4月1日、大阪・心斎橋Pangeaにて、Blue rose paradigmによる自主企画「衝動と焦燥 vol.3-新天地編-」が開催された。
千葉県市川市発の彼らは関東のライブシーンで成長を重ね、3月20日には大阪のサーキットフェス・ZERO NENにも出演し躍動。そして今回初の大阪での自主企画となった。関西で同世代であるRIP DISHONOR、ファジーデイズの2組との共演だからこそ生まれた、その衝動と焦燥。彼らのバンド史にも深く刻まれた1日をレポートする。
ファジーデイズ

ファジー流のギターポップで汚名返上!
終日雨だったこの日。SEがくるり『ばらの花』で、<雨降りの朝で〜>という歌詞が染みるなぁなんて思う中、『寝言』からスタート。優斗(Gt.Vo)の情感たっぷりの歌声と時に静かに、時にスケール大きく鳴らすサウンドが、孤独な夜のどうしようもない感情をしっかり伝えてきた。
続く『この恋の名前は知らない』に入ると、ひまり(Gt.Cho)のギターが温かく響き、爽やかに朝を迎えたかのように優しく明るくキャッチーなサウンドへ。優斗も「さぁここから飛ばしていこうぜ!」と伝え、会場を揺らしてテンションを上げた。心地よく心拍数が上がったタイミングで、この日リリースされた新曲『たらればの話』を投下。サウンドは軽快でむしろピースフルだが、歌詞にはとてもリアリティのある愛のすれ違いがある。しかしこのバランスをモノにしているのが、ファジー流とも思ったし、今年スクスクと育ちそうな曲だと感じた。
MCに入り、ブルパラとの出会いはフットサルだったと話す優斗。「そこで即両足を攣って退場した変な奴だと思われていると思うので、今日はカッコいいところ見せて汚名返上します!」と後半戦をスタート。ボブ(Dr)の柔軟で力強いドラムと職人気質も感じるコンドウカズヤ(Ba)のプレイは終始安定したリズムを生み、ロックでもバラードでも世界観にスッと入れる要因となっている。優斗の感情を乗せて届ける歌詞は一貫したストーリー性を感じて説得力があるし、そこにひまりのギターとコーラスが彩りや儚さを加えていく。聴けば聴くほど音源でもライブでも、若者を中心に共感の輪がもっと広がる予感がした。
最後は「ブルパラに呪うくらいの愛を込めて」と『呪い愛』を届けた。ポップにもエモーショナルという、ここまで感じていた魅力を純度高く爆発させ、バトンを繋げた。
setlist
- 01.寝言
- 02.この恋の名前は知らない
- 03.たらればの話
- 04.トオリアメ
- 05.日々割れ
- 06.それでも重ねてしまうのは
- 07.呪い愛
RIP DISHONOR

春に彼らの光のロックはよく似合う
シモダトキノリ(Gt.Vo)がスッと息を吸い込み『ヒカリ』を歌い出す。その透明感のある歌声とサウンドから生まれるキラキラが徐々に充満していき、サビでスパーク。届いてくる光は血液や呼吸器官にまで染み渡ってくるものがあった。そんな輝く一面だけでなく、3曲目の『最低』はダークで危険性のあるナンバー。ふー(Ba)、にゅーとん矢野川(Dr)、イセキユウト(Gt)のソロパートも刺激的にキマった。
MCでシモダは「最高のスリーマンできてますね」とブルパラに感謝した後「今日は4月1日ですね。今日からまた新しい生活が始まると思うんですけど、楽しみなワクワクと不安なモヤモヤ、いろんな感情が混ざっていると思うんです。そんな中、ライブハウスに足を運んでくれてありがとうございます。みんなのそれぞれの幸せがちゃんと輝きますように。今にピッタリな曲をやります」と『春時雨』を演奏。同期も巧みに使ったこの曲は、希望の温かみと少し冷たい憂いの湿度の両方を秘めており、春のリアルな空気感が詰まっている。そこに続いた『来世でも見つけない』が、また春特有の別れのシーンをさらに思い起こさせる曲。ただ言葉の持つ丸みも活かしたようなシモダのボーカルとメロディが、魔法のように1人1人を優しく包んで、心にしっかり“大丈夫”を残したように思った。ちょっとこのシーズンのリプディサは強すぎるかも。
勢いを止めず「Pangeaまだまだ遊ぼう!」と『ラブイズオーバー』のカラフルで力強いナンバーで盛り上げて、最後は『アメージング・グレイス』。あなたの未来の幸せを本気で願う歌は、また新たに心に希望の光を注入する。これがリプディサの背中の押し方であり、手の取り方というのを示すには十分な35分だった。
setlist
- 01.ヒカリ
- 02.私じゃない夜に。
- 03.最低
- 04.春時雨
- 05.来世でも見つけない
- 06.ラブイズオーバー
- 07.アメージング・グレイス
Blue rose paradigm

