福岡大名LIVE HOUSE Queblick(キューブリック)
- 住所
- 福岡県福岡市中央区大名2-6-39 ランディックビルB1F
- アクセス
- 地下鉄赤坂駅5番出口から徒歩1分・天神バスセンターから徒歩10分
- キャパシティ
- スタンディング 約200 名
- TEL
- 092-725-8785
- 問い合わせ
- https://queblick.com/contact/
- 公式HP
- https://queblick.com/
時代やジャンルを問わず、数々の有名なアーティストを世に送り出してきた福岡の音楽シーン。設立11年目となる福岡大名LIVE HOUSE Queblick(以下、キューブリック)のブッキングマネージャー・江川伸之氏に、進化し続ける“キューブリック”というシーンついて語ってもらった。
――まずはキューブリックの歴史を教えてください。
江川:11年前に福岡大名にオープンして、今年で11年目になります。僕はその立ち上げから関わってます。コロナ禍の2021年7月に姉妹店であるOP's (以下、オーピーズ)という新しいライブハウスがオープンしまして。そのタイミングでキューブリックからオーピーズの店長になりました。今はオーピーズの店長をしながら、キューブリックとオーピーズのブッキングをしてますね。
――“キューブリック”という店名の由来は?
江川:完全に響きで決めましたね。オーナーがつけたんですけど、スタンリー・キューブリック(註:米国出身の脚本家・映画監督。『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』『シャイニング』などを手掛けた)から、とっているんじゃないかという噂です。オーナーから“キューブリック”ってでてきた時は“いいじゃん!”って思いました。しっくりきましたね。スタッフ全員で、あれでもないこれでもないって言いながら考えてたんですけど、全員で“いいっすね!”みたいな感じでした。悩んでた時間は何だったんだっていうくらい(笑)パッと決まりましたね。
――オープン当初、キューブリックをどのようなライブハウスにしたいと思いました?
江川:当時、福岡のライブハウスって、ただ小屋を貸すだけみたいな状態で。ライブハウスのスタッフと、そこに出演しているバンドマンの関係値が深いとあまり思えなかったので、だから、キューブリックで育ちました!みたいな地元バンドが出てきてくれたら嬉しいな、その中で共に成長していけたらいいな、という気持ちはありましたね。まずは、バンドとの深い絆を大事にしていきたいと思ったんです。地元バンドを大切にしながら、全国で活動するバンドも出演する……そういうライブハウスにしよう、と。これはオーナーのマインドに通ずることでもあるんですが、常に動く、進化する、じっとしてない。待つのではなくて、いろいろなことをしかけていくというのを意識しながら毎日を過ごしていますね。
――地元のバンドのために、キューブリックが考えたことは?
江川:地元で活動しているバンドをどういう風に世の中の皆さんに認知してもらうかということですね。今、SNSなどでも発信できる時代ですし、サブスクも当たり前のように使われるようになったけど、そこに介入するよりは、CDの盤を出そうと考えたんです。バンドマンの盤に対する憧れだったりとか、そういう部分を叶えよう、と。で、オープンした次の年に九州のバンドを13~14バンド集めて、オムニバスCDを作成して全国のライブハウスやタワーレコードさん、その他のCD屋さんなど、いろいろなところに郵送したんです。そうやって、地元のバンドを知っていただくきっかけを作った。このオムニバス盤は、今も続けてずっと作ってます。それから、一昨年(2021年)開店から9周年を迎えて。キューブリックだけに“キュウ”で9周年、そこにかけて9バンドをこちらで推薦して、初めて有料で9曲入りのオムニバスCDをリリースしたんです。さらに一昨年の12月にZepp Fukuokaでイベントをして。そこをスタートに、去年、今年もZepp Fukuokaでイベントをやって、頑張っているバンドの目指すような場所を作るというか、そういう動きは、絶えず意識していますね。
――Zepp Fukuokaって、福岡・九州でバンド活動をしている人たちのひとつの憧れでもあると思うんですよ。上京して活動することとはまた違った、すごく具体的な目標にもなる。オムニバスCDもそうですけど、キューブリックさんが率先して成功体験をさせているんだなと、今、お話を伺っていて思いました。
江川:それはあるかもしれないですね。僕もバンドやってるんですけど、僕が20代前半の頃に、こういうことをやってるライブハウスってなかったので。ちょっとやり過ぎなんじゃないかな(笑)って思う時もあるんですけど、でも悪いことじゃない。例えばオムニバスに収録でもZepp Fukuokaのイベントでも、そこに参加、出演することでバンドのモチベーションがさらに上がったりしたらいい。そういう場所がないなら、俺たちが作ればいいんじゃない?って気持ちでやってますね。だから、そこに立つ意味をちゃんと感じられるバンド、しっかり次につなげてくれるバンド、ちゃんとそこに出る意味を感じ取ってくれるバンドを推薦してるし、これからもそうしていきたいって思ってますね。
――ブッキングをする際にこだわっていることは?
