リフの惑星、再始動インタビュー。ひとり残された孤高のロックシンガーはどこへ向かっていくのか。

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4月24日に開催されたワンマンライブをもって3人のメンバーが脱退し、今後の動向が注目されていたロックバンド・リフの惑星が、7月19日のライブで新たな船出を迎える。
大きな転換期を迎える今、複雑な心境の中で「リフの惑星」の名前を残し、ブレずに活動継続を選んだ真意とは。

ひとり残されたメンバー、オガタリョウ(Vo/Gt)へのロングインタビューで、彼自身が救われたという新曲と、なぜロックバンドを続けるのか、赤裸々に語ってくれた。



文:栄谷悠紀
写真:ゆうばひかり



――オガタさんはサッカー好きということで、ぼくも好きなのでお話できるのを楽しみにしていました。「UEFA EURO 2024」真っ最中ですが、リアルタイムで観られてますか?

(オガタ):観てます観てます!まじで寝不足ですね(笑)。

――同じくです(笑)。今日は真っ赤なTシャツを着られてますけど、やっぱり本命はイングランド?

(オガタ):イングランドと、あとドイツですね。ワールドカップで日本にボコボコにされてるの観てたんで全然期待してなかったんですけど、開幕戦がヤバすぎて。これは今回ドイツかもしれないなと。

――今後の展開が楽しみですよね。早速ですが、まずは4月24日の渋谷La.mama公演について振り返らせてください。
 あの日のワンマンライブをもって3名のメンバーが脱退されたわけですが、もうすぐ2か月が経とうとする今改めて振り返ってみて、オガタさんにとってどんなライブでしたか?

(オガタ):1月終わり頃にあの3人が抜けることになって、たぶん世の中のバンドの脱退に比べるとわりと友好的な終わり方で。
 もう顔も見たくねえ、話もしたくねえっていう終わり方ではなかったので、今まで観てくれてた人に対しても、この4人でやってきたことを最後に形にして残したいよねっていう思いがメンバーの総意としてありました。

 最初はどうなることやら不安もありましたけど、やってみてほんとに良かったと思います。 今でも連絡取ったりしますけど、あの日のライブがあったおかげですね。

BOY (with strings) [Official Music Video]

――ぼくも終演後のポストで「すがすがしい」って書きましたけど、しんみりするような活休ライブでもなければ、発表後にライブができないままメンバーが脱退してしまうケースもあるなかで、しっかり1つの区切りをつけられたのは良かったですよね。
セットリストとか演出で、メンバーとどんなライブにしたいと話していたのか、もう少し具体的にお願いできますか?

(オガタ):まさにおっしゃっていただいたように、卒業式みたいなしんみりした感じにはしたくなくて。これからもリフの惑星を続けていくことはメンバーにも伝えて応援してくれていたので、未来に向けた明るい何かが見えるようなライブにしたかったですね。
 ぼく個人としても、メンバーが脱退するかもって話が出始めた頃から、悲しさはありつつも曲をどんどん作ってたこともあってポジティブなマインドだったので、未来に向けた展望を自然に見せられたらいいなと。
 セットリストも、昔からの思い出を辿るようなものにはしたくなかったし、アンコールで新曲をひとりで弾き語りしたり、これからもリフの惑星は続いていくんだっていうことを見せるのがテーマのひとつでしたね。

rifu_1

――その新曲“新しい世界”にすごくくらってしまいまして。歌う前のMCで「ただひとつだけ自信持って言えるのは、曲書いてるときだけ自分で自分を肯定できる、救ってあげられる」と話していて、曲の歌詞も相まって自分の芯の部分にある感情を貫いていいんだと勇気をもらいました。
あの日初披露されたわけですが、いつ頃からあった曲なんですか?

