ライブハウス 新宿ナインスパイス
- 東京都新宿区歌舞伎町2-1-2 HANROKUビルB1
- アクセス
- JR線/新宿駅・東口・徒歩10分、都営大江戸線/東新宿駅・徒歩5分
- キャパシティ
- スタンディング200名
- TEL
- 03-3205-1439
- 問い合わせ
- https://9spices.rinky.info/contact/
- 公式HP
- https://9spices.rinky.info/
1990年代から2000年代初頭のオルタナティブロックを中心に、オリジナリティ溢れるブッキングで支持されているライブハウス・新宿ナインスパイス(以下、ナインスパイス)。前述したライブハウスのカラーには、店長を務める藤村洋平氏の音楽愛も色濃く反映されているのだろう。自らもバンドのボーカル&ギターである藤村氏にナインスパイスへの想いを語ってもらった。
ーーまずはナインスパイスというライブハウスの紹介をお願いします。
藤村:Rinky Dink Studioという会社が経営しているライブハウスの一つです。下北沢ERAや吉祥寺WARPなども同じ系列ですね。なかでもナインスパイスは、僕の趣味も大きいですが、1990年代から2000年代初頭のオルタナティブロックなどをやっているバンドが多く出演する箱になっていると思います。店内にはうちに出演してくれているバンドの音源や、海外のオルタナティブロックなどを取り扱ったディストロコーナー(註:インディーズ音楽やDIYシーンにおいて、自主制作の音源やZINE、グッズなどを販売・交換するスペースのこと。ZINEとは自主制作の冊子のこと)兼バーカウンターも併設していて、ライブフロアに入場しなくてもフラッと立ち寄ってお酒と音楽を楽しんでいただけるようになっているんです。その日のライブ映像をモニターで流しているので、興味が湧いたらチケットを買って入っていただいてもいいですし。この辺は海外のライブハウスを意識してますね。
ーー藤村さんはいつ頃からナインスパイスの店長をなさっているのですか。
藤村:ちょうど10年前ですね。今年でナインスパイスは18周年になるんですけど、8周年の時に店長として配属されたんです。元々は下北沢ERAで3年ほど働いていて、最初はホールスタッフ、その後ブッキングマネージャーに。そこから、当時ナインスパイスの前店長だった方が退職されることになり、会社から打診されて、ここに移ってきたという流れですね。もちろん僕自身、やってみたいという気持ちはありました。ライブハウスのカラーだったりイベントの企画を自分主導で作っていける環境が魅力的だなと思ったので決めたんです。元々、ナインスパイスで行われていたイベントが好きだったというのもありますね。
ーー藤村さんが店長になられる前からオルタナ色の強いライブハウスだったんですね。
藤村:はい。もっとアンダーグランドなバンドが今よりも多かったのですが、その辺りは今も多少継承していますね。以前、ナインスパイスでブッキングされていた方が、よく一緒に遊びに行ったり、音楽のこともいろいろ教えてくれた先輩だったりもするので、その影響も大きいと思います。
ーーそもそも藤村さんはなぜライブハウスで働こうと?
藤村:僕自身、20年ぐらい前に音楽をやりたくて東京に出てきたんです。今でもバンド活動を続けているんですけど、当時やっていた前のバンドがあまり活動できなくなって、アルバイトを転々としていまして…。当時でもう20代後半で、長く続けられる仕事をやりたいなと思っていたんです。ただ、それまで自分がやってきたことはバンドしかなかったので、音楽に携わる仕事なら続けられるかなと思った。それがライブハウスで働き始めたきっかけです。僕にとっては、ライブハウスの店長であることもバンド活動をすることも、今や同じ感覚になっていて。自分が音楽やっていると、やっぱりいいなと思えるバンドと出会う確率も高くなるんです。ツアーに出れば地方で活動しているバンドにも直接会えるし、それで(ナインスパイスに)呼びやすくもなる。両立のバランスが難しい部分もありますけど、10年ぐらいそうしてきて、今のところはすごくプラスになっている気がしますね。
ーーブッキングする際に心がけていることや、方針などはありますか。
藤村:僕だけでなく、うちのスタッフにも音楽詳しいのが本当に多いんですよ。「そのバンド、どこで探してきた?」みたいな、とにかく音楽に詳しい人間が多い。そういう中で、ジャンルに特化したブッキングが組めることはうちの強みだと思うんですよね。基本的にはブッカーの好きなようにやってもらいたいので、あまり口出しはしませんけど。バンド同士が繋がって、広がっていくようなブッキングができたら、それが1番いいなとは思っています。大きな箱ではないぶん、駆け出しのバンドとかがよく出てくれるんですけど、そういうバンド同士が出会って、そこからなにかが生まれていく様を見たい気持ちもすごくありますし。同じ音楽好きなら世代も超越できると思うので、同世代同士はもちろんのこと、年齢を飛び越えて繋がれるブッキングができたらとも思っています。実際、仲良くなったバンドが一緒に音源を出したり、一緒にツアーを回ったり、主催イベントを企画するときに対バン相手だったバンドを呼んだり、そういうこともたくさん起きていて、そのたびにやって良かったなと思いますね。でも、それが強制にならないように気をつけてもいます。あくまでも自然にそうなればという話なので。
ーーこの仕事をされていて最も嬉しかった瞬間は?