江川:福岡って九州では大きな都市ですけども、全国的に見ると、言うても地方というか(笑)。だから、ジャンルは一旦、置いておいて。そもそも、いいものはいいってところにフォーカスしてブッキングしますね。ただ、そんな中でも、共通点があるバンドを組み合わせるようにしてます。例えば、僕とあるバンドが話している中で“あのアーティストが好き”って会話が出てくる。で、やっているジャンルは全然違うけど、こっちのバンドと話をしてたら、同じアーティストを好きって言う。そうすると、ルーツ的には一緒の部分があるのかなと思うわけです。そういう、なにかしら共通点をもったバンド同士を組み合わせる。テーマは毎回違うんですけど、なにかしら自分の中にちゃんとコンセプトを設けて、ブッキングするようにはしてますね。ブッキングの時は、本当にいろいろ、ずっと考えているので。この子とこの子、いいんじゃないかって、なんか一生カップリングを考え続ける感覚(一同笑)。あとは、バンドとバンドを繋ぐようなアクションは、こまめにするようにしてます。初めてキューブリックに出演するバンドがいたら、他のバンドに「今日は初めてのバンドがいるからよろしくね」って声をかけて、その日1日、気持ち良くライブができるようにしたり。そこでまたなにかしらグルーヴが出たりしてたら、すごく嬉しいですね。
――今のお仕事をしている中で1番嬉しさを感じる瞬間は?
江川:バンド同士でめっちゃ繋がっているのを見る時。あとは、ずっと苦労していたバンドがワンマンライブをやってソールドアウトした時。ずっとキューブリックでやってたバンドが、売れていって活躍しているところを見る時とか。あとは、遠方で活動しているバンドが「えがっちょがやるイベントなら出るよ」って言って、出てくれているバンドのステージを観ている時。結構、ありますね。
――最近、キューブリックから旅立ち、活躍を観ていて嬉しいと思うバンドは?
江川:神はサイコロを振らないですね。すごいなぁって。本当に観ていて嬉しいですね。
――福岡の音楽シーンの面白さとは?
江川:同じ福岡の中でもシーンが何個かあるっていうところですかね。音楽ジャンルで、ハードコア、シティポップとかR&Bとか、他にも何個かあって。うまいことすみ分けができていて、うまいバランスでいろんなシーンが在り続けてるのが面白いなと思います。福岡の音楽シーンのいいところだと思いますね。
――そんな中で、キューブリックの個性をあげるとしたら?
江川:ロックと……あとはわりとパンク系のバンドが多いかもしれないですね。他のライブハウスよりもね、うちは体育会系だと思うので(笑)。
――(笑)体育会系とは?
江川:普通に「ありがとうございました」って、ちゃんと挨拶に来るとか(一同笑)。
――(笑)。挨拶は本当に大事だと思います。
江川:出演者がうちの店の机の上に座ってると「お前、なめてんの(笑)」とか言っちゃいますもん(笑)。
――字面にすると怖そうですけど、今の言い方のニュアンスは、めっちゃ優しい感じ。
江川:普通に生活の中で大切なこと、気が付いたところを指摘したりしていますね。もしかしたら余計なお世話なのかもしれないけど(笑)ずっとそうやってきたので。
――今、注目しているバンドは?
江川:めっちゃいますねぇ。全部言っていいですか?
――はい、是非に!
江川:LOT SPiRiTS、ジ・エンプティ、ünreffort(アンリフォート)、リリーフィッシュ、Neon Trip、ニイナ、Mercy Woodpecker、未来渡る。とかですかね。
――最後に、インディーズシーンの“Eggs(卵)”たちにメッセージをお願いします。
江川:とにかく楽しもう!ってことですね。何10年やってきても思うことは一緒。初めの頃って、いろいろ考えても、実際経験してないし想像の話にしかならないと思うんですよね。考えるのはすごくいいことだと思うんですけど、考え過ぎちゃうとよくない。だとしたら、楽しむってことに振り切ってやる。さっきの僕の「なめとんのか(笑)」って話じゃないけど、最初は怒られてもいいので、思いっ切り振り切って、今しかできないことを全力でやって欲しいなと思います。
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