STAY FOR WELL(スティフォーウェル)が「Yesterday (Better Than Today)」で放つポップネス
千葉発の4ピースバンドSTAY FOR WELL(スティフォーウェル)。ロック、パンク、メロコア、ハードコアの影響を色濃く感じさせながら、滑らかでポップなメロディーをエネルギッシュに放つことができるのは、間違いなく彼らの個性だ。これまで発表されてきた楽曲のすべてが英語詞だが、シンプルな単語を多く用いていること、メロディーにしっかり歌詞をのせる歌割で、テーマをしっかり伝えている。楽曲全体は洋楽然としながらも、英語の発音を意識して“聴き取りやすい英語”にしているあたりに、英語詞でもしっかり日本の音楽シーンで勝負しようというメンバーの心意気が窺える。
彼らが2025年3月5日にEggsで発表した楽曲が「Yesterday (Better Than Today)」だ。
本作はノイジーなディストーションギターと疾走感あるドラムで幕を開ける痛快なアップチューン。イントロからバンドアンサンブルのスキルが炸裂する。特に歌い出し直前のギターのメロディアスなアプローチはお見事。イントロで既にストーリー性を見せながら、直前にコードを変えフックを作り、滑らかに歌へとつなげている。英語詞ながらトーンをはっきり出していく歌い方をしているボーカルのピッチの安定感も抜群だ。楽曲としての情報量も熱量も高い。パンクやメロコアの荒々しさとポップスの開放感を並行させてダイナミックに鳴らすサウンドプロダクションが、このバンドの最大の魅力といえる。
タイトルに通ずるフレーズ<Makes worse today than yesterday(訳:昨日より今日のほうがひどい)>というパンチラインには驚いた。人間の思考として、「明日はいいことがある」「明日の方が今日よりましなはず」と考えるのが定石だが、そこに逆説を唱えている。定石を否定しているのではなく、逆説を唱えるところに歌詞を手掛けるNaoxki(Vo./Gt.)が、日常という現実をどう捉えているか、そしてどう考えているかが分かる。自己否定ともとれるフレーズもあるが、そんな現実の中で僅かな光を見出したいという切望も見えてくる。例えば曲中に何度か出てくる<Wanna take back my shadow(訳:自分の影を取り戻したい)>というフレーズには、自分らしさを取り戻したい、忘れたくないという切実な願いが込められている。
最後に書いておきたいのが、このバンドが持つポップネスだ。メロディーセンス、バンドアレンジ、楽器陣の音色などに独特の開放感がある。ここにSTAY FOR WELLの普遍性と可能性があると思う。
文:伊藤亜希