~ジョゼ×大谷(ダイノジ)対談~ 欠点を愛する世界。ポップスターを目指す両者の思い【前編】

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「ライブハウスに行っても、いつも同じようなメンツばかり」こういう経験をした人は、少なくないのではないだろうか。やむを得ないことではあるのだが、ブッキングライブというものは同じようなジャンルや年代で固まりがちだ。それゆえに“界隈”なんて呼ばれ方をされたりもする。そういうライブイベントが悪いわけではない。しかし、得られにくいものもある。それは、“新しい出会い”だ。


来たる10月、ジョゼが面白い企画をする。その名も7th Gradation tour東名阪企画『to Fantastic city』。イベント名を見ただけだと、一般的な企画となんら変わらない印象を受けるかもしれない。しかし、この企画はいつもの彼らと一味違う。なんとライブに“ゆくえしれずつれづれ”といったアイドルや、“大地(ダイノジ)”といった芸人が出演したりするのだ。今回は、この企画を記念して行ったジョゼと大谷(ダイノジ)との対談の様子をお届けする。


Text:坂井彩花
Photo:塚本弦太

―逃げられない音楽の二分化問題―

大谷:俺は基本的に、流通に乗せてモノを売るのはスタッフの仕事だと思ってるんだけど、これからはアーティストも自覚的になって曲作りをした方がいいと思うのね。それは、最近の音楽が“作品としての音楽”と“ライブを意識した音楽”に二分化していってるように感じているからなんだけど…。
カルヴィン・ハリスが今年発表した『Funk Wav Bounces Vol.1』なんて、まさしく“作品としての音楽”だと思ってる。彼は今年のSUMMER SONICでトリだったんだけど、新しいアルバムの曲を使ったのはわずか40秒で、他はずっとバリバリのEDMを流していたんだよね。これにはいろんな理由があると思うんだけど、ダフト・パンクがソウルっぽいモードのアルバムを出した時に、ライブをやめちゃったのと同じ理由かなって俺は思ってる。カルヴィン・ハリスも、現場はEDMじゃなきゃ意味がないと悟ったんじゃないかなと。でもこれって、発表した音源とライブで表現してることがまるっきり噛み合ってないじゃないですか。世界で一番売れてるDJがフェスのトリでそれをやるって、結構な事件だと思うんだよね。日本だったらサニーデイ・サービスの『Popcorn Ballads』とかがそれ。ストリーミング限定で配信されているアルバムの曲をライブでやるかって訊かれたらやらないんですよ。
一方で“ライブを意識した音楽”は、ライブ会場で一番売れるべきだとも思ってる。昔だったらレコード店ですごい枚数のCDが売れていたけど、今はそういう時代じゃない。だからこそライブがメインのバンドは、聴かれるとこまで想定した“ライブを意識した音楽”を作っていく時代なのかなって。音楽を通したコミュニケーションの取り方もガラッと変わる気がしてる。

羽深:以前に比べて同期を使うバンドが増えたのも、それと直結してるような気がしますね。お客さんにとってライブは“その場でしか味わえない音を聴く場”ではなく、“音源を聴きに行く場所”になってきつつある。だからこそ、完璧な同期を使ったライブがCDの購買を促進しているというか。

―いま一度考える、ライブで音を鳴らす意味―

大谷:でも「音源通りの完璧な音楽が良いのかどうか」っていうのは超面白い話だよね。俺が今DJをやる中で心がけてることって、“いかに失敗するか”なんですよ。昔って曲と曲を上手く繋ぐDJが偉かったんですけど、そういうことって近い未来ロボットがやるようになるだろうと思ってて。だったら人しかできないことをやりたいじゃないですか。それってなんだろうって考えた時に、音を飛ばして謝ることだと思ったんですよね。

羽深:予定調和を崩すのが、人間にしかできないこと。

大谷:そう。前にDJした時、実際に音が飛んじゃってテンパったことがあるんだけど、お客さんが勝手に歌って繋いでくれてさ。それを見て「めっちゃいいじゃん!」って思ったし、「俺の繋ぎ上手い!」みたいな考えは古臭いなぁって。俺は音楽の中でも断トツでライブが好きなんだけど、その理由も“欠点が見えるから”なんだよね。

羽深:いい言葉!

大谷:人が音を鳴らしてる意味って、やっぱりそれしかないでしょ。でも、これって「ミスしていいから練習するな」ってことじゃないんですよ。矛盾するようですけど。

羽深:かまけちゃいけないんですよね。

大谷:そう!準備はちゃんとやらないとね。俺、フラワーカンパニーズが好きなんですけど、鈴木さんってMCの言葉を一語一句書いてるらしいんですよ。でも、出る瞬間に全部忘れるんですって。最高じゃないですか?だから俺もめっちゃ準備はするんですけど、出る瞬間はどうでもいいと思ってステージに立つようにしてます。漫才も、そういうふうにするようになった今の方がウケるし。劇場に出てきてウケるのは、欠点が見える可愛い人なんだなぁと思う。

羽深:ライブで欠点が愛されるのは、バンドも芸人さんも一緒ですよね。

大谷:そうだね。僕も同じだと思ってる。でも、一概に“芸人さん”って括るのは難しいかもしれないね。毎日のように劇場に立つことで飯を食っていくやつもいれば、単独ライブと全国ツアーを年に一回やれば飯が食えるやつもいるから。ミュージシャンもそうだと思うんだけど、やり方って千差万別じゃないですか。その中での“自分の生き方”なので。

羽深:本当にそうですね。僕、作りこんだコントもアドリブの利いた漫才も両方好きですもん。それって音楽でいうと、作りこんだ同期を使ったバンドとライブ感を重視したバンドの違いみたいな感じですよね。

大谷:そうそう。それぞれの戦い方があっていいと思ってる。どんな戦い方でも、自分たちにとって最短距離なことをやればいいんじゃないかな。

【後編】へ続く

★『to Fantastic city』ツアー詳細ページはコチラ

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profile

ジョゼ
明治学院大学内軽音サークルにて結成。昨年2016年には、プロデューサーに根岸孝旨氏を迎えて、3rd Mini Album「YOUNGSER」、4th Mini Album「honeymoon」の2枚を立て続けにリリース。結成7周年を迎えた今年5月、自分達の足跡を辿る旅、東名阪ワンマンツアー「7th Gradation」開催。

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