Text:飛内将大
<今回の使用機材>
・ピアノ音源:Wavesfactory「Mercury」
・DAW及びエフェクター:Ableton「Live 9」
【前回】は、ピアノをドラムに変化させていくというピアノに申し訳が立たないほど、跡形もなくドラム化する工程をお見せした。今回は、ピアノをアンビエント・ミュージックのような、壮大で広がりのあるサウンドスケープに変化させてみる。使用するのは前回と同じ、このピアノの音。
<音源①>まずアンビエント・ミュージックの特徴を感じるために、こちらを聴いてみて欲しい。
アンビエント・ミュージックの先駆者とも呼ばれているブライアン・イーノの作品だが、モワ〜〜っとした音の浮遊感に、まるで宇宙に漂っているかのような感覚に陥る。もしくは、岩盤浴にぴったりのリラックス・ムードである。おやすみなさい。
それはさておき、ピアノの音はハンマーが弦を叩く“アタック音”があり、時間とともに減衰していくのに対し、アンビエント・ミュージックにはアタック音があまり感じられない。ずっと伸びて広がっていくような持続音の重なり合いで作られている。要するに、ピアノの音を持続する音に変化させることでアンビエント感を作っていけばいいわけだ。音が広い空間で鳴っているような響きを加えるエフェクター、“リバーブ”を使って、今回は音に持続力を与えていく。
<音源②>段階的にリバーブをかけてみた。全く響きのない最初のものに比べ、2つ目は少し広めの部屋、3つ目は大きなホールで演奏しているような響きが加わる。リバーブはこのように、広さや深さ、何秒で残響が終わるかなどの設定をすることが出来る。もちろん、アンビエントを極めたい者は、ここで全ての数値をMAXにしよう。
<音源③>あぁ、全身の傷が癒えてゆく…ここが天国の風呂…いや、リバーブだ。
ここでは、Ableton「Live 9」付属のリバーブの限界値。残響を60秒に設定したリバーブをかけている。自然界には60秒も音が響く空間など到底あり得ないが、そんな環境をもシミュレート出来るのがエフェクターの面白いところ。
既にアンビエント・ミュージックらしい音にはなっているが、この音がずっと鳴っているだけでは変化がなく聴き苦しくなり、すぐに飽きてしまうだろう。少しずつ変化していくような動きを作っていく。
<音源④>始まりの音をゆっくりフェードインするようにして優しさを出し、オーバードライブを使って歪ませ、厳しさを演出してみた。アメとムチ。そのギャップが人々を岩盤浴へと誘うのだ。
そして、仕上げとしてローパスフィルタを使い、高音域を削るのだが、その周波数帯(フリークエンシー)の設定を動かすことで、音がこもったり明るくなったりする。それを利用して音に表情をつけたものがこちら。
<音源⑤>これぞ真の岩盤浴…。いや、宇宙空間を漂っているかのような、浮遊感のある音になったと思う。アンビエント的な音が欲しいと思ったとき、シンセサイザーのプリセット音色ばかりを探してしまいがちだ。しかし、リバーブやフィルタといったエフェクトでの処理をすることで、簡単に、そして自由にコントロール可能な、新しい音色を作り出すことが出来るのだ。
岩盤浴に合う曲にするなら、こんな感じ。
<音源⑥>今回もすべて、最初のピアノの音だけで作ってみた。岩盤浴はついつい眠くなってしまうが、のぼせてしまっては大変なので、少しだけアタック感のある音も足し、眠気を防ぎながらも、ほどよい心地良さを演出した。
涼しくなってきて岩盤浴が恋しいこの季節。忙しくてなかなか時間が取れない方は、オリジナルのアンビエント・ミュージックを作って、耳だけでも岩盤浴気分を味わってみてはいかがだろう。
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