを鷲掴みにしたのが本日のトップバッターにして新潟発の4ピースバンド、recoだ。繊細に構築されながらも一聴して口ずさみたくなるキャッチーなメロディーとロックバンドらしい剛健なサウンドに乗せて、彼らが描き出すのは、白か黒かじゃない、かと言って単にその2色を混ぜただけのグレーでもない、曖昧で複雑な心情のグラデーション。大事な気持ちから目をそらし刹那の快楽に流される“僕”と“君”を自嘲まじりに歌った「またやっちゃってる」、他の女に会いに行く“あなた”を知らぬふりで送り出す“私”の葛藤と恋慕も赤裸々な「いってら」など、ソングライティングを手がける筒場リューシ(Vo./Gt.)が綴るラブソングはどれを取ってもただごとならないが、それらをことごとく聴き手に刺さる至高のポップナンバーへと錬金するバンドの豪腕にも唸らずにいられない。ちなみにこの日はこれまでサポートだったユウセイ(Gt.)が正式にメンバーとなっての記念すべき初ライブだそう。「バンドを始めて5年、今の4人が揃って初めての全員正規メンバーのライブです。今日という日をここで迎えられてめちゃくちゃ嬉しい」と感慨深げに筒場が告げるとラストは「明日に手を振ってまで」を披露。10代の頃に作ったというこの曲を、初心に返るが如くプレイする彼らのなんと活き活きとした表情か。“浮気相手みたいなバンド。寂しくなったら聴きにきて。”をキャッチコピーに掲げるrecoだが、こりゃもう本命以外ありえないだろう。

setlist

  1. 01. またやっちゃってる
  2. 02. 夏日
  3. 03. ガム
  4. 04. テイクアウト
  5. 05. いってら
  6. 06. 明日に手を振ってまで

Adam's miss(アダムスミス)の中毒性の高いグルーブ

「今日が初めての方もいつも観てくれている方も、心の距離を一歩ずつ一歩ずつ縮めて、お近づきになりたいです。楽しんでいこうね、よろしく!」。15秒ほどだけれどパワフルな弾き語り曲「越える」を歌い上げた直後、こうよう(Vo./Gt.)は溌剌とそう挨拶。鉄板チューン「Step by Step」でAdam's missのライブは本格的に幕を開けた。新潟県上越市で結成、現在は埼玉県に在住し、精力的にライブ活動を重ねているこの4ピースバンドの武器は、その場にいる全員をたちまち巻き込んでアッパーに牽引する中毒性の高いグルーブ感だ。この上なくストレートに愛を歌った「伝える」から、テンポチェンジも巧みにしてスリリングにうねる「テセレーションガール」、不敵なベースがフィーチャーされたミドルナンバー「狂餐歌」に、Adam's missのダークな魅力が全開の「ジノザウル」と、陰と陽、清と濁、緩と急を自在に操るしなやかな演奏力も然りで、確実にフロアのボルテージを上昇に導いてゆく。「音楽に勝ちも負けもないけれど、与えられた時間の中でどれだけあなたの記憶に残っていられるかが勝負だと思っています」とステージに立つ心意気を衒いなく明かす、その真っすぐさも4人の大きな魅力だろう。聴く者の郷愁をも掻き立てながら疾走する「ノスタルジア」では<遥々来ました>の歌詞を<遥々今日は出会ってくれてありがとう>と替え歌にして、オーディエンスへの感謝を表明する一幕も。Adam's missというバンドのすべてをぎゅうぎゅうに詰め込んで、丸ごと手渡してみせた全身全霊の30分間だった。

setlist

  1. 01. 越える
  2. 02. Step by Step
  3. 03. 伝える
  4. 04. テセレーションガール
  5. 05. 狂讃歌
  6. 06. ジノザウル
  7. 07. グレーテル
  8. 08. ノスタルジア

