アーティストを発掘し、早耳音楽リスナーにレコメンドするEggs主催のライブイベント『EggsレコメンライブVol.25』が、8月19日に下北沢近松で開催された。出演は、未完成のプライリスト、Shaftray、ミナトロジカ、Jankie Machine(出演順)。YouTubeのEggsチャンネルで無料生配信も行われた、今、Eggsが注目する4組のステージの模様をレポートする。
迷いのない信念を貫き、全力で駆け抜けた未完成のプライリスト

トッパーは2024年2月に結成された東京発の4ピースバンド、未完成のプライリストだ。「お金がない…」「君泥棒」と立て続けにアクセル全開でBPMを加速させていく。さらにドライブ感を増した「ピーターパン」では、フロアからハンズアップが。シャウト混じりのボーカル、スピーディーにうねるギター、しなやかに駆け抜けるベース、ダイナミックに高速ビートを刻むドラミング。それぞれの勢いが一体となり、オーディエンスの熱気を高めていく。「トッパーのいろんなバンドさんが“次のバンドに繋げるように盛り上げます”と言っているんですけど、俺達は俺達だけで完結できるような熱いライブをやっているんで、続くバンドさん、俺達を超えてみてください!」とエッジの効いたメッセージを共演者に送るりょうへい(Vo./Gt.)。尖りつつも丁寧な口調から共演者へのリスペクトを感じられるMCだ。そしてミディアムチューン「恋音」では、もの悲しいメロディーとクリアなファルセットを聴かせ、既出の曲とは異なるサウンドをフロアに届けた。「ライブを作るのはバンドだけじゃなくて、あなたが主役です。あなたがいないと最高のライブは作れません。最後はあなたに全力をぶつけます!」とりょうへいがオーディエンスに想いを伝え、ラストの「かかげて。」を全身全霊で走り抜けた。
setlist
- 01.お金がない…
- 02.君泥棒
- 03.ピーターパン
- 04.本当は本当に好きだから
- 05.恋音
- 06.かかげて。
熱狂の渦に惹き込む圧巻のパフォーマンスを魅せたShaftray(シャフトレイ)

2024年8月に始動した大阪発の3人組ミクスチャーバンド、Shaftray。サポートドラマーが待ち構えるステージにメンバーが登場。「Monster Dance Hall」のダークで重厚なイントロが響く中、「踊ろうぜ!エブリバディ!」と嶋大翔(Vo./Gt.)が叫ぶ。ハンズクラップをするオーディエンスは、のっけからハイテンションだ。続くジャズファンクな装いの「Inside Game」では、ハスキーなハイトーンボイス、リズミカルにカッティングするギター、ファットにうごめくベースラインとパワフルなドラミングがフロアを駆り立てる。「次の曲は楽しくクラップしていきましょう」と嶋が呼びかけ、2025年8月13日にリリースされた新曲「Lost at Sea!!」をプレイ。自然と踊りたくなるアップチューンが、フロアのボルテージを高めていく。「Eggs10周年おめでとうございます。何ごとも長く続けることは難しいと思います。始めることも難しいけれど、それ以上に続けることが難しいなと思います。いろんな理不尽を積み重ねてきた結果が今の僕達であり、あなたであり。人生ってそういうものだと思います。そういう曲を歌います」とエモーショナルなミディアムチューン「Vela」披露。クライマックスは「Antithese」「you and die…???」とパワフルな曲を連発してフィニッシュしたShaftrayは、重厚なサウンドとクリアな歌声のコントラストで、オーディエンスを魅了した。
setlist
- 01.Monster Dance Hall
- 02.Inside Game
- 03.Lost at Sea!!
- 04.Vela
- 05.Antithese
- 06.you and die…???
結成からわずか3ヶ月で堂々たるステージを届けたミナトロジカ

2025年に結成された東京発の3ピースロックバンド、ミナトロジカ。結成時はNEON SIGNのバンド名で活動していたが、2025年8月8日にミナトロジカに改名。この日はミナトロジカとして初のライブとなった。サポートのギターとベースとともに5人でステージに登場したミナトロジカ。1曲目は哀愁と力強さに満ちたボーカルで始まる「5番線」。ベースとドラムに加え、ツインギターとキーボードが重なるサウンドは壮大だ。「もともとNEON SIGNという名前で活動していて、今回ミナトロジカとして初出演。緊張していて楽屋で吐きそうだったんですけど、元気になりましたんで今日は頑張ります」と、遼(Vo./Gt.)がやや緊張した面持ちで挨拶をすると、フロアから拍手が贈られる。煌めく鍵盤の音色、タイトでキレのあるドラムが響く「またね。」の演奏を終えると、まさかのトラブルが勃発。リードギターであるサポートのギターの弦が切れてしまったのだ。共演者からギターを借りるためサポートが一旦退場すると、遼が焦りながらもMCで場をつなぐ。「『EggsレコメンライブVol.25』に呼んでくれたEggsの斉藤さん、ありがとうございます。NEON SIGNも含めて(今日が)2回目のライブ。こうやっていつも聞いてくれている人達の顔を見ながら歌えるのはいいですね」と喜びと感謝を述べた。ラストは後悔と未練を残した恋心を歌う「蒼い春」。トラブルを乗り越え、オーディエンスとともに初ライブを完走したミナトロジカの表情には、自信と達成感に満ちた笑顔がこぼれていた。
setlist
- 01.5番線
- 02.またね。
- 03.ロックスター
- 04.蒼い春
規格外の個性で圧倒的な存在感を放ったJankie Machine(ジャンキーマシーン)

トリを飾るのは2022年6月に結成された4ピースロックバンド、Jankie Machine。『Tokyo Music Rise 2023』など、若手バンドのコンテストで多々受賞歴のある実力派バンドだ。ステージに登場した4人は、グランジロック風、ゴシックパンク風、ロックプリンス風、上半身裸という奇天烈な出で立ちで、強烈な個性を放つ。1曲目は奇声混じりのファルセットで歌い出す「バラ色の人生」。滑らかに流れるギターリフが耳に残る。「おはようございますの人はおはようございます。こんにちはの人はこんにちは。おはこんばんちは。Jankie Machineです、フゥ〜」とナカムラヒカル(Vo./Gt.)がトリッキーなご挨拶を。生配信中だからと下ネタを連発するも、絶妙にユニークなトークに昇華させ、オーディエンスの笑いを誘う。「これはフィクションじゃない!」は、重厚にうねるベースラインとアグレッシブなドラミングの混ざり合い、フロアの熱気をさらに引き上げる。ラストは、ナカムラの心の叫びを歌うロックチューン「ナカムラヒカルハヒカラナイ」を披露した。メンバーが退場すると、フロアからアンコールの手拍子が。再び登場したナカムラは、予定になかったアンコールをEggsスタッフにお願いし、見事快諾。「何をやろう?」とセレクトしたのは、2023年2月にEggsでリリースした「からげんき」だ。Eggsに縁のある粋な選曲とエキセントリックなパフォーマンスでオーディエンスを熱気に包んだ。
setlist
- 01.バラ色の人生
- 02.ブッサイクメタボルフォーゼっ
- 03.これはフィクションじゃない!
- 04.君のトラウマになりたい
- 05.ナカムラヒカルハヒカラナイ
- En.からげんき
個性豊かな実力派バンドがぶつかり合った『EggsレコメンライブVol.25』。全力で真っ直ぐに音楽に体当たりする瑞々しさは、若手バンドのステージだからこそ出せる情熱だろう。フレッシュな熱気で溢れるステージを、あなたにもぜひ体感してほしい。

執筆・取材:橋本恵理子
撮影:石丸大貴













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