ANORAK! みくるのアメリカツアー漫遊記 8日目

知ってる味

ぽ。 

滞在7日目。あっという間に1週間が経ったみたいだ。前回のUSツアー時もそうだったが帰りたいとかは一切思わない。そのくらいアメリカは過ごしやすい。何故なら土地が広大だからだ。家、道が広く日本と違い、混み混みしていない。ゴミ箱もそこら中にあり鼻を擤（か）んだらすぐ投げ込めば良い。アメリカの皆んなも自然体。全くストレスに感じない。そりゃあ、あんなこんな曲が生まれるよなといつも思う。生活の中でツラい事といったら飯。あとハンドソープが全く泡立たないこと。あれ絶対良い匂いになるやつ練り込んでるだけだろ。それとトイレットペーパーが死ぬ程硬い。我々日本人のケツ穴は血しぶきと共に悲鳴をあげている。 

今日はDay Offという名の大移動日。LAKEWOODから次のベニューがある街BALTIMOREに前乗りするスケジュールだ。車で約8時間。3日間滞在していたAirbnbを11:00に出発した。 

1日のほとんどを車の中で過ごすとなると正直この漫遊期に書くことがない。そんな時に思いついたのが車での過ごし方シリーズだ。運転手はJake。助手席にはツアー初日のシカゴから合流した物販担当のPeig。2列目3人掛けシートにはYawnersの3人。その後ろにはANORAK!の2人とYawnersのスタッフで来ていたJoan。最後尾はANORAK!の2人とえんたつさんが座るというのが基本ポジションになっている。車内はちょうど満席状態。おれはゆっくり暮らしていたいタイプなので真っ先に後ろの席を確保。後方からだとYawners御一行は何をして過ごしているか分からないが、基本うるさいのはドラムのConrado。早口のスペイン語でずっと喋っている。ANORAK!チームは寝たり、屁こいたり、ゲーム、『ストレンジャー・シングス』の新作（みたい）を観たりしている。至って変わった事はない。おれはこの文章を寄稿する時間に使ったり普段は追えてないXやInstagramのストーリーなどを一気に観たりして時間を潰している。移動中に印象的だった出来事といえば、皆んな疲れ切って静かな車内、目的地の街に入る瞬間Jakeが街名を叫び皆んなに知らせる。皆んな全力で「Yaaaaay!!」と反応。その後一瞬で車内は静寂に戻った。その様子をフロントミラーでJakeが確認し、あっあれ？これだけ？的な表情をしていた。疲労による僅か1秒だけボルテージが上がった瞬間が個人的に面白すぎた。（これは文章では伝わらないオモロさがあった）あとはメキシコの国民的な曲？その名も「lento」をYawnersの皆んながずっと歌っている事。毎日1日最低4回は流して強制的に歌わされるのでもう頭から離れなくなってしまった。朝の連続「lento」、疲れてる時の立て続け「lento」。スペイン人の擦りは半端ない。でもこの時間が楽しいのである。「トドロケテンゴー」 

その流れもありYawnersスタッフのJoanが「日本語曲の簡単で歌いやすい曲は？」と尋ねてきた。難しい質問。坂本九の「上を向いて歩こう」とかいろいろ思い浮かんだが盛り上がりに欠ける。そこで1番ピンときたのはAKB 48の「恋するフォーチュンクッキー」だった。散々歌わされたのでやってやろうじゃないかという気持ちが芽生える。我々はお手本で歌い、Joan、ベースのDaniにスペイン語に訳された歌詞をみせ歌わせる。みんな爆笑。追い討ちでサビ手前＜カモンカモンカモンカモン ベイビー＞のところを全力で煽りまくる。まるでホストクラブかのような光景。立て続けフォーチュンクッキーで反撃に成功した。 

車窓からの夕焼け 

20:00前、街並みが広がりBALTIMOREに到着した。今日もAirbnbに宿泊。皆んなお腹も空いてるのでチェックイン後、クルー全員で近くのメキシコ料理屋さんに行く事に。いろいろメニューがある中でおれはチャレンジを避けチキンタコスを注文。1つ4口程で食べ切れるデカめなタコスが3つ、ライスと、豆のスープ的なのも付いていた。これで1人前。かなりのボリュームだ。そしてめちゃくちゃ美味かった。知っている味だ。 

執筆：Mikuru Yamamoto
撮影：Mikuru Yamamoto