下北沢LIVE HOUSE MOSAiC(モザイク)
- 住所
- 東京都世田谷区北沢2-2-14モアイ茶沢1F,B1
- アクセス
- 小田急線下北沢駅から徒歩5分
- キャパシティ
- スタンディング 約200 名
- TEL
- 03-5787-4559
- 問い合わせ
- mosaic_info@mu-seum.co.jp
- 公式HP
- https://mu-seum.co.jp/
2024年に開店20周年を迎えた下北沢MOSAiC(以下、モザイク)。24歳からモザイクで働き始め、2020年1月から店長となりブッキングも担当する佐々木拓也氏にインタビューを行った。長い間、下北沢ライブハウスシーンをリアルで見続けて来た彼の目に、今、下北沢ライブハウスシーンはどのように映っているのか?
――モザイクで働くことになった経緯を教えてください。
佐々木:僕、大学生3年生の頃から、いろんなライブハウスでイベントを企画してやっていたんです。モザイクでも何度かやらせていただいきました。イベントやるのが面白くて、就職活動をしてなかったんですよね。そういう中で、当時のモザイクの店長に「うちで働いたらいいじゃん」って言っていただいて。「やってみよう」と。で、モザイクで働き始めるんですが、数年後に、1度別の会社に就職したんです。でもやっぱりモザイクに戻ってきました。
――大学生の頃に企画したイベントは音楽のイベント?
佐々木:そうですね。バンドとシンガーソングライター。昔からやってることは変わってないですね(笑)。
――ライブハウス“モザイク”の個性をあえて言葉にすると?
佐々木:それこそアイドルとかのライブも多いですし、すごくジャンルは広いと思うんですけど、時代を作っていくようなアーティストが出ていくような箱でありたいと思ってますね。
――ブッキングのこだわりを教えていただけますか?
佐々木:若い世代……それこそ10代の高校生のバンドとかで、すごくいいバンドが、今たくさんいるんです。そういうバンドに出会った時に、未来の楽しみを感じる。そこが自分の中では1番グッとくるポイントで、新しいバンドがどんどん出ていくようなライブハウスにしたいと思っているので、そこはいつも意識してますね。新しい流れを作るようなバンドが、たくさん出るようになるといいなと思っているんですよね。
――モザイクが主催をしている『白フェス』のブッキングについては、ご自分の中でなにか基準がありますか?
佐々木:そうですね……言葉ではうまく言えないんですけど、新しいバンドが出てきて活動していく中で“今、ライブを見て欲しい”と思う瞬間があるんです。『白フェス』には、そういうバンドをブッキングしています。
――佐々木さん自身は、どうやって新しいバンドを探しているんですか?
佐々木:TikTokやInstagramを見たり。僕、SNSめっちゃ見るんですよ。探そうと思って見ているわけじゃないんですけどね。
――好きで見ているという感覚?
佐々木:そうですね。それで「あ、これいいな、これもいいな」(と、スマホをスクロールしてタップするように手を動かす)って。毎日、寝る前、布団に入ってからずっと見ちゃいますね。好きで見ているんで、全然苦にならないです(笑)。
――いいなと思うバンドに共通しているものは?
佐々木:いくつかあると思うんですよね。人間性が大きいかなぁ……。
――具体的に教えていただけますか?
佐々木:ペルシカリアの矢口(結生)くんとか、ヤングスキニーのかやゆー。くんとか。ライブ以外の時でも、そこにいるだけで人を引き付ける魅力があるんです。ただ者じゃない雰囲気がある。そういう空気に触れると、あぁ、すごいなと思うんですよね。
――話をしなくても“あ、この人なんか違うな”って思うってことですよね。
佐々木:そうですね。そういう人は伸びるというか。例え最初は演奏が上手じゃなくても、後にどんどん伸びていくような印象がありますね。逆に、最初はそうでもないのに、活動を続けていく中で、雰囲気が変わっていくバンドマンもいるんですよね。自分が持っていないものなので、それに出逢うとワクワクしますね。
――このお仕事を長く続けてきた中で、嬉しかった瞬間は?
佐々木:当たり前ですけど、バンドがライブを重ねて、お客さんが増えていく様子を見られるのは嬉しいです。あとは、ドラマを見られること。例えば、9月中旬にスランプガールって高校生バンドが、受験前の自主企画イベントをやったんです。高校生活でバンドやってきて、受験前のイベントだった。それぞれのバンドに、それぞれのドラマがあると思うので、そこが間近で見られるのが嬉しいですね。あとは、モザイクでやっていたバンドが、今では、夏はずっとフェスに出てて忙しいっていう、それくらいのバンドになって、その忙しい合間をぬってモザイクに遊びに来てくれたりするのも嬉しいです。例えば最近だとトンボコープ。去年モザイクで企画をやってくれてたんですけど、一気に羽ばたいていきましたね。
――今、注目しているバンドを教えていただけますか?