福岡から参戦!no more(ノーモア)が観客と一緒に作った無二の空間

 圧倒的な声量に伸びやかなビブラート、艶を帯びた深みのある声色で優しく奏でられた「会いたい」のイントロから、くに(Vo.)がその第一声を放った瞬間、まるで雷に打たれたかのようにフロア全体がうっとりと聴き惚れる。『Eggsレコメンライブ Vol.22』の3番手に登場したのは、福岡県を拠点に活動している3ピースバンド、no more。2022年5月に結成と活動期間は3年にも満たないながら、すでにEggs内のアーティストランキング、楽曲ランキングなどでは上位の常連として名を馳せているのも納得の歌唱力にただただ目をみはってしまった。だが、もちろん突出しているのは歌声だけではない。ボーカルを前面に押し出しつつ、サウンドをタフに支える絶妙なバンドアンサンブルこそが彼らの肝だろう。さらに特筆すべきはオーディエンス参加型とも呼びたいそのステージングだ。一気にアップテンポに転じた「君よりの心」で「ちょっとコール&レスポンスなんてものをやってみようと思います」と、くにが呼びかけて客席いっぱいに大合唱を起こしたかと思えば、「僕が君を僕のように愛すから」では「僕たちno moreは、皆さんにクラップしたり歌ってもらったりするんですけど、もうひとつ大事なことがあります。跳ぶ準備、できてますか!」と思い切りジャンプを促すなど会場全体をひとつにして無二のライブを作り上げていく(演奏後、メンバーがもれなく息切れしていたのはご愛嬌だ)。そんな彼らの原動力は“愛”。「音楽を通じて変わることができた僕らだからこそ、音楽で最大限の愛を歌いたい」という彼らの願いは、この日集った一人ひとりの胸にしかと刻まれたに違いない。

setlist

  1. 01. 会いたい
  2. 02. 星座
  3. 03. 君よりの心
  4. 04. 僕が君を僕のように愛すから
  5. 05. 愛されている
  6. 06. 笑われた夢

圧巻のステージにアンコールかかった群馬出身のThe Gentle Flower.(ザ・ジェントルフラワー)

 ついに迎えた大トリのステージ、担うは群馬県出身・在住の4ピースバンド、The Gentle Flower.だ。ギターロックサウンドを基調に流麗なメロディーと、金子大伸(Vo./Gt.)によって綴られた叙情溢れる歌詞とが織りなす世界観が多くのリスナーの共感を呼んでやまないインディーズシーン筆頭注目株の登場にフロアの熱気が一段と高まる。遠く離れた大切な人への手紙みたいにかけがえのない想いを楽曲に託した「Dear Lucy」。その曲中、「この命が朽ちたら何もかも終わってしまうから、今日も生きて愛を叫びに来ました。どうか最後までお願いします」と金子が告げると、客席一面に突き上げられた拳がより力強く天を指した。続く「有名になったら」ではグッとアップテンポに転じたアンサンブルに寄り添うようにハンドクラップが鳴り渡り、「今日が人生最後の日でもいいように、俺たちMAXでいこうと思ってるんですけど、そんなもんですか?下北!」というアジテートからなだれ込んだ「片足の少年」ではステージも客席も渾然一体となって全力疾走する。メンバー全員によるコーラスがヒリヒリとした焦燥をいっそう掻き立てにかかるのも、またたまらない。本編ラストの「スペースダイバー」までの全6曲を心を込めて演奏し終え、「明日も生きて必ずまた会いましょう!ラブ&ピース!」とメッセージを残して一旦はステージを降りたThe Gentle Flower.だったが、アンコールを求める手拍子がすぐさま4人を再び呼び戻した。「こう見えて、あんまり上手くしゃべれないんですよ。でも大きい声で気持ちを伝えるのは大得意なので、みんながくれたアンコール、しっかり気持ちを乗せて歌って帰ります」と彼らが最後に選んだのは「空想飛行」だ。3年以上前に作られたバンドにとっても思い入れの深いだろうこの楽曲。<「大事なモノ」はポケットに入れて>と歌いながら、笑顔で右の拳で胸をトントンと叩く金子の仕草にもグッときた。

setlist

  1. 01. Dear Lucy
  2. 02. 有名になったら
  3. 03. 片足の少年
  4. 04. ゆめのなかで
  5. 05. 42km
  6. 06. スペースダイバー
  7. En. 空想飛行

いつにも増してライブ巧者が揃った感のある今回の『Eggsレコメンライブ Vol.22』。層の厚いシーンのなかで日々切磋琢磨するインディーズバンドたちの姿に強く心打たれた回であった。瑞々しくも熱気溢れるこの空間に次はぜひあなたも足を運んでほしい。

写真・佐藤 薫/文・本間 夕子

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この記事を書いた人

本間夕子

音楽系書籍・雑誌の編集者として10数年を経たのち、05年よりフリーランスとしてライター業をスタート。現在は邦楽アーティストを中心にWEB・雑誌・FC会報等にてインタビュー、レポート、レビューを執筆するほか、ライブやレコーディング現場に密着したドキュメンタリーブックなども手掛ける飲んだくれ。新しい才能との出会いをくれる『Eggs』に乾杯!

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