「ライブハウスに行っても、いつも同じようなメンツばかり」こういう経験をした人は、少なくないのではないだろうか。やむを得ないことではあるのだが、ブッキングライブというものは同じようなジャンルや年代で固まりがちだ。それゆえに“界隈”なんて呼ばれ方をされたりもする。そういうライブイベントが悪いわけではない。しかし、得られにくいものもある。それは、“新しい出会い”だ。
来たる10月、ジョゼが面白い企画をする。その名も7th Gradation tour東名阪企画『to Fantastic city』。イベント名を見ただけだと、一般的な企画となんら変わらない印象を受けるかもしれない。しかし、この企画はいつもの彼らと一味違う。なんとライブに“ゆくえしれずつれづれ”といったアイドルや、“大地(ダイノジ)”といった芸人が出演したりするのだ。今回は、この企画を記念して行ったジョゼと大谷(ダイノジ)との対談の様子をお届けする。
Text:坂井彩花
Photo:塚本弦太
羽深:お会いできて嬉しいです。「爆笑オンエアバトル」とか、めっちゃ見てました!
大谷:嬉しいなぁ…。20代後半の人には「学校で見てた」って、よく言っていただくんですよ。俺らとしては全然、実感がないんですけど(笑)。
羽深:オンバト(=爆笑オンエアバトル)で、ダイノジさんが出る回はアタリだと思ってましたもん!だいたい録画してましたよ。
大谷:やった!!それで、今回オファーをくれたんだ?
羽深:どうしても盛り上げたかったんですよ『to Fantastic city』。奇跡的にダイノジさんと繋がることができたので、お誘いさせていただきました。
大谷:DJをやってる1番の目的は、お客さんと一体になることなので任せてください(笑)。
羽深:お願いします(笑)。実はこの企画「新しい世界を広げたい」という思いもあって。僕らって自分たちの立ち位置を考えた時、どうしてもギターロックに括られちゃうんですよね。でも、そういうバンドって正直なところ飽和状態にあると思うんです。その飽和空間の中で、同じようなことをしていても埋もれてしまう。それなので、今回はEggsさんにも協力していただき新しいことをしようって。ジョゼでしか呼べない人達を呼んで、ジョゼでしか作れない空間を創りたいんです。この『to Fantastic city』が、新しい世界へ繋がる足掛かりの一つになればいいなって。
大谷:新しいチャレンジなんですね。
羽深:そうなんです。だから今回の東名阪ツアーは、バンドだけじゃなくて、アイドルさんや芸人さんもお誘いして。ダイノジさんには、ネタをやってもらえたら嬉しいなぁ…。
大谷:俺は出れないけど、大地さん一人でもコントとかできると思いますよ!
羽深:まじですか!
大谷:ネタを振ってくれれば(笑)。羽深くんが僕の代わりに、大地さんと組んでくれてもいいし!盛り上がるんだったら喜んでやります。
大谷:そもそもみなさんの音楽のルーツは、なんなんですか?
羽深:きっかけは世代的にもBUMP OF CHICKENでした。初期からずっと聴いてたんですが『天体観測』辺りでみんなが盛り上がり始めた頃は、僕の中ですでにGRAPEVINEとか友達があんまり知らないバンドを聴くようになってました(笑)。
大谷:「俺はそっち!」って?超リアルにわかるなぁ…。お二人も一緒ですか?
吉田:僕はBUMP OF CHICKENがきっかけですね。同級生と比べると音楽は聴いていたと思いますけど、中学生の当時はまだサッカー部でしたし楽器はやってませんでした。いつかそういうのやりたいなってくらい。バンドを始めたのは、大学に入って「女の子にモテたいな」って思ったからです(笑)。
大谷:そこから、どのタイミングで「バンドで飯を食っていく」って決めたんですか。俺ら(芸人)だったら、事務所に入るとかオーディション受かるとかになるんですけど。
羽深:僕は大学ですね。大学でじんじんと出会ってオリジナルを始めました。就活も一応はしたんですけど、途中で「もうやりたくない!」ってなって(笑)。プロになるかは考えず、音楽はやりたかったから続けてきたって感じです。
大谷:じゃぁ、じんじんもそんな気持ちだったんだ。
じん:うーん…。正直なところ、僕は「バンドで飯を食っていこう!」みたいな思いはなかったです。期限を決めてて「そこまでに上手くいかなかったらやめよう」って思ってました(笑)。
大谷:自分の中で決めてたんだ!言わなかったけど、みたいな(笑)。
じん:そうですね。
羽深:大谷さんにとって、僕らってどんなイメージのバンドですか?
大谷:アーティスティックで一切MCをしない、お客さんとも絡まないようなバンドかな。話してみて違うなって思ったけど(笑)。
羽深:一時期、そんなバンドでした(笑)。クールに徹しようとして鬱っぽい感じになってましたね。それがかっこいいと思ってたし。
大谷:そんな時期もあったんだ!でも、今はそんな雰囲気ないよね。
羽深:僕たち、ここ5、6年でいろいろ変わってきたんですよ。音楽の流行も移り変わっていくじゃないですか。最近はノイズやディレイで聴かせる音楽よりも、ライブを前提としたみんなで盛り上がって乗れる音楽がフィーチャーされるようになりましたし。
大谷:確かに。フェスの影響はあるよね。ライブ映えする音楽が主戦場になったというか…。
羽深:だから僕たちも根本にあるものは変えず、次々に更新していかないとと思ってて。今のスタンスをどんどん見つけていかないと時代に取り残されちゃうので、あんまり過去に執着しすぎるのはよくないなと。クールぶってた頃は「お笑い好き!」とか言えなかったですもん(笑)。今ならライブのMCで、ダイノジが好きなことも彼女に振られたことも言えちゃう。そういう人間味をみるのがライブじゃないですか。
大谷:欠点に人間味は出るからね…。お二人も同じような感じですか。
吉田:そうですね。この『to Fantastic city』を開催することで、より変わっていきたいという思いはあります。だからこそアイドルさんや芸人さんをお誘いしましたし。一つのことに捕らわれずに変わり続ける、新しいジョゼを見せたいですね。
じん:僕は人間味をドンドン出して行きたいです!実は、曲の中にあえてドラムフレーズを決めないゾーンを作ってて。もちろん音源通りのちゃんとしたフレーズもあるんですけど、その時々で違うフレーズを使うことがライブの楽しみの一つになってます。
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