2月14日に新開地アートひろばにて、Battle de eggの決勝コンテストが開催された。
今年で14回目を迎える、全国初の行政共催のオーディション。神戸市のバックアップのもと、官民合同のオーディション形式にて、若き才能を世に送り出してきた。
ソロ部門とバンド部門に分かれて審査し、グランプリアーティストはCOMING KOBE出演権と無料レコーディング権、ワーナーミュージック・ジャパンからの配信に加え、ソロ部門のアーティストにはアコフェス、神戸市花火イベントへの出演権、バンド部門ではTOKYO CALLING、台灣祭の出演権も獲得する。
見事SOLD OUTとなった決勝では応募総数100組以上から選ばれたソロ部門4組、150組以上から選ばれたバンド部門4組が、2曲10分に思いを込めたパフォーマンスを見せた。このレポートでは、その8組の戦いとゲストバンド・Parallel Frankのライブの模様をお伝えする。
【ソロ部門】
①神谷友志

熱戦の火蓋を切った1曲目は『途上』。どこか無常感のあるアコースティックギターを掻き鳴らす音にエモーショナルで芯のある歌声が合わさり、満員の観客も一気に音楽を聴くスイッチが入った。
気持ちが入るのも当然。今年で3年連続ファイナリストである神谷。「2年間悔しい思いをしてきたので、しゃべりたいこともあるんですけど、曲に全部込めていきたいと思います」と話して『前奏曲』を演奏。<何をやっても上手くいかねぇなぁ>という歌い出しに、その思いが痛いほど伝わったが、それでもと未来に向かっていくこの曲は、現実社会で戦う全ての人への応援歌として届いてほしいと思った。そしてそれを熱く届ける姿に審査員の稲村太佑(アルカラ)も「神谷君の生き様が一昨年よりも去年よりも曲に入っていた」と高評価だった。
②ほな、

2組目は兵庫の高校生シンガーソングライター・ほな、。1曲目『Coastline』から落ち着きもありながら透明感のある歌声、間も効果的に使った演奏、文学性を感じる楽曲で、音が鳴り終わる最後の1秒まで会場を引き込んでいた。
MCでは感謝と「ここまで来たからには悔いの残らないように全部出し切って優勝したいです」と話し「心が雨模様だとしても前を向けるように」という思いを込めて届けた2曲目は『傘模様』。とても温かみのある寄り添いを感じる楽曲で、本当にこれから多くの人の心の傘となる曲になるのではと感じた。
審査員のHIROSHI(FIVE NEW OLD)は「ギターストロークが大変美しい」と高評価。会場にも将来性抜群な関西のアーティストと新たに出会えた空気が流れていた。
③蒔音

『トゥインクル』のイントロから手拍子の輪がどんどん広がっていき、そこに晴れ渡るような歌声が加わって、会場の温度が確かに上がる。昨年まではBattle de eggへの応募を迷い、踏みとどまっていたとのことだが「今年はいろんな人が応援してくれて、ちゃんと地に足着けて戦いたいな。もっとギラギラして、やっぱり夢叶えたいよなと思って、気付いたら体が応募してました」と話し、この舞台まで連れてきてくれたことと見てくれている人に感謝する。
そして「後はやるだけなんで!」と自信を持てるきっかけとなった『Shining on me』を演奏。抑えきれない思いを正直に爆発させた楽曲が見事炸裂!「大阪から来ました!」と最初に挨拶していたが、その大阪で積み上げてきたプライドを感じるライブを見せてくれた。
④山田萌

「今日はバレンタインデーですね。お菓子会社の戦略に乗るのもどうかと思いますが、みんなが幸せな気持ちになればという思いを込めて歌います」とフワッとチクッとしたトークから『ファンタジー』へ。それは今にも商店街へ抜け出して美味しいスイーツを買いに行きたくなるような柔らかでポップなメロディ。包容力と深みのある歌声もあって、心に楽しい気持ちをもたらした。
続く曲は宮沢賢治の小説「雪渡り」を題材にした『幻灯機』。一転、田舎の冬世界へ連れて行くメロディ。山田の歌声と慈しむように届ける歌詞も雪のように柔らかくもしっかり積もっていくように聴こえてきた。
2度目の決勝は異なる温度感を見事に表現して魅せてくれた。こんな美しいバレンタインプレゼントをもらっていいんですか?
【バンド部門】
①ナンカノユメ

1曲目は色気のあるオシャレなダンスナンバー『なんでもやさん』。クラップが巻き起こり、会場のムードも軽やかで華やかに。841(Vo)も目を離させないステージ上での動きを見せる。
このままエンドレスなダンスタイムでもいいかも…とさえ思わせたが、2曲目『ミライノヒカリ』は超パワフルソング。彼らのバンドTシャツはサッカーのユニフォームのようなデザインだが、まさにスタジアムでの大合唱も見えてくるような力強いシンガロングがある楽曲。841の「まだまだ盛り上がれるよー!」という叫びに対し、彼らのファン以外のお客さんも、恐らく審査員も一緒に歌っていた。今日はアーティスト同士の戦いでもあるが、ただひたすらに今日のイベントを最高なイベントにしたいという思いが伝わった。
②おとなりアイニー

「ここまで連れてきてくれてありがとう!あとは任せてくれ!」というはる(Vo.Gt)の頼もしい宣言から『ラビンユー!』へ。掻き鳴らした1音目から太くて強い音だったが、曲が進むにつれて、大きな愛が伝わってきて安心感が溢れてくる。下地(Ba.Vo)の途中センターに駆け出してクラップを煽る姿もカッコよかった。
「きっとあそこは海が見えて、空が高い、風が気持ちいいライブハウス!」とCOMING KOBEを表現するはる。2年前にも決勝進出したが逃しており、だからこそその悔しさを胸に放出した『hope』のエネルギーは、全ての闇を突き破るほどの強さ。これがFrom 京都GATTACAのロックバンド。
正規メンバー1人の時期も乗り越えて、昨年10月に3人揃ったおとなりアイニーは今が絶好調。
③ヒトリゴト

リハーサルから本気モードを見せたのは、地元神戸のロックバンド・ヒトリゴト。本編も『シンガロング』から直球勝負のギターロックの音と新島遼嘉(Vo.Gt)の力強い歌声をノンストップで投げ込んでいき、会場にも少年心のようなキラキラが生まれてくる。
新島は「今日応援しているバンドがそれぞれおると思う!ただ俺達はバンドマンとして、目の前にいるあなた達が何か1つ持ち帰ってもらえるように精一杯全力で歌います!」と伝えて『しるし』へ。何度も真っ直ぐ<届け>と叫ぶ楽曲と大きなアクションを見せる4人に、こちらも本心でぶつからないといけないという気持ちにさせて、会場の熱も上がってクラップで応える。そこに「ありがとう、百点満点」と新島は感謝した。大阪、京都のバンドに負けない神戸の意地を見せた。
④Asobigokoro

他のバンドとはまた違う親子連れも見える応援団。それもそのはず、メンバーは30代で5人中3人が父親というAsobigokoroが審査のトリを務める。「だからこそ歌える家族愛を」と演奏した2曲はどちらも恒花和馬(Vo)の7歳と5歳の息子に向けた曲。『kodomogokoro』の最初からしっかりハンズアップが起き、恒花も感動しながらもしっかり甘い歌声を届ける。演奏隊もグッドメロディを重ね、グルーヴが上がっていく。そして息子達に対し「俺が一生味方でいるから」というメッセージを込めた『青空への手紙』へ。愛と解放感溢れるサウンドが会場の屋根を突き抜けてどこまでも広がっていった。
ありそうでなかったコンセプトは唯一無二のアットホーム感。新しい音楽と大人の姿を教えてくれてありがとう。
ゲストバンド・Parallel Frank

結果発表を待つ間に昨年のグランプリバンド・大阪のParallel Frankによるゲストライブが行われた。神秘的で壮大なSE『Luminous』からの『21』はドラマチックで、正統派な歌モノを届けたかと思えば、2曲目『TRAVELER』はK.T(Vo)もスタンドマイクからハンドマイクに変わり「気楽にいこうね!」と、とにかくテンションが上がるナンバーに。声を出すだけでなく、タオルを回して楽しむお客さんもいた。
K.Tは止まらず、フロアに降りて直接スタンドアップを促すと大勢が立ち上がり、『ヒットマン』は全体が両手を右に左に挙げまくって、さっきまでコンテストしてたっけ?くらいのお祭りの雰囲気に。それでも「あなたの人生の1番の音楽になりに来ました!」とゲストとか関係なく『スターチス』で本気で刻みに来たパラフラ。会場が曲に合わせて左右に手を振る光景に「これだから辞められへんな!」「また絶対会おうな!」とK.T。このカラフルでピースフルな空間を忘れることはないだろう。
結果発表
既報の通り、グランプリはソロ部門・山田萌、バンド部門・おとなりアイニーが選ばれた。
どちらも2度目の決勝で掴んだグランプリとなり、見事リベンジ達成。是非COMING KOBE等に行かれる方は目撃してもらいたい。
ただ審査員のw-shun(KNOCK OUT MONKEY)の言った通り「始まってもないし、終わってもない」というのが全てだろう。大きなプラスとなる経験をした8組のこれからの活動に引き続き期待してほしい。



写真:雷 @nameless4645
MC:櫻井雅斗(吉本新喜劇 / FM大阪DJ) @mst44
文:遊津場





