(オガタ):もともとのネタみたいなものは去年の夏頃からあって。ちょっとだけ作って置いといたんですけど、1月にメンバーで集まって飲みに行って脱退の方向で決まった日に帰ってすぐ引っ張り出してきて、続きを作り始めました。
マネージャーに「メンバーが脱退することになりました。でも曲作りました」ってほぼ同時に報告したくらいで。こういうものにしたいって狙ったわけではないんですけど、あの曲を作ったことで自分も前向きになれたし、あの曲に救われた感じはありますね。

――ということは、脱退を受けて作ったわけではないんですね?

(オガタ):ほぼイコールですね。あの脱退の話をした帰り道にはもう「曲作らなきゃ」って、ほかにやれることが何も思いつかなかったので。

――そのやりきれない思いを「まず曲にしないと」と思うところは、バンドマンらしいというか、シンガーソングライター然としていていいですね。《泣かないで 泣かないで いつだって あなたはひとりではないから そう迷わず その手を伸ばしてよ》という歌詞も含めて、あの日のアンコールのシチュエーションにマッチしすぎていて。

(オガタ):あの曲は「あなたはひとりじゃない」というのが確固たるテーマとしてあって、歌詞は脱退が決まってからなので、当時の心境が出てると思いますね。

――やはりそうだったんですね。作っていく上で、バンドで鳴ってるイメージってありました?

(オガタ):現状デモの段階なんですけど、ピアノのリフレインから始まるんですね。それを思いついたときに、このピアノは絶対に鳴ってなきゃいけないので、どうしようと思って。
 あの4人でやってた頃って、ミッシェル(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)とかレッチリ(Red Hot Chili Peppers)みたいに、あの4人の音だけでしかやらないことを美学だと思ってて、このタイミングでできた曲がピアノのリフから始まるのは、運命的と言ったら大げさですけど、この先どんな形態でライブをやっていくのか考えないまま曲が先にできちゃった感じですね。

――あの日は弾き語りでしたけど、いわゆるバラード曲?

(オガタ):バラード曲でもないですね。イメージで言うとU2みたいな。

――となると、もうちょっとスタジアムロックのような。

(オガタ):そう。スタジアムロックで切実な感じの、オルタナな空気も含んだものですね。アコギ1本持って作り始めたわけじゃなくて、最初にピアノのリフが思いついたところがスタートで、そこにギターとか乗っけていったっていう。

――あと偶然かもしれないですけど、UKに振り切ったEP『EUREKA』を昨年リリースして、続く新曲として聴いた“新しい世界”が、どこか日本的なメロディーというか、聴きなじみのある切なさを覚えて。
何か意図したことってありますか?

RUMBLE [Official Music Video]

(オガタ):言われてみれば、そうかもしれないですね。これまでは4人のサウンドありきで作ってて、弾き語りで作り始めてもゴールは4人のサウンドでどう聞こえるかを考えながらメロディーを乗せていたんですけど。バンド続けるって言ったものの、どういう形態で続けていくのかもわからないなかで、言いたいことがど真ん中に来る形で曲ができていったんで。そういうところが日本的というか、自分が日本語で伝えたいことを伝えるっていうのがもろに出ていますね。
 今までは良くも悪くもガワというか、イギリスっぽい服を着てかっこよくバンドやってたのが裸にされた感じ。意図があったわけじゃないんですけど、今このタイミングで自分が思ってることを歌詞にしなきゃいけない、という使命みたいなものに引っ張られた結果ですね。

――少なくとも、これまでのリフの惑星を知ってる人からすると、いつものイメージとはちょっと違うみたいな。あくまでもあの日の弾き語りの印象ですけど。

(オガタ):うん。そこは違うと思いますね。

――でもリフの惑星の、「報われない夢追い人」みたいなイメージが“新しい世界”にも色濃く出ているという意味では、いつものリフの惑星であり、やはりオガタさんの曲なんだなと思いました。

(オガタ):そう伝わって良かったです。

――音源化を楽しみにしていますが、アコギ1本持ってひとりぽつんと佇んで弾き語る姿がとても美しかったので、またどこかで聴けるとうれしいです。新譜のボーナストラックとかで。

(オガタ):CDを最後まで流してないと聴けないやつですね(笑)。


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