藤村:うちでブッキングしていたバンドが大きいステージに立つようになるのは、やっぱり嬉しいです。それから、レーベルだったりショップを運営されている方や、個人で海外のバンドを日本に招聘している方、いろんな方との繋がりがあるので、いろいろとナインスパイスでイベントを企画してくれて、海外のバンドが出てくれることも多いんです。僕のすごく好きな海外のバンドがライブをやってくれた時には泣いて喜びました(笑)。嬉しいことはたくさんあるんですけど、その中でも、シンプルに、いろんな人と知り合えているのがなにより嬉しいことかもしれないですね。独りで東京に出てきた身としては、そういう繋がりが生まれたことが1番嬉しい。それと、若い子たちもちゃんと出てくれているライブハウスでいられていることも嬉しいです。箱のコンセプトがちゃんと若い子たちにも伝わって足を運んでもらえるのが嬉しいですし、その子たちが聴いている音楽を教えてもらったりするのもとても刺激的で楽しいです。
ーー藤村さんが今、注目しているバンドを教えてください。
藤村:本当にたくさんいるんですけど……合気道という3ピースバンドはすごく面白いですね。音がめちゃ小さくて、暗くて、MCも全然しゃべらない。でも、音数は少ないのにグルーヴィーだし、アイデアがすごく面白い。単なるR&Bやソウルとも違って、そこにパンク精神とかハードコアのニュアンスもあったりするんですよ。本人たちはジャズとかから影響を受けているのに、アウトプットはオルタナティブロックになっているところが本当に面白い。歌詞がちょっと変なところもいい(笑)。それから、2025年の3月にレコ発でうちに出てくれる、大阪の衝動革命というバンドも注目しています。本人たちはまったく通っていないと言ってましたけど、BLANKEY JET CITYに通じるものがあって、なおかつ今の若者たちの間で流行っているようなオルタナティブロックやシューゲイザー要素も加わったバンドなんですよ。僕ら世代の青春をくすぐられる、ちょっとおじさんキラーなバンドで、すごくいいなと思ってます。
ーーナインスパイスの今後の展望を教えてください。
藤村:このまま自然にいけばいいなと思います。音楽好きが自然に集まって、うちでライブをしたりイベントをやりたいと思ってくれるような、リスナーのみなさんにとっても「ナインスパイスに行けば、こういう音楽やってるでしょ」って、気軽に遊びに来てもらえる場所であれたらな、と。あとは、誰からも理解してもらえないようなバンドのこともしっかり受け止めていきたいです。こういうジャンルが細々とでも日本にちゃんと息づいていて、ここに来れば居場所があると思ってもらえるように。実際、消えかけているジャンルもあるので、そういう音楽を好きな人たちが集まって、演奏したり聴いたりできる場所でありたいんです。リスナーも含め、それによって救われる人は必ずいるはずなので。その一方で、出てくれたバンドがより大きいステージに立ってみたいとか、もっとこういうことをやってみたいと思っているなら、諦めずに実現できるような後押しができたらとも思いますね。
ーーでは最後にインディーズシーンで頑張っている““Eggs(卵)”たちにアドバイスをいただけますか。
藤村:とにかく好きなことを曲げずにやって欲しいです。自分の話になってしまいますが、僕が今やっているバンドは本当に自分の好きな音楽しかやってきてないんですよ。そのバンドが今度、ツアーファイナルを渋谷クラブクアトロでやるんです。しかもZAZEN BOYSとのツーマンで。僕は今年40歳になるんですが、時間はかかっても自分に嘘をつかないで一生懸命、好きなことを突き詰めて貫き通したら、夢のようなステージにも立てるっていう。だから自分の好きな音楽を曲げずに頑張って欲しい……僕がバンドに言えることは、これですね。
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