この泥臭い衝動を体感せよ
ステージの幕が上がると板付のつる(Gt)、りつき(Ba)、ゆきひろ(Dr)が演奏を始め、少し遅れて祐(Vo)が登場。そのまま4人でインストを鳴らし「千葉県市川市、Blue rose paradigm始めます」と伝えて『なき声は遠く』から開始。空虚さのあるベースの音と澄んだギターの音と優しいドラムの音が夜を作り、そこに祐の歌声が響き渡る。曲が進むにつれ、演奏と歌声の力強さが増すが、孤独の闇も深まってくる曲。ただ<それでも、僕は此処にいるんだよ>という歌詞の通り、この闇の圧力に負けず何かを刻むように鳴らす4人。早速ロックの本質である“反骨心”を感じさせると「俺たち、Blue rose paradigm。あんたの心をブチ抜きにきた!」と宣言し『走馬灯』へ。「ただじゃ帰れないんだ!」と覚悟を決めてヒートアップしていく痛快なサウンドにフロアの熱狂度も上がり、ハンズアップで応えた。
ここでMCに入り「初の大阪企画、来てくれてありがとうございます!」とフロアに感謝する。対バンの2組にも感謝を伝えた後、現在連続リリース中で今月も楽曲をリリースすることを告知。そして「僕たちはるばる関東からやって来て、何もせず帰るわけにはいかないので、最後まであなたの心を射止めるようなライブをして帰ります」と伝え、今月リリース予定の楽曲『街路にて』を披露。果てない世界に、ただ1つでも自分の軸を持って喰らい付いていこうという気持ちにさせる曲だった。そこからゆきひろのドラムで繋いで「大切な曲(祐)」である『崩壊前夜』を放つ。祐は歌声だけでなく、マイムでもまさに崩壊寸前のギリギリの感情を伝え、曲のヒリついたパワーを増幅させる。フロアも拳だけでなく一緒に歌って、共に戦っていた。会場全体で強いエネルギーを見せると、その余韻を静かに引き継ぎながら『誓いの歌』が始まる。リバーブのかかった祐の歌い出しは神秘性もあったが、途中で泥臭いロックサウンドに変わり、サビ前は「届いたなら!形で示してくれ!拳!」と叫んで、またライブハウスの力強い風景を生んだ。曲の終盤になると祐は「衝動と焦燥。東京の先輩たちからごまんと学んだ焦り、その全部、お前にぶつける」「俺たちは衝動に生かされている!」と伝え、さらに4人は前がかりになって誓いを届けていった。ここから止まることなく『遠吠え』へ。軽快なリズムだが野生味もあって、本能的に踊り出すナンバー。今後もフロアの理性を吹っ飛ばし続ける曲になるだろう。
「どうですか?心斎橋Pangea」と祐が尋ねると拍手を返すフロア。そして7月1日にSpotify O-Crestで2周年記念ワンマンをすることを伝えた後、祐は「今までの『衝動と焦燥』は先輩をメインで呼ばせていただいているイベントでした。でも今回は関西という新天地。新しい時代を作っていく同世代のファジーデイズとRIP DISHONORを呼ばせてもらいました。ライブもめっちゃカッコよかったな。2バンドのライブを見て思うところもあるし、嬉しそうに告知をしていたあのサーキットフェスにまだ出れてないし、きっと俺たちはまだ…。でもあなたがいて、僕たちの音楽を聴いてくれる人がいて、一緒に夢を追ってくれる仲間がいて、切磋琢磨できる戦友がいて、本当にバンドをやってて良かったなって心から思います。去年この企画名を決める時の俺もこういう日を考えながら『衝動と焦燥』という名前を付けたんだと思います。突きつけられる現実と叶うはずのない夢を追いかけて、それでもあなたと一緒に前を向いていく。それがロックバンドだと思ってます。その中で感じる焦燥、俺たちはこの大阪で何を残すべきか……ありったけの衝動を置いて帰ります」と伝え、『静寂を抜けて』を始める。より魂のこもったイントロの中「泥臭くて!喉を枯らして!眠れない夜に曲を書いて!それが俺たちロックバンド!」と祐が叫ぶ。そこから繰り出される等身大のバンドマンの姿を曝け出した歌に偽りなどあるわけなく、ただ真っ直ぐに心を貫いていった。「俺たちがライブハウス叩き上げ、Blue rose paradigmでした!ありがとう!」という言葉はその空いた心に内側に強く刻まれた。そして「今日はアンコールなし!これで終わろう!」と疾走感溢れる『終焉讃歌』でフィニッシュ。潔く、力強くサヨナラができるのは、絶対また会えるから。このライブハウスでBlue rose paradigmは歌い続けてくれるから。「新しい時代の目撃者になってくれて、ありがとう。俺たちがBlue rose paradigmでした!」と最後に言い残して、初大阪企画は終了した。こちらこそだよ。
バンドを取り巻く環境は日々混沌としている。だから忘れる時もあるが、この日確信した。雑草魂がカンストしているバンドを信じるべきだ。
setlist
- 01.なき声は遠く
- 02.走馬灯
- 03.街路にて
- 04.崩壊前夜
- 05.誓いの歌
- 06.遠吠え
- 07.静寂を抜けて
- 08.終焉讃歌

写真:MEI









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