スタジオを持ち歩け～LAレコーディング記～

今アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスに来ている。今年の3月に続いて2度目のLAでのレコーディングだ。

これまでゆでたまごがどうだ、ブリがどうした、岩盤浴はいかが？など、いったいこの人は誰なんだ感満載でお送りしてきた。しかし、今回は久々に仕事でLAに来たということで、恐縮ではあるが、こちらでの様子と僕の仕事の一部を、若干の興奮を交えながらお伝えしていきたいと思う。

連日、中々の過密スケジュールに加え、日本との時差が16時間と昼夜がほとんど逆転しているため、時差ボケによる強烈な頭痛に襲われた。しかしながら、毎日美味しいものをたらふくご馳走になり、最高のテンションを保って仕事に臨んだ。

更に、今回の宿泊先は、敏腕プロデューサーのご好意で、なんと今年オープンしたばかりの5つ星ホテル『The Jeremy』。

もう、隅から隅までセレブ。セレブが溢れ出して止まらない。

ここを拠点として早々、まずはロサンゼルスのIgloo Music Studiosにて現地アーティストのボーカルレコーディングへ。こちらでレコーディングするのも前回に続いて2度目だ。

去年公開され世界中で大ヒットとなった、映画『La La Land』（僕と同い年のDamien Chazelle監督による作品）の音楽制作にも使用されたこちらのスタジオ。優秀なレコーディングエンジニア達が集結し、日々素晴らしい音楽を生み出し続けている。

このスタジオのオーナーであり、チーフエンジニアでもあるGustavoが獲得したグラミー賞はなんと30回以上。化け物だ。しかもなぜか「モウカリマッカ」などと、ちょっとした関西弁が話せる。

Gustavoに勝るとも劣らない、こちらもグラミー賞獲得エンジニアJustin（僕と同い年）のお陰で、今回も素晴らしい音で録音することができた。Justinはとにかく仕事が早い。こちらの意図や希望を汲み取って、完成系へと導く能力がものすごく高い。指示を的確にこなすタイプのエンジニアは多い。だけど、Justinは「こうならどう？」という提案を自発的にして、次々にアイディアをくれる。そして、そのアイディアが的を射ているから効率がいい。そして彼は、“Justin”と書かれた自分の椅子にしか座らない、変なこだわりを持っている。

ホテルでは、曲作りやアレンジ作業ができるように、いつも最低限必要な機材を持ち込んで旅に出る。そこで、その旅仕様のポータブルスタジオをご紹介したいと思う。

この部屋は、このホテルの中では1番小さい部屋だそう…。なのに、この溢れるセレブ感…。ベッドなんて、無理すれば5人は寝られそう。床で雑魚寝すれば30人は寝られる。

帰省や旅で持っていく、音楽作りに最低限必要な機材はこんな感じ。

自宅でも使っている、メインPCのMacBook Pro 15インチ。
ソフトシンセの音源データ類を格納しているポータブルSSD。
使い慣れたトラックボールマウス（これがあると作業が5倍は早くなるほど、手に馴染んでいる)。
小さいコンデンサーマイク。小さいMIDIキーボード。
普段、モニターのリファレンスにしている、聴き慣れたヘッドホン。
この他、普段出かける時に聴いているイヤホンを2種類。

モニタースピーカーを持ち歩くわけにはいかないし、ホテルでは音量も出せない。なので、聴き慣れたヘッドホンやイヤホンを何種類か用意して聞き比べることで、均衡を保つことができておすすめだ。マイクは一応持っていくが、実はMacBook Pro 15インチの内臓マイクが非常に優秀なので、部屋の響きや録るものによって使い分けている。

とにかく、日常的に使っている、手に馴染んだものを持っていけば、海外でもストレスなく集中して音楽作りができる。なので、自宅スタジオの機材選びの段階で、持ち出す時のことも考えてコンパクトでフレキシブルなものを選んでいる。

残りわずかな滞在となるロサンゼルス。
この小さなスタジオで、新しい音楽を産めるだけ産んで帰りたい。

そして、帰国したらざるそばを浴びるように食べよう。

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