佐々木:東京、君がいない街。彼らは結成当初からモザイクに出てくれていたんです。彼らは人間がすごく真っ直ぐで、素敵な人柄だったんで“一緒に頑張っていこう”って感じで応援してました。でも、なかなかこう……思った通りにいかず、もがいている時期もあって。それが最近、それこそTikTokとかで回って、一気に認知度があがって、いい感じになってきている。あとは……ちょっと待ってくださいね……(と、スマホを取り出しなにかデータを見始める)……すみません、すぐ出てこなくて(笑)。
――いえ(笑)。ちなみに、今なにを見ながら思い出してもらっているんですか?
佐々木:ブッキングリストです(一同爆笑)。プライドの高い深夜のコンビニアルバイト、CozyLand、スランプガール、パキルカとかですかね。
――Eggsが関わらせていただいている『KNOCKOUT FES』(註:モザイクのブッキングイベントを拡張したサーキットフェス。Eggsサイト内で出演者のオーディションを行っている)で、Eggsのオーディションから出演したアーティストの中で、最近面白いなと思った人はいました?
佐々木:前回(『KNOCKOUT FES 2024 spring』)だと、ホシアイとか面白かったですね。それから最近だと、月刊少年アイロニーとかも面白かったなぁ。Eggsさんからエントリーしてくれるバンドは、自分の引き出しにないところが出てくるので、本当にありがたいですね。音源を聴いているだけでも、いろいろ楽しませてもらっています。
――佐々木さんの元には、モザイクのHPからも“モザイクに出たい”って音源が届きますよね?
佐々木:そうですね。ありがたいことに毎日届きます。
――それで自分でもTikTokなどのSNSでも探して聴いている。今言った『KNOCKOUT FES』でもオーディションがある。伺っていると、本当に毎日複数の新しいバンドの音源を聴いていると思うんですが、大変だと思う時はないんですか?
佐々木:まったくないですね。毎日、聴くのが楽しみです。どういうバンドがいるのかな、どういう音楽やってるのかなって、ワクワクしながら聴いてますね。
――下北沢という場所は、それこそ1980年代からライブハウスシーンがあったと思うんですけど、最近はどんなシーンになっていると思いますか?例えば「ぼっち・ざ・ろっく」の影響で変わったと感じることはありますか?
佐々木:「ぼっち・ざ・ろっく」を見てライブハウスに来てくれるお客さんは多いですね。
――他に最近の変化として感じることは?
佐々木:コロナ前と比べると、バンド自体はだいぶ減ってるって印象ですね。ただ、いいバンドも結構出てきている。みんな、センスがいいなぁと思うんですよね。
――今の高校生バンド、インディーズバンドって、曲もしっかりしてるし、演奏も上手ですよね。
佐々木:そうですね。いろんなものに触れる機会が多いから。例えば、好きな曲をサブスクでディグったりして、それでセンスが磨かれているんでしょうね。
――おっしゃる通りだと思います。サブスクで音楽をディグっていく子たちって時代とかジャンルとかまったく関係ないですし。
佐々木:そうですよね。今、20歳くらいの子たちは、自分が大学生時代の頃に聴いていた音楽を普通に聴いてるんですよ。“あ、これ聴いてるんだ”って言うと“今、流行ってるんですよ”って言われたりとか(笑)。19歳くらいのバンドが、宇宙コンビニ(2015年解散)の曲をライブ前の会場BGMに流していて、すごく不思議な感じがしましたね。あとはハヌマーン(2012年解散)とかも、数年前から出演しているバンドの子たちが普通に聴いてて面白いなぁ、と。
――そんな会話を出演バンドの皆さんとなさってるんですね。
佐々木:そうですね、しますけど……あまり自分からは話しかけたりすることはないですね。そこは自信をもって言えます(一同爆笑)。距離感って大事ですよね。でも、自分にとってはなかなか難しいな、と(笑)。他のライブハウスの方々は本当、上手だなと思いますね。僕はあまり得意じゃないんですが、ちゃんとやらなきゃいけないなとはいつも思ってますね。
――最後に、インディーズシーンの“Eggs(卵)”たちにメッセージをお願いします。
佐々木:興味があれば、モザイクに足を運んでください。それからHPのフォームから、音源を送ってください。聴くのが楽しみなので、どんどん送ってください